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悪化する日本財政

日本の財政は、悪化の一途をたどっています。

昨年度=令和2年度、政府は、3度にわたって補正予算を編成し一般会計の総額は当初予算と合わせて175兆円を超えるという異例の規模にまで膨らみました。

このうちの60兆円余りは税収で賄いましたが、残りの財源は国債などで補ったため、1年間の新規の国債の発行額は初めて100兆円を突破しました。

この結果、今年度末には国と地方を合わせた債務の残高が1166兆円余りに達し、GDP国内総生産の2倍を超える水準になる見通しです。

さらに今後、いわゆる団塊の世代が75歳以上になることで、医療や介護などの社会保障費が一段と増えることも見込まれ、国の財政は構造的に膨張しやすくなっています。

しかし、新型コロナウイルスの感染収束のメドが立たない中、打撃を受けている企業や個人に対する切れ目のない支援は欠かせません。

さらに、政府が国の成長戦略として掲げているデジタル化や脱炭素などをスピード感を持って進めるためにも一定程度の財政支援が必要です。

政府の経済財政運営は、新型コロナへの対応や経済の早期再生と同時に、財政再建も進めるという非常に難しいかじ取りを迫られています。

基礎的財政収支」と財政健全化

政府が財政健全化の指標として使っているのが、「基礎的財政収支」=プライマリーバランスです。

基礎的財政収支は、社会保障費や防衛費など、政策にあてる経費を国債などに頼らず、税収や税外収入でどれだけ賄えるかを示します。

政府は、国と地方をあわせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化するという目標を掲げていますが、昨年度は、国が3度にわたる補正予算を組んだ結果、56兆4000億円の赤字となり新型コロナウイルスへの対応が続く中、目標の達成は簡単なことではありません。

内閣府の最新の試算では、今後、物価の変動を除いた実質で年間2%程度の高めの経済成長が続くという想定でも、黒字化の達成は政府の目標より2年遅れて、2027年度になるとしています。

このため、目標を達成するためには、新型コロナをいち早く収束させて高い経済成長を実現するとともに、歳出削減も進めていく必要があります。

ことしの「骨太の方針」は、現在の目標を堅持すると明記する一方、新型コロナの経済や財政への影響を検証し、今年度中に目標年度を再確認することも盛りこまれました。

ただ、財政健全化に向けた道筋が不透明になれば、財政に対する信認が失われかねないという指摘もあり、新型コロナへの対応を行いながら、財政健全化をどう図っていくのかも問われています。

日銀 大規模な金融緩和を継続

日銀は、2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで大規模な金融緩和を継続するとしています。

第2次安倍内閣の発足を受け2013年に就任した日銀の黒田総裁は、デフレからの脱却のため、2%の物価上昇率の目標を掲げて大規模な金融緩和に踏み切りました。

国債の買い入れを増やして市場に大量の資金を供給し、さらに複数の株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れなども進めた結果、金融市場では円安・株高が一気に進みました。

しかし、当初は2年程度で実現するとしていた2%の物価目標は達成できず、2016年1月、日銀は金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナス金利を適用する「マイナス金利政策」を導入し、いっそうの金融緩和に踏み切りました。

続いて、その8か月後には、短期金利はマイナスにしたうえで、長期金利をゼロ%程度に抑える金融政策に変更。さらに、去年3月に新型コロナウイルスの影響を受けた経済を支えるため、国債ETFなどの買い入れを一段と強化するなど、2%の物価目標を掲げた金融緩和が続いています。

この8年余りに及ぶ大規模な金融緩和で、さまざまな「副作用」も指摘されています。マイナス金利政策の影響で、企業などへの融資でのいわゆる「利ざや」が縮小し、金融機関の収益が圧迫されています。
また、日銀が保有する国債の残高はことし6月末時点で540兆円と全体の44%を占めるまでになっています。

日銀が大規模に国債を買い入れることで国の財政規律が失われるという批判も出ています。さらに、保有するETFの額はことし3月末時点で、51兆円余りと、東証1部に上場する株式の時価総額のおよそ7%に上り、市場の価格形成をゆがめているという指摘もあります。

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