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毒親についてまず浮かぶのが、“毒親”と“普通の親”とは何が違う?という疑問だろう。
どんな家庭でも親子間で意見が対立したり、けんかしたりすることはあるはずだが、その全てが毒親とは限らないはずだ。一般的な親子関係とは、いったい何が違うのだろうか。

影宮さんによると、毒親は子供を“ひとりの人格を持った人間”だと理解できず、子供の人生を無自覚に思い通りに支配しようとする傾向があるという。実際には、下記のようなパターンの行為を繰り返すのが、毒親と呼べるとのことだ。

1.肉体的暴力や性的暴力を振るう親(体罰やしつけと称した折檻をする)
2.精神的暴力を振るう親(暴言などで否定・不安を子供の心に植え付ける)
3.過干渉する親(子供の行動を監視して先回りする。自主性を奪う)
4.ネグレクトする親(子供を放置して関心を持たない)
5.価値観への同意・強制を求める親(自身の勝手な価値観を押し付ける)

そして、子供はこうした毒親のもとで育つと、自信が持てない、自分の考えが分からない、強い不安感、理由もなくイライラする、他人への不信感などの問題を抱えやすくなるという。

「親から否定され続けることで自信が持てなくなるほか、行動を先回りされるので『自分で判断すること』を学べずに大人になってしまいます。親の夫婦仲が悪かったり、親との交流があまりない、子供に無関心な親に育てられると結婚願望が薄い傾向にもあります」(影宮さん)

それでは、毒親が生まれてしまう背景には何があるのだろう。こちらはさまざまな要因が考えられるが、大きな要因としては“親自身が毒親に育てられた”ことが考えられるという。

影宮さんによると、幼少期の子供は親を否定することを知らないため、毒親に育てられるとその考えを無意識のうちに受け継いでしまう。そこに気付かなければ、自分の子供にも同じように接してしまい、気付いたとしても極端に真逆の接し方をしてしまうことがあるというのだ。
※例えば、ネグレクトの家庭で育つと自らもそうなるか、逆に過干渉となる可能性がある。

また、“親が強いコンプレックスを抱えている”可能性もあるという。親が自らの不幸の原因をコンプレックスによるものだと思い込んでいると、子供にその不満を投影して解消しようと、価値観を押し付けたり、本人の意思と関係なく強制したりするというのだ。

「例えば、高卒で苦労したと思い込んでいる毒親は子供に大学進学を強要したり、入学後に過剰な期待をかけてしまう。これも親自身の人生経験が原因で起こる価値観の押し付け行為です。毒親本人は子供に悪影響を与えていることに気付かないことが多いですね」(影宮さん)

影宮さんに聞いたところ、既に毒親の被害を受けている場合、成人して経済的に自立できるのであれば、物理的に親元を離れることを考える。それができない環境であれば、毒親の支配を拒絶して、精神的に離れることを考えるべきだという。

「自立が難しい場合は、勇気を出して『嫌なことは嫌だ』と伝えましょう。それができたら悩んでいない、言っても分かってくれないという人もいるでしょう。それでもいいんです。意思表示をすることで適切な距離感を親との間で持てるようになります。あいまいな態度だからこそ、毒親も意見や価値観を押し付けやすいところがあります」(影宮さん)

その一方で、毒親は支配を「これは愛情の一種」として考えていること、子供はそんな親とずっと一緒に生活してきたため、虐待などの極端な出来事が起きないと毒親と気付きにくいという。さらに、自分の親が毒親だと認めることは、子供にとってもつらいことだろう。

「もしも親に疑問を感じたのなら、一人の人間として見たときに友達になりたいか、結婚したいと思えるかを自問自答してみてください。嫌だと思うならその理由も見つかるので、そこを踏まえてこの家庭にいていいのかを考えてみてください。子供の人生は親のためにあるわけではありません。大切なのは、あなた自身の人生です」(影宮さん)

そして、毒親に当てはまってしまうような親には、子供に社会のルールを教えるのは大切なことだとしつつ、それが押し付けになっていないかどうかを考える必要があるとも呼びかけた。

「子供の要望に応えてあげるのは親心ですが、子供が望んでいないことを強制すると支配や価値観の押し付けとなります。この違いは、親子の間で信頼関係が構築されているかどうかです。親子の関わりを大切にして、自主性を奪わないようにしてあげてください」(影宮さん)

親に育ててもらった恩を忘れてはいけないが、一人一人の人生は親のためにあるわけではない。
子供は自分の人生が親に奪われていないかどうか、親側は親心と支配を勘違いして接していないかどうか、今一度考えてみるとよいだろう。