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今回の事件について、アメリカは、事件の証拠とする映像を公開するなどして、イランが関与したと主張しているのに対し、イランは関与を全面的に否定しています。

こうした中、ポンペイ国務長官は16日、アメリカのテレビ番組「FOX NEWS SUNDAY」に出演し「何が起きたかは間違えようがない。イランが明らかな意図を持って民間の船舶を攻撃した」と述べたうえで、公開した映像のほかにも多くのデータや証拠があるとして、それらを近く公開する考えを示しました。

そのうえで「ほかの国もイランの脅威を理解すると確信している」と述べ、各国がアメリカの主張に同調することに自信を示しました。

また、中東地域を管轄するアメリカ中央軍は16日、タンカーのうちの1隻「コクカ・カレイジャス」が攻撃を受けた直後、上空にいたアメリカ軍の無人機が、イランの地対空ミサイルの攻撃を受けたとする声明を出し、「イランが監視を邪魔しようとした」と非難しました。

一方で、ロシア大統領府のペスコフ報道官は国営のロシアテレビが16日、放送した番組の中で、「今回の事件は、世界経済の基盤を揺るがしかねない。根拠のない非難は誰も受け入れないだろう」と述べ、確かな証拠が示されないかぎり、特定の国を非難することはできないという見方を示しました。

国防総省は「証拠」の追加提示を示唆するが、「同調者」は英国や、イランと敵対するサウジアラビアなどにとどまっている。

アメリカのトランプ政権はイスラエルパレスチナの和平に向けた取り組みとして、パレスチナ支援を話し合う経済会合を来月25日から2日間、中東のバーレーンで開催する予定です。

会合には、すでにサウジアラビアをはじめ湾岸諸国が参加を表明しているほか、エジプトやヨルダンの参加も見込まれています。

こうした中、イスラエルのカッツ外相は16日、ニューヨークで開かれたシンポジウムでイスラエルはこの経済会合に参加する。必要な調整はすべて行われている」と述べて、イスラエルが国交のないアラブ諸国とともに、会合に参加する意向を初めて明らかにしました。

ただ、和平のもう一方の当事者であるパレスチナは、トランプ政権への反発からボイコットを表明しているほか、「いずれの国もパレスチナを代弁できない」として、同胞のアラブ諸国が参加することにも不満を示しています。

パレスチナの孤立が一層深まる中、トランプ政権は、和平案の重要な一部だとする新たな経済支援の枠組みをこの会合で示すという見方もあり、その動向が注目されています。

今回の事件について、アメリカは事件の証拠とする映像を公開するなどして、イランが関与したと主張しているのに対し、イランは関与を全面的に否定しています。

アメリカのポンペイ国務長官は16日、CBSテレビに出演し、事件の証拠とする映像を同盟国にも提供したほか、15日に続いて日曜日のこの日も、各国の当局者など「かなりの人数に電話をかけて説明する」と明らかにしました。

これに対しキャスターが「証拠が十分ではない、という指摘がある」と繰り返し尋ねると、ポンペイオ長官は「イランが、国際航路で自由な航行をさせないようにするために行動したのだということに異論を唱える人は1人もいなかった」と強い調子で述べました。

今回の事件をめぐっては、同盟国のイギリスとサウジアラビアアメリカに同調していますが、国際社会では、どの国が関与したのか慎重に見極めるべきだという声も強まっていて、ポンペイオ長官はこうした指摘に神経をとがらせているものとみられます。

日本との閣僚会合に出席するため来日しているサウジアラビアのトワイジリ経済企画相は、17日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

トワイジリ氏は、タンカー2隻が攻撃を受けたことについて「過去にもイランはタンカーへの攻撃をしている。地域の混乱はイランが引き起こしており、今回の攻撃がイランによるものでも私は驚かない」と述べました。

国際社会では、どの国が関与したのか慎重に見極めるべきだという声も強まっていますが、トワイジリ氏は「皇太子と彼の出した結論を信じている」と述べて、イランによるものだと主張するサウジアラビア皇太子の発言を支持する考えを示すにとどめ、具体的な根拠には言及しませんでした。

そのうえでサウジアラビアは、原油市場が需要と供給の双方にとって適切な価格で安定させる重要な役割を負っている。世界の顧客に原油を届けるための対策を尽くしている」と述べ、今回の事件が原油市場に影響を与えないよう最善を尽くす考えを強調しました。

トワイジリ経済企画相は、サウジアラビアが石油への依存から脱却するために進めている経済改革について「産業を多角化することが改革の主な目標だが、さまざまな取り組みが功を奏している」として、ここまでの改革は成功しているという認識を示しました。

経済改革を進めるうえで、とりわけ女性の社会進出に力をいれることを強調し「女性の雇用機会を確保するのが肝要で、改革を掲げてからこれまで多くの女性が雇用市場に進出してきた。サウジアラビア政府は民間企業が能力のある女性の雇用をより進めていくよう責任を持って取り組む」と述べました。

去年10月にトルコの総領事館サウジアラビア人記者が殺害された事件をめぐって一時、サウジアラビアとの経済関係が冷え込むとの見方が広がったことについては「事件は不幸なことだったが、司法手続きによって事件を解明し、関係国と共有したい」と述べました。

そのうえで「ビジネスの観点では日本や友好国から、サウジアラビアは進出がしやすいとか、信頼できるという声が寄せられている」として、日本企業のさらなる投資や進出を求めました。

イランは、アメリカが去年核合意から一方的に離脱したことへの対抗措置として先月、低濃縮ウランの貯蔵量を大幅に増やすなど核合意の義務の一部を停止すると表明し、経済制裁からイランの国益を守る具体的な措置が示されなければ、さらなる行動を起こすと警告していました。

これについて、イランの原子力庁は17日、記者会見を開き、核合意によって、これまで3%程度に制限されてきたウランの濃縮度を来月上旬以降、20%程度に高めることも辞さないと表明しました。

核合意の制限を順守しないと表明したもので、本格的な核開発につながるおそれがあります。

また、すでに貯蔵量を増やしている低濃縮ウランについては、今後10日ほどで核合意で定められた制限に達するとしています。

一方、今後核合意に参加している各国が、イランの国益を守る措置をとれば、再び合意の制限を順守すると述べて、外交交渉による解決を求めていく考えを示しました。

ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃事件をめぐってアメリカとの対立が厳しさを増す中、イランとしては、本格的な核開発も辞さないと表明することで、欧米に対して揺さぶりをかけるねらいがあるものとみられ、今後緊張が一層高まることは避けられない見通しです。


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