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JOCはことし6月に山下泰裕会長が就任して新体制になったのに合わせて、これまで人事案件などを除き原則として報道陣に公開してきた理事会について、NHKを含めた報道各社で作る記者会に対して非公開にする方針を示していました。

その理由について山下会長は「マスコミがいる前では理事会で活発な議論が行えず、まだ明らかになっていない国などの動きの情報共有もできない。JOCが信頼回復を進めるには本音の議論が不可欠だ」などと説明していました。

これに対して記者会は、スポーツ庁が競技団体に透明性のある組織運営を求めている時代に逆行する行為であることやマスコミの前では活発な議論ができないと説明したことは自助努力を放棄するに等しいことととして、非公開を拙速に決めないよう求める抗議文を提出していました。

そうした中、JOCは8日開いた理事会で今後理事会を非公開とし理事会のあとに専務理事などが報道陣に説明する形で対応することを決めました。

国からの補助金が入りより透明性が求められる公益財団法人のJOCが意思決定の場である理事会を非公開にする今回の決定に、スポーツ界のガバナンスに詳しい早稲田大学の松本泰介准教授は去年、スポーツ界で相次いだ不祥事を教訓に組織の透明性を考慮し「チェック機能を確保する措置が必要だ」と指摘しています。

JOCの山下会長は、理事会の非公開を決めたあと、報道陣の取材に対して透明性の確保のために理事会のあとに専務理事などが報道陣に対応することや、資料の配付、定期的な記者との懇談会、そして、議事概要を明らかにすることで対応したいと説明しました。

また、理事会では決議を取り、出席した理事24人の中で賛成が19人、反対が4人、保留が1人だったことを明らかにしました。そして、反対した4人からは「JOCに対するマスコミの視点が厳しいのに、マスコミとの全面的な対立となって、JOCのイメージが悪くなるのではないか」などという意見があったことも明らかにしました。

そのうえで、山下会長は「一度開けたものを閉じるということはかなりの覚悟がないとできない。今後、JOCが透明性を確保して国民から評価されるような新生JOCに生まれ変わっていく、そこがなければ信頼を失うだけだ」と述べました。

理事会を非公開とすることを決めたJOC=日本オリンピック委員会の対応について、専門家は去年、スポーツ界で相次いだ不祥事を教訓に組織の透明性を考慮しチェック機能を確保する措置が必要だと指摘しています。

公益財団法人の認定を受けているJOC=日本オリンピック委員会の理事会は山下泰裕会長をトップに、選手強化、マーケティング、広報など各分野を受け持つ理事を監督してJOC全体の意思決定を担う機関のことで、株式会社であれば「取締役会」にあたるものです。

しかし、民間の企業が株主総会などで外部から厳しいチェックを受けるのと異なり、JOCなどのスポーツ団体は理事や理事を選任する評議員に外部の人材が少ないためチェック機能の弱さが懸念され、去年、スポーツ界で不祥事が相次いだ要因の1つとも指摘されています。

理事会の公開自体は法律で義務づけられているものではありませんが組織の透明性を高めるためJOCと同じく公益財団法人で、競技団体を統括している日本スポーツ協会は理事会をすべて報道陣に公開しています。

また加盟する競技団体に対しても情報共有を図るため理事会の概要をまとめた文書を送っているほか、後日、議事録をホームページに掲載して一般にも広く公開しています。

一方、JOCは理事会の議事録を作成しているものの公開はしておらず、今後、非公開とする理事会の内容について幹部が報道陣向けに説明の機会を設けるとしていますが、業務や意思決定の透明性は後退するおそれがあります。

JOCの対応についてスポーツ界のガバナンスに詳しい弁護士で早稲田大学スポーツ科学学術院の松本泰介准教授は「理事会は機動的に意思決定する場なので公開すると議論が形骸化する場合もあり、非公開にすることがすべて悪い訳ではない」としたうえで、「外部のチェックを受けにくいスポーツ団体は理事たち個人の資質によって組織の健全性が左右されることが多い。組織の透明性を考慮し理事会を非公開にするならかわりのチェック機能を確保して情報の発信も強化するなどバランスをとることが重要だ」と指摘しています。

#家族主義#祭り上げ方式