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東京 足立区の病院に、非常勤で勤務していた医師の関根進被告(44)は4年前、手術が終わったばかりの当時30代の女性患者にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつの罪に問われ、一貫して無罪を主張しました。

1審の東京地方裁判所は去年、「女性の証言の信用性には疑問がある」として無罪を言い渡し、検察が控訴していました。

13日の2審の判決で、東京高等裁判所の朝山芳史裁判長は「女性の証言は具体的かつ詳細で、手術後に知人に送ったLINEのメッセージの内容とも合い、犯行の直接証拠として強い証明力がある。女性の体から被告のDNA型が検出された鑑定結果も女性の証言と整合するもので、証言の信用性を補強する」と指摘し、1審の判決を取り消しました。

そのうえで「手術後の麻酔から完全に覚めていない中、被告による診察だと信頼していた状況を利用した犯行で、女性が受けた苦痛は大きい」として、懲役2年の実刑を言い渡しました。

判決の後、関根被告と弁護士が東京 千代田区で会見を開きました。

関根被告は「一度壊れた生活をやっとここまで立て直したのに、再度壊されることに憤りを覚えます。生活を守れるように戦っていこうと思います」と話しました。

また、高野隆弁護士は「あまりにも非常識、かつ非科学的な判決だ。えん罪を放置できないので上告したい」と述べました。

本件では、証拠関係の外形上、被害者は被害状況を証言し、被害者に身体に被告人の唾液の付着もありと、一見、犯行が立証されているように見えますが、個々の証拠を子細に見ていくと、1審が指摘したような様々な疑問が残ります。

1審が個別の証人の証言も直接聞き、慎重に検討して出した無罪判決を覆すにしては、決めつけが過ぎる印象を拭いがたいものがあります。

 一審判決では、被害を訴えるA子さんのほか、その母親、他の医師や看護師、同室の患者などの証言を細かく検討し、A子さんの訴えは麻酔薬や痛みの影響による「せん妄」の可能性が否定できない、と判断した。

 さらに、A子さんの胸から採取した微物鑑定を行った警視庁科学捜査研究所の研究員が、実験ノートにあたるワークシートを鉛筆で記載し、少なくとも9カ所を消しゴムで消して書き直していたり、あるいは本件ではDNAの量が争点になることを検察官から知らされた後に、定量検査についてのデータや抽出液を廃棄したために、鑑定結果が検証不能になったりしたことが、一審では問題になった。地裁判決は、「検査者としての誠実性」に疑問符をつけ、鑑定書について「証明力は十分なものとはいえない」とした。

 これに対して控訴審は判決要旨によると、A子さんの一審証言を「強い証明力を有する」と全面的に評価。科捜研の鑑定についても、DNA定量検査の記録や抽出液の残余を廃棄したことについて、「検証可能性の確保が科学的厳密さの上で重要であるとしても、これがないことが直ちに本件鑑定書の証明力を減じることにならない」として、信用性を認めた。

 主任弁護人の高野隆弁護士は、一審で手術後のA子さんの状況を語った3人の看護師証言を高裁が疑問視したことについて、「(高裁は)証言を見ても聞いてもいない、同室の患者の証言もあるのに、一切無視して、(看護師は)病院関係者だから偽証する動機があるなどとして退けた」と批判。

 その一方で、科捜研の鑑定の信用性を認めたことについて、高野弁護士は「裏付けるものが何1つないのに、思い違いや偽証をする動機がない、としてそのまま採用した。科捜研の技官が『ちゃんとやった』と言いさえすれば、何の裏付けがなくても裁判所は信用する。21世紀も20年が経つというのに、こんなに非科学的な裁判が行われ、冤罪が生まれていることに衝撃を受けている」と怒りをにじませた。

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