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平成30年司法試験の採点実感
民事系科目

法科大学院に求めるもの
 本年の問題は,訴訟物,重複起訴の禁止,文書提出命令,補助参加等の民事訴訟基礎的な概念や仕組みに対する受験生の理解を問うとともに,事案への当てはめを適切に行うことができるかどうかを問うものであった。これに対し,多くの答案において,一応の論述がされていたが,定型的な論証パターンをそのまま書き出したと思われる答案,出題趣旨とは関係のない論述や解答に必要のない論述をする答案,事案に即した検討が不十分であり,抽象論に終始する答案なども残念ながら散見された。また,民事訴訟の極めて基礎的な事項への理解や基礎的な条文の理解が十分な水準に至っていないと思われる答案が少なくなかった。これらの結果は,受験生が民事訴訟の体系的理解と基礎的な知識の正確な取得のために体系書や条文を繰り返し精読するという地道な作業をおろそかにし,依然としていわゆる論点主義に陥っており,個別論点に対する解答の効率的な取得を重視しているのではないかとの強い懸念を生じさせる。
 試験に合格するため,より効率的な学習の方法を模索すること自体は,誤りとはいえないが,法律実務家に求められる素養は,基本法制の体系的理解と基礎的な知識の正確な取得という地道な作業によってこそ涵養され得るものと思われる。法科大学院においては,このことが法科大学院生にも広く共有されるよう指導いただきたい。また,民事訴訟法は,現実の民事訴訟の手続の在り方のイメージがないままに学習を進めることは難しいと思われることから,実務をより見据えた指導の工夫も有益であろう。
 法学教育においては,基礎的な事項の正確な理解をし,具体的な事案に応じて論理的に展開する思考力の涵養こそが重要であると考えられる。このことは,例年,指摘されているところであるが,本年も,改めて強調しておきたい。

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当時、盛んにパターン化された答案ばかりだと司法試験合格者の資質が問題視されました。そのパターン化の原因は私にあるのですが、今回もご一緒した先生方に当時はそうした答案ばかりで法曹の質に問題があったのだと指摘を受けました。ですが、そのような答案を書いた法曹の質が低いという客観的な証拠は何一つ見つかっていません。当時、私の講義を聴いてパターン化された答案とやらを書いた合格者が20年後の今、どれほど質の悪い法律家になっているのかを証明してもらいたいものです。

たかが試験なのですから、パターン化した答案であろうが、何だろうがさっさと合格してしまい、合格後に現場で必要な知識と経験を身につけていけばよいだけです。重要なことは合格後を考えること、志をもって法曹を目指すことだと考えています。そもそも試験において有能な法曹としての能力があるかどうかなど見極められると考えるのは大きな勘違いでしょう。試験など最低限の知識があるかどうかを見定められればそれで十分なのです。

こういうことを言うと、だから、LSにおけるプロセスによる教育が不可欠なのだと言われます。しかし、それは司法試験合格後に行えばよいことです。


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