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感染症の専門医や研究者などで作る日本感染症学会は密集を避けるため東京 港区の会場とオンラインの両方で19日から開かれています。

20日は、政府の分科会の尾身会長が講演を行い「東京や沖縄、大阪などでは医療機関への負荷が大きい状況が続いているが、今の流行は全国的にはだいたいピークに達したというのが私たちの読みだ。今後の推移を注意深く見守っていく必要がある。これまでの経験から流行を乗り切るには医療機関や保健所への支援や接待をともなう飲食店、そうした地域などへの支援が重要なことがみえてきた。国に対して早急にこうした支援ができる体制の確立を求めたい」と述べました。

また、分科会のメンバーで、クラスター対策に取り組んできた東北大学の押谷仁教授は講演で「最新の発症日別のデータからは全国的に7月下旬から8月はじめごろにかけて山があったようにみえるが死亡者数が徐々に増えていることもあり、慎重に見極めが必要だ。第1波に比べて、現在の流行ではある程度リスクを制御することはできているが、これをゼロにしようとすると社会・経済活動を著しく制限せざるをえない。今後、どこまでリスクを許容するか、社会的な合意を得るため真剣に考えていく必要がある」と指摘しました。

新型コロナウイルスの特別講演は、21日も開かれ、研究や治療の最新の知見などが報告される予定です。

これは会合のあとの会見で分科会の尾身茂会長や分科会のメンバーで東北大学の押谷仁教授らが明らかにしました。

自治体では新たに感染が確認された人の数を毎日、発表していますが、検査の実施状況などの影響を受けるため感染状況を正確に分析するには、発症した日ごとのデータが重要となります。

21日の会合では最新の発症日ごとのデータが示されました。

それによりますと全国的には、今回の感染拡大で7月27日から29日にかけて発症者数がピークとなり、その後、緩やかに下降傾向になっていて、一部地域では新たな感染者の数が減少傾向にあるとみられるということです。

都道府県別では、東京都や大阪府、それに愛知県などでは、7月末ごろがピークとなっていた可能性があるほか、福岡県や沖縄県などでも8月中旬にかけてゆっくりと減少傾向が見られたということです。

一方で、お盆の時期などの状況についてまだ分析できるデータが無いことやピークは過ぎたように見えても高止まりの状態とみられる地域もあることなどから、この先、再び増加する可能性があるとして引き続き注意が必要だとしました。

そのうえで分科会では、3月から5月にかけての第1波の際には流行の後期に高齢者施設や医療機関などの施設内で感染が増える傾向があったことや大阪府沖縄県、愛知県、それに福岡県などで重症者の数が増加傾向にあることなどからマスクの着用や手洗い、それに3密を避けるなどの感染対策を引き続き徹底する必要があるとしています。

会見で東北大学の押谷教授は、「大きな集団感染がどこかで起きれば感染が再び拡大することも十分考えられる状況だ。高齢者施設や医療機関で感染が広がると重症者や死亡者が増えるおそれがある。患者数の推移でピークが見えたとしても、重症者の数や医療機関のひっ迫の問題は全く別の話だと捉える必要があり引き続き注意が必要だ」と話していました。

21日の分科会では、新型コロナウイルスに対するワクチンが実用化された場合に重症化するリスクの高い高齢者や持病のある人、そして、医療従事者などから優先的に接種するとした方針が取りまとめられました。

会合のあとで開かれた記者会見で、分科会の尾身茂会長は、感染を予防するなど、理想的なワクチンができる可能性は必ずしも保証されていないものの感染拡大に伴って期待が高まっているという認識を示しました。

そのうえで、「国としてワクチンの確保に全力で取り組んでもらうとともに、海外からの購入については安全性や有効性が明確になっていない時点で判断しないといけない。安全性や有効性が全部分かってからでは遅いのですべて使用されなくても必要な数の確保を目指すのが重要だ」と述べ、早い段階から国としてワクチンの確保を進める必要性を強調しました。

また、尾身会長は、「日本はワクチンの副作用に対する国民の関心が諸外国に比べて高いということもあり、ワクチンがなかなか普及しなかった歴史もある。どこまで効果があるのか、どんな副作用があるのかなど分かった時点で速やかに透明性をもって情報を国民に伝えることが専門家の責務だと思う」と述べ正確な情報を発信することが重要だという認識を示しました。

新型コロナウイルスの重症者について、国の基準と東京都などの一部の自治体が異なる基準で集計していることについて、政府の分科会の尾身茂会長は自治体によっては、地域の実情に合わせた対策を考えるうえで、より現実的な指標として独自の基準を使いたいという思いがあり、それ自体は尊重すべきだ。ただ、全国的な感染状況を評価するためには、国に対して報告する際には統一した指標を使ってもらったほうがより便利だ」と話しました。

東京都は21日、午後3時時点の速報値で、都内で新たに258人新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1日の感染の確認が200人を超えるのは2日連続です。

都によりますと、感染が確認されたのは10歳未満から80代までの男女合わせて258人です。

都内で1日の感染の確認が200人を超えるのは2日連続です。

258人のうち、
▽20代と30代は、合わせて137人で、およそ53%を占めていて、▽40代と50代は、合わせて73人で、およそ28%です。

これで、都内で感染が確認されたのは、合わせて1万8865人になりました。

一方、都の基準で集計した重症の患者は、21日の時点で33人で、20日より3人減りました。

東京都は、都内の感染状況は非常に厳しく、最大限の警戒が必要だとして、夏休み期間は、都外への旅行や帰省、夜間の会食、遠くへの外出を控えるよう呼びかけています。

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