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大相撲11月場所の優勝争いは、21日の14日目を終えてただ1人1敗でトップに立つ大関 貴景勝と星の差1つで追う小結 照ノ富士の2人に絞られていました。

22日の千秋楽は、結びの一番で2人が直接対戦し照ノ富士が浴びせ倒しで勝って13勝2敗で並びました。

続いて行われた優勝決定戦では、貴景勝が押し出しで勝って優勝を果たしました。

貴景勝の優勝は、小結だったおととしの九州場所以来となる2回目で、大関としては初めてです。

大関が優勝するのは、平成29年初場所稀勢の里以来、22場所ぶりです。

貴景勝は新大関だった去年5月の夏場所で右ひざを痛め2場所連続で休場して関脇に陥落し、1場所で大関復帰を決めたあとも左胸や左ひざなどたび重なるケガに苦しんできました。

それでも今場所は序盤から持ち味の突き押しで一気に勝負をつける相撲が目立ち、初日から8連勝しました。

9日目に平幕の翔猿に敗れたあとは、いなしや、はたきも使いながら慎重に白星を重ね、13日目には1敗で並んでいた平幕の志摩ノ海、14日目には、過去の対戦成績では五分の関脇 御嶽海を破って勝負強さを見せました。

横綱・二大関が休場した場所は大関としてただ1人、千秋楽まで出場した貴景勝が、今場所の番付最上位の責任を果たしてことし最後の土俵を締めました。

大関になって初めての優勝を果たした貴景勝は土俵下で行われた優勝インタビューで、「大関に上がってからいいことがなくて精神的にもひとふんばりしないといけないと思っていたが、こういう結果で終われたことが本当にうれしく思っている」と感慨深そうに話したうえで、「1人では優勝できなかったし、調子が悪いときでもどんなときでも守ってくれた親方など、部屋のみんなのおかげでこういう成績を残せた」と感謝の気持ちを示しました。

「本割」で敗れて迎えた優勝決定戦については、「本割では自分なりに集中していったが、力が及ばなかった。決定戦になって、無心になって、挑戦者として新弟子のころから目指した強くなりたい気持ちを意識してぶつかった」と振り返りました。

横綱大関が休場する中で優勝を果たし、大関の責任については「自分は万全で出場していたので自分ができることはお客さんの前で自分の相撲を見せること、それだけを考えていた」と話していました。

そして「綱とり」に挑む次の初場所に向けては、「小学生のときから相撲をやってきて毎日、強くなりたいと思ってやってきた。強ければ勝つし弱ければ負ける。一生懸命、自分と向き合ってやっていきたい」と誓っていました。

2回目の優勝を果たした大関 貴景勝は、兵庫県芦屋市出身の24歳。身長は1メートル75センチ。鋭い立ち合いと強烈な突き押しが持ち味で、勝っても負けても表情を変えることなく、淡々と土俵に向かう精神力も強みです。

小学生で相撲を始め、中学時代には全国大会の決勝で、現在、幕内の阿武咲を破り中学生横綱となりました。

高校は多くの関取を輩出した埼玉栄に進み、卒業後に貴乃花部屋に入門し、平成26年秋場所初土俵を踏みました。

おととし9月の秋場所後には、貴乃花親方が日本相撲協会を退職し所属していた貴乃花部屋が消滅したため、千賀ノ浦部屋に移籍しました。

その直後、小結で迎えた11月の九州場所で13勝2敗の好成績を挙げて初優勝しました。

その後も安定した成績で3場所連続で2桁勝利を挙げ、去年の春場所後に大関に昇進しました。

しかし、新大関として大きな期待を集めた去年の夏場所で右ひざを痛めて途中休場し、続く名古屋場所も休場して僅か2場所で関脇に陥落しました。

秋場所には12勝3敗で1場所で大関復帰を果たしたものの、千秋楽の優勝決定戦で左胸に大けがをしました。

さらにことしの7月場所には左ひざを痛めるなど、相次ぐけがに苦しみ、大関昇進後は優勝から遠のいていました。

それでも今場所は看板力士が次々に休場する中、強じんな精神力でただ一人の大関として土俵を締め続け、2年ぶりの優勝を果たすとともに、目標の横綱昇進に向けて大きな一歩を踏み出しました。

大相撲11月場所で、兵庫県芦屋市出身の大関 貴景勝が、2年ぶりの優勝を果たしたことについて、地元からは喜びの声が聞かれました。

芦屋市に住む50代の男性は「芦屋から優勝力士が出てすごく誇りに思います。芦屋出身の有名人はあまりいなかったので、貴景勝関のように活躍してもらえるとうれしいです」と話していました。

芦屋市に住む40代の女性は「もっともっと、この町を元気づけてほしいです。明るい話題がみんなほしいと思うので、優勝してうれしいです」と話していました。

貴景勝のファンだという9歳の男の子は「横綱になって活躍して日本全国に名前が行き渡るように頑張ってほしいです。応援しています」と話していました。

優勝した貴景勝について日本相撲協会八角理事長は「一人大関の状況で本当に立派だ。コロナ禍の中、来てくれたお客さんのためにこれだけいい相撲を取ってくれて、本当にいい大関だ」と話し横綱大関陣の休場が相次ぐ中、ただ一人の大関として場所を支え続けたことを高く評価しました。

日本相撲協会伊勢ヶ濱審判部長は、大関で優勝した貴景勝について、来場所が横綱昇進に挑戦する場所になるという認識を示しました。

伊勢ヶ濱審判部長は22日の千秋楽の打ち出し後、報道陣の取材に応じました。

この中で「来場所は綱とりになるか」と問われて、「そうですね」と答え、貴景勝が次の初場所横綱昇進に挑戦する場所になるという認識を示しました。

そのうえで「来場所優勝となれば当然、そういう話になる。でも優勝しなければだめ。レベルの低い優勝でも困る。今場所のように勝っていれば話も出てくる。立ち合いを鋭く立っていけば可能性はある」と話していました。

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