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今年度の補正予算案では、緊急経済対策の財源として25兆円余りの国債を追加発行することになり、当初予算とあわせた今年度の国債の新規発行額は過去最大の58兆円余りに達し、歳入の45.4%を国債に頼ることになります。

これについて麻生副総理兼財務大臣は、28日開かれた衆議院財務金融委員会「借金がこれだけ増えても金利が上がらないのは、誠にラッキーなことだと思うが、ずっと続くことを永久に期待するのは間違いだ。今年度の税収がさらに減るのは確実で、税金の延納も認めていてその分もマイナスになる。国債への依存度が50%を超えることは間違いない。誠にじくじたる思いだ」と述べました。

そのうえで麻生大臣は、「残念ながら目先は、経済再生を考えずに財政再建というのは、縮小均衡みたいなことになるので、財政健全化のためにもしっかりした経済成長をやっていかないといけない」と述べ、経済の回復を優先しつつ、長期的には財政健全化を進める必要があるという認識を示しました。

新型コロナウイルスの影響で日本のハイパーインフレの危機はさらに増したと言えるでしょう。ハイパーインフレになれば円の価値が暴落し、みなさんの貯金は紙クズになってしまいます」

そう語るのは、経済評論家の藤巻健史氏。モルガン銀行東京支店の元支店長で、参議院議員を務めた経験も持つ(以下、「」内は藤巻氏)。いったいなぜ、ハイパーインフレの可能性が高まっているのか――。

「私がいま一番恐れていることは日本銀行の崩壊なんです。崩壊と聞くとみなさんビックリされるでしょうし『日銀が潰れるわけない』と思われるかもしれませんが、実は中央銀行が潰れることはあります。日本銀行法にも解散の規定があるぐらいで、本質的に解散を想定しているんです。実際に、第二次世界大戦後のドイツは通貨の価値が下落し、中央銀行を潰して新たな中央銀行を作り、ドイツマルクという新しい通貨を作ったという例があります」

日銀はいま、世界的に見ても異例の金融政策を行っているのだという。

「日銀は異次元の量的緩和をするため、まず株を買い始めました。金融政策のために株を買っている中央銀行は、世界中どこにもありません。今回のコロナ禍でアメリカの中央銀行であるFRBもいろいろと大胆なことをやりましたが、いまだに株の購入はやっていません。株を買ってその値段が下がれば、債務超過になってしまいます。だから各国の中央銀行は株には手を出さなかったわけです。ところが日銀は、今年中には日本一の株主になってしまうほど株を買い続けています」

こうした日銀の金融政策は、どのような事態を招く可能性があるのか。

「いまの日銀は金利が少しでもあがると途端に債務超過に陥ってしまうギリギリのところです。金利があがるのを抑えるために株や国債を買いあさっているわけですが、これはまさに薄氷の上を歩いている状態です」

安倍首相が4月7日に打ち出した総額108兆円の緊急経済対策で、39兆円の財政出動が必要となっていた。さらに1人あたり10万円の一律給付が決まり、財政支出は48兆円を超えることに。新型コロナへの莫大な財政出動・経済対策で、日本のハイパーインフレ危機はさらに近づいたのだと藤巻氏は語る。

コロナウイルスへの影響で世界中の国々が積極的に財政出動しているので、赤字国債を発行することになるでしょう。そうなれば、やはり金利が上がってしまいます。赤字国債中央銀行が買うことによって、いつまで金利の上昇を抑えきれるかが問題となるわけです。しかし、日本の場合は日銀がこれまでにも国債を”爆買い”してきたため、各国の中央銀行に比べて日本の債務超過は目前。債務超過により円の価値が暴落し、ハイパーインフレがやってくる……というシナリオは十分ありえます。新型コロナウイルスの影響で日本のハイパーインフレの危機はさらに近づいたと言えます」

藤巻氏は家計の防衛策として「預金をドルに替える」「住宅ローンを固定金利に変える」という2つの方法を提案する。

ハイパーインフレが起きれば円は大暴落します。そうすると、ドルが手に入らなくなってしまうので、原油は買えないし、農産物は買えないし、マスクだって買えなくなるわけです。そんな円の大暴落へのリスク回避として、世界の基軸通貨であるドルを持っておくことは大事です。また、住宅ローンについては固定金利に変えてしまったほうがいいと思います。いますぐに変動金利から切り替えると、固定の方が金利は高いので少し損をすることになりますが、いずれやってくるハイパーインフレ時代への保険だとして割り切ってもいいのではないかなと思います」

いまこの時点では、国の財政支出が急拡大し、一層の赤字国債発行となっても、なんの異論もない。ああだこうだ抜きで、感染抑止と生活に困っている人たちの救済や事業継続のための支援が優先される。まさに、緊急事態である。その対策に、国も国民も一致協力して当たるべきである。

ただ、この緊急事態が一段落し、経済活動も平時に復旧してくるにつれて、大きな問題が浮上してこよう。それは、国の財政がボロボロに悪化し、国債発行残高と国の借金が危機的な水準にまで膨れ上がってしまっていること。そして、日銀の総資産が現時点でも日本の国内総生産GDP)を上回っているが、さらに肥大化していることだ。

もうすでに、日銀は事実上の財政ファイナンスでもって、国債発行残高の43%を保有している。それが、さらに進むのだ。日銀の財務がこれまた異常に拡大するということは、通貨の信認を下げることでもある。

その先は、一体どうなるのだろう?国家財政の悪化に対しては、大幅増税か紙幣の印刷しかない。今年度の当初予算102兆円に対し、税収見込みは63兆円で、国債発行は32兆円だった。ところが、コロナ問題で財政支出は大きく膨らみ、逆に税収は相当に落ち込む。ということは、大幅増税したところで、とうてい間に合わない。

となると、紙幣の増刷り?これまでも、金融機関から国債を大量購入し、その代金を金融機関に積ませる日銀当座預金としてきた。これは、事実上の財政ファイナンスであり、事実上の紙幣増刷りである。つまり、インフレということ?

はっきりしているのは、お金の価値は間違いなく下がっている。だからといって、物価が大幅に上がる状況でもない。おそらく、本当に価値のあるものが買われることから始まって、インフレの火は横へ横へと広がっていくのだろう。

われわれ本格派の長期投資家が大事にしている価値観の方へ流れが向かってくるのは間違いない。それはいいのだが、これまで放漫財政に突き進んできた日本の指導層は、その責任がうやむやになるのが解せない。

コロナウイルスの感染拡大という緊急事態、それが故のインフレということで、免罪符を得ることになるのだ。どちらにしても、ツケは国民にまわってくる。やはり、長期投資しておくほかない。

#金融政策