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28日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、朝鮮戦争アメリカに勝利した「戦勝記念日」と位置づける27日、キム・ジョンウン委員長が退役軍人の大会に出席し、演説したと伝えました。

演説の中でキム委員長は「戦争の苦痛を繰り返さないために、これを抑止できる絶対的な力を持たなければならず、核保有国への道を歩んできた。今や敵対勢力のどのような軍事的脅威にもびくともしない」と述べ、核開発を正当化しました。

そのうえで「自衛的な核抑止力によって、この地に戦争はなくなり、わが国の安全と未来は、永遠に確実に、担保される」と述べ、核兵器保有し続ける姿勢を強調しました。

キム委員長はトランプ大統領との首脳会談で、非核化に向けて取り組むことで合意しましたが、その後、北朝鮮が制裁の解除などを求めたのに対し、アメリカは完全な非核化に向けた具体的な措置がみられないとして応じず、協議は行き詰まっています。

そうした中で、北朝鮮核兵器保有し続ける姿勢を強調することで、アメリカを強くけん制し譲歩を引き出そうというねらいがあるものとみられます。

26日、北朝鮮は韓国に脱北し、今月、軍事境界線を越えて北朝鮮に戻った人物が、新型コロナウイルスに感染している疑いがあると明らかにし、最大限の防疫態勢をとるよう呼びかけています。

こうした中でもキム・ジョンウン委員長が退役軍人の大会に出席したほか、27日夜は大勢の市民が集まって、花火大会が開催されており、27日の時点で首都ピョンヤンでは、新型コロナウイルスの感染を抑え込めていると、アピールするねらいもありそうです。

先週、アメリカや日本など43か国は北朝鮮がことしの上半期に、制裁決議の上限を超える石油精製品を密輸入したとする文書安保理に提出し、これを受けて27日、協議が非公開で行われました。

会合の詳しい内容は明らかになっていませんが、議長を務めるドイツのホイスゲン国連大使は会合の後、オンラインで記者団の取材に応じました。

この中で、ホイスゲン大使は「北朝鮮による石油精製品と原油の輸入は、制裁のもっとも重要な部分であり、各国間の合意がある」と指摘し、軍事転用を防ぐためにも輸入制限を守ることが不可欠だと強調しました。

そして「北朝鮮が核開発を継続している以上、制裁決議を履行することがいかに大切か各国に周知した」と述べて、会合の中で制裁の着実な実施を、各国に求めたことを明らかにしました。

北朝鮮への制裁をめぐっては、その実施状況を独立した立場で調査する、専門家パネルが連日協議を行っていて、順調に行けば8月にも中間報告書が公表される予定です。

北朝鮮の国営メディアは韓国に脱北した人物が、今月19日に南西部のケソン(開城)へ違法に戻り、新型コロナウイルスに感染している疑いがあるとして、キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長が、ケソンを完全に封鎖したうえで、最大限の緊急態勢をとるよう指示したと、26日伝えました。

これについて韓国のチョン・ギョンドゥ国防相は28日、国会で新型コロナウイルスの拡散の危険性を強調しつつも、政治的な目的がある」と述べ、北朝鮮の国民への注意喚起に加えて、軍事境界線の警戒にあたる軍の引き締めを図るねらいだとする見方を示しました。

韓国軍は、この人物について3年前に脱北してソウル近郊で暮らしていた、ケソン出身の20代の男性で、北西部のカンファ(江華)島から、鉄条網の下の排水路を抜け、幅およそ3キロの川を泳いで北朝鮮側に渡ったとみています。

また、島で見つかった本人のかばんには、ウォンをドルに両替した際の領収書や、水中めがねなどが入っていたほか、事前にアパートの契約や預金を解約し、島周辺の下見もしていたことが分かっています。

一方、保健当局は、男性は新型コロナウイルスの感染者として登録されておらず、2人の濃厚接触者もPCR検査の結果は陰性だったとしています。

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