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 楽天関係者が明かす。

「実は幹部は揃って送料無料化に反対していたのですが、三木谷社長は何を言っても聞かず、『とにかくやる』と周囲の反発を撥ねつけた。2000円以上で送料無料を原則としているアマゾンに対抗するために、強行したのです」

 昨年8月、楽天は規約を変更し、1店舗で税込み3980円以上を購入した場合、出店者側の負担で一律送料無料にすると発表。出店者が抗議し、今年2月10日に公正取引委員会楽天に立入検査に入る事態に。

「アマゾンは自社で物流システムを構築し、在庫管理を行っています。一方の楽天はネット上の場所を貸しているだけなのに、有無を言わさず規約を変えたり、楽天銀行への振り込みを強要するなど、強引なやり方に出店者から批判が高まっています」(ITアナリスト)

 強気な姿勢の裏で、楽天は昨年12月、独占禁止法に抵触するかどうかを公取委に相談していた。その際、公取委から「優越的地位の乱用のおそれがある」という回答を得ていたのである。

 公取委に喧嘩を売ってまで、なぜ強引に進めるのか。

 その背景には、三木谷氏が「アポロ計画」とぶち上げた第4のキャリア(携帯電話会社)での誤算がある。本格サービスの開始は当初の昨年10月からずれ込み、今年4月を予定している。

楽天は4G対応の通信ネットワークの構築を急いでいるが、基地局の設置数は携帯各社が20万局規模なのに対し、3月末で4400局にとどく程度。東名阪以外はKDDIのネットワークを借用している」(同前)

 他方、携帯各社は4Gよりも100倍速く、1000倍容量が大きくなる5Gへの移行を3月から開始する予定だ。楽天の出遅れ感は否めない。

 楽天の2019年12月期決算は、8年ぶりに最終損益が約319億円の赤字に転落した。

「米配車サービスのリフトを減損したのは、これまでのM&Aのツケが出てきたことのあらわれでしょう。フリーキャッシュフローは320億円あり、当座の懸念はないが、物流整備に2000億、通信事業に6000億と投資が集中し、財務を圧迫することになる。こうした投資を継続するため、売上増の即効性がある送料無料を打ち出さざるを得なかったのです」(金融機関幹部)

 三木谷氏は「5万店舗を載せた楽天という船が荒波を乗り切るにはこれしかないという思いだ」と強調するが、船から乗組員が下りれば元も子もない。

楽天は来月18日から「楽天市場」で一定額以上の商品を購入した場合、送料を無料にする方針ですが、公正取引委員会は今月10日、優越的な立場を利用して出店者に不当な要求をした独占禁止法違反の疑いがあるとして立ち入り検査しました。

しかし楽天三木谷浩史社長は今月13日の記者会見で消費者にわかりやすい「送料込み」の料金体系を導入することで、予定どおりに送料無料化を実施するとしていて、「『送料込みで価格を調整してください』と出店者に言っているので優越的地位の乱用にはあたらない」という認識を示しています。

これに対し公正取引委員会はこのまま予定どおりに実施されれば公正な競争が侵害されるなどとして28日、送料無料化を停止させるため独占禁止法に基づく緊急停止命令東京地方裁判所申し立てました。

この命令は排除措置命令などの行政処分によって違反行為を排除させるより緊急を要する場合に行う措置で、今後、裁判所が命令を出すかどうか判断します。

公正取引委員会が緊急停止命令を申し立てたのは、平成16年の有線放送最大手による不当値引き事件以来、16年ぶりで異例です。

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