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今回の仮処分で地震については、伊方原発の近くにある活断層地震が起きた場合の影響が焦点となりました。

四国電力は、四国から近畿にかけてのびる「中央構造線断層帯」は伊方原発から8キロ離れているとしたうえで、地震が起きたとしても対策をしているため重大な影響はないことを確認していると主張しました。

しかし裁判所は、伊方原発の敷地のごく近くにある地層の境目が活断層である可能性が否定できないと判断しました。

そして原発の敷地までの距離は2キロ以内で、国の新しい規制基準で厳しく評価するよう定められている「震源が敷地に極めて近い」ケースにあたるにもかかわらず、四国電力は十分な調査をせず原子力規制委員会も問題ないと判断した過程には誤りや欠落があったと指摘しました。

また火山の噴火については、原発の再稼働をめぐる審査で使われている国の新しい規制基準そのものに疑問を投げかけました。

国の規制基準では、火山の噴火に対する安全性について原発の立地が火砕流が到達しないような適切な場所かどうかと、噴石や火山灰などが原発の運転に影響するかどうかという大きく2つの観点から評価することになっています。

このうち「原発の立地」についての判断では、160キロ圏内にある火山が噴火した場合の影響を評価することになっています。

これについて裁判所は、規制基準は対象となる火山が噴火する時期や規模を事前に予測して備えられることが前提となっていると解釈できるとしたうえで、複数の火山の専門家の見解をもとに「現在の科学技術の水準では噴火の時期や規模を的確に予想することは困難で、規制基準は不合理だ」と指摘しました。

一方で原発の立地が適切かどうかを判断する際にどの程度の危険まで許されるのかは、社会通念をもとに判断すべきだという判断を示しました。

そして伊方原発の位置まで火砕流が到達するような阿蘇山破局的な噴火については、原発事故に限らず重大な被害が起きるにもかかわらず対策が取られていないことを踏まえ「噴火のリスクが相当程度容認されている」として、伊方原発の立地については、不適切とは言えないと判断しました。

しかし「噴火の影響」については、阿蘇山破局的な噴火に準ずるような噴火が起きた場合の火山灰の量などが過小評価されていて、四国電力の対応やそれを認めた原子力規制委員会の判断は不合理だと結論づけました。

これまでに原発の運転を認めなかった司法判断では、地震と火山に対する安全性のいずれか一方が問題とされていましたが、今回の決定はその両方に疑問を投げかける形となりました。

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