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諫早湾干拓事業では、平成9年に国が堤防を閉めきったあと、漁業者が起こした裁判で開門を命じる判決が確定した一方、農業者が起こした別の裁判では開門を禁止する決定や判決が出されました。

司法の判断が相反する中、国は開門を命じた確定判決の効力をなくすよう求める裁判を起こし、去年7月、2審の福岡高等裁判所は国の訴えを認め、確定判決を事実上、無効とする判決を出し、漁業者側が上告していました。

26日、最高裁判所第2小法廷で双方の意見を聞く弁論が開かれ、漁業者側は「これまで国が確定判決を守らなかった前例はない。高裁の判決は取り消されるべきで、最高裁には話し合いによる解決に向けた適切な判断を期待する」と主張しました。

これに対して国は「漁業者の開門を求める権利は消滅していて、高裁の結論は維持されるべきだ」と反論しました。

判決は早ければことし秋にも言い渡される見通しで、開門すべきかどうかという長年に及ぶ対立の解消につながる判断が示されるか注目されます。

排水門を開門しなければいけないのか、開門してはいけないのか。これまで裁判で相反する司法判断が示されてきたことが混迷が長引く最大の要因となっています。

9年前の平成22年、福岡高等裁判所は、干拓事業と漁業被害との因果関係を認めたうえで、影響を調査するため排水門を開けるよう国に命じました。当時の民主党政権が上告を見送ったため判決は確定し、国に開門の義務が生じました。

一方、農業者側は開門すれば堤防の内側に海水が流れ込んで農業被害が出るとして、この判決に強く反発します。

農業者側が排水門を開けないよう求めた仮処分の申し立てに対し、長崎地方裁判所は、開門しないよう国に命じる決定を出しました。

仮処分の決定はその後、裁判でも認められ、国は「開門しなければならない」、「開門してはならない」という相反する2つの義務を負うことになったのです。

このため国は、開門を命じられた9年前の確定判決を無効にするよう求める訴えを起こしました。

裁判の中で福岡高裁は、開門せずに漁業被害の回復を目指す総額100億円規模の国の基金案などをもとに和解を勧告しましたが、漁業者側が開門しない前提の和解案は受け入れられないと反発し、協議は決裂。

去年7月、福岡高裁は確定判決を事実上、無効にする判決を出しました。

漁業者側の上告について、最高裁は26日、双方の意見を聞く弁論を開き、早ければことし秋にも判決を言い渡す見通しです。

この裁判とは別に、漁業者側が開門を求めた裁判で、最高裁第2小法廷は先月、漁業者側の上告を退ける決定をし、「開門の必要はない」という判決が確定しています。

今回の裁判も第2小法廷の同じ裁判長が担当していて、判決で長引く混迷の解決につながる判断を示すか、注目されます。