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イギリスのジョンソン首相とEUのフォンデアライエン委員長は24日午後、それぞれ記者会見し、自由貿易協定の締結などで合意したと発表しました。

フォンデアライエン委員長は「長く曲がりくねった道のりだったが、われわれはついに合意に達した。合意は公平で、バランスのとれたものだ」と意義を強調しました。

そのうえで「合意はイギリスの利益にもかなうと思っており、古くからの友人と新たな関係を始めるうえでの強固な基盤になるものだ。『ブレグジット』は過去のものとなり、ヨーロッパは前に進み続ける」と述べました。

ジョンソン首相も「われわれはこれまでで最大の貿易協定をまとめ上げた。包括的な貿易協定でイギリスの雇用を守り、EUの市場でイギリスの製品を関税なしに売ることができる」と交渉の成果をアピールしました。

そのうえで「われわれの法律や運命を取り戻した」と述べ、合意の意義を強調しました。

イギリスとEUは、新型コロナウイルスの感染拡大で経済に大きな影響を受けていて、合意できなければさらなる打撃になるとみられていましたが、今回の合意で、双方の間の貿易に年明けから広く関税がかかる事態は避けられることになりました。

ことし3月に始まった交渉は、イギリスの海域での漁業権などをめぐって意見が対立し、難航してきましたが、協定の締結期限が1週間後に迫る土壇場での決着となりました。

イギリスとEUは今後、それぞれの議会での承認など必要な手続きを進めることにしていて、自由貿易協定は来年1月1日から暫定的に適用される見通しです。

イギリスとEUの合意の主なポイントです。

【関税ゼロは維持 通関手続きは必要に】
双方の貿易では来月以降もこれまでどおり関税ゼロが維持されます。
ただ、通関手続きは必要となり、双方の境界では混乱も予想されます。

【イギリス海域での漁業権】
イギリス海域での漁業権については、年明けから5年半の間「移行期間」を設けます。
この間、EU側の漁船はこれまでどおりイギリスの海域で操業できますが、EUが漁獲枠の25%をイギリスに返すとしています。
移行期間が終了したあとは、毎年協議を行うとしています。

【公平な競争 ルールを合わせる】
EUは、イギリス政府が企業に多くの補助金を出したり、労働、環境などの規制を緩和したりすることで、EUの企業が不利になることを懸念し「公平な競争条件」を求めてきました。
合意では双方がルールを合わせることで一致し、守られなかった場合には必要な措置をとるとしています。

イギリスとEU自由貿易協定などの交渉で合意に達したことについて、フランスのマクロン大統領はツイッターに投稿し「ヨーロッパの結束と断固とした姿勢が、成果をあげた。合意はわれわれの市民や漁業者、そして生産者を守るために極めて重要だ」と合意を歓迎しました。

ドイツのメルケル首相は24日、声明を発表し「歴史的な意義がある」として歓迎しました。

また、協定によってイギリスとの新たな関係の基盤が生み出されるとしたうえで「イギリスはドイツにとってもEUにとっても引き続き重要なパートナーであり続ける」としています。

イギリスがEUを離脱したことを受けて、双方は移行期間が終わる年明け以降の関係を決めるため、ことし3月から自由貿易協定などの交渉に入りました。

しかし交渉は、イギリスが、みずからの意思でものごとを決めたいと主権にこだわる一方、EUは、イギリスがEUの市場にアクセスしたいならEUのルールに合わせるべきだと主張し、難航しました。

この根本的な立場の違いは3つの点で表面化しました。

その1つが、企業の公平な競争を確保するためのルールです。
補助金や環境、労働分野などでの規制について、イギリスは、離脱した以上、EUに従う必要はなく独自のルールを設けたいと主張。

これに対しEUは、経済的な関係が深いイギリスだけが企業に多くの補助金を出したり規制を緩和したりすれば、公平な競争が維持できないとして、引き続きEUのルールに合わせるよう求めてきました。

また、イギリスとEUの間で貿易などをめぐる紛争が発生した場合の解決手段について、イギリスが、調停機関を新たに設けることなどを主張したのに対し、EUは、従来のEU司法裁判所で解決することを求めました。

さらに、イギリスの周辺海域での漁業権について、EUが操業する権利を最大限確保しようとしたのに対し、イギリスは強く反発しました。

双方は、関税ゼロの貿易を行うことなど、ほかの多くの分野では意見が一致したものの、これら3つの点で互いに譲歩せず、対立し続けました。

移行期間の終了が迫った今月に入って、ジョンソン首相とフォンデアライエン委員長は、電話や対面で繰り返し会談し、妥協点を探っていました。

ヨーロッパでは多くの日系企業が事業を展開していて、外務省によりますと、その拠点の数は、
▽ドイツで1800余り、
▽イギリスで900余り、
▽フランスでおよそ700に上りますが、
来年からこれらの企業の経営環境は変わることになります。

イギリスとEU自由貿易協定の締結に向けて合意したことで、イギリスとEUの間の貿易では、これまでと同様に関税や数量制限がかからないことになりました。

影響が特に大きいとみられていたのが自動車メーカーで、協定がないと乗用車に10%の関税がかかるため、業界全体の打撃は新型コロナウイルスに匹敵すると訴えてきました。

このため、合意に至ったことを自動車業界は歓迎しています。

ただ、今回の合意で関税ゼロの対象となる製品は原則として原産地がイギリスとEUに限定されたため、日本などから輸入した部品を多く使うと対象外となる可能性があり、メーカー各社は詳しい内容の確認に追われています。

合意を受けてトヨタ自動車は「この自由貿易協定で関税がゼロとなり、必要な対応をとるために十分な時間が与えられるなら、競争力は維持できる」とコメントし、関税ゼロは幅広く実現されるべきだとしています。

さらに、イギリスは来年から、ものの移動が自由なEUの経済圏から抜けるため、双方の貿易で内容や数量などを申告する「通関手続き」が新たに必要になります。

業務が煩雑になるうえ、イギリスとEUの境界付近がしばらくの間、渋滞すると見込まれることで、輸送の遅れによる影響を受けるおそれもあります。

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