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イギリスとEUはイギリスがことし1月にEUを離脱したあと、社会の急激な変化を避けるための移行期間に入り、自由貿易協定などの交渉を続けています。

交渉は漁業権や企業への補助金などをめぐる立場の隔たりから難航し、今月中旬には交渉の決裂が危ぶまれましたが、22日から再開しました。

交渉の進捗(しんちょく)についてEUのフォンデアライエン委員長は29日、「よい進展もあるが、依然、漁業権などをめぐる問題が残っている」と述べ、安易な譲歩はしない姿勢を改めて強調しました。

一方、イギリスのジョンソン首相はこれまで、「合意できない場合に備えて準備を進める」などと述べ、強気の構えを崩していません。

しかし、双方とも新型コロナウイルスによる制限措置によって、すでに経済に大きな打撃を受けているうえ、感染が再び拡大しています。

こうした中で、協定が結ばれなければ経済のさらなる混乱が見込まれるため、本音では合意したい考えだとみられます。

移行期間は年末までですが、議会での承認手続きなどを考慮すると、実質的な交渉期限は来月上旬までとみられていて、ぎりぎりの攻防が続いています。

イギリスとEUの交渉が難航している原因は、主に2つの点でそれぞれの主張が真っ向から対立しているからです。

1つは「公正な競争」をめぐる問題です。

仮に双方が自由貿易協定を結んだうえで、イギリスが労働条件や環境基準、企業への補助金のルールなどさまざまな規制を緩めた場合、イギリスの企業の競争力はEU域内の企業よりも高まることになります。

これについてEUは「公正な競争」となるよう、イギリスはEUのルールに合わせるべきだと主張しています。

一方イギリスは、EUのルールに縛られ続けるのでは離脱した意味がないと考え、「競争力を高めるのは当然のことだ」と反対しています。

もう1つの対立点が漁業権をめぐる問題です。

これまでは、イギリスの海域で漁をすることが、EUのルールによって他の加盟国にも認められていましたが、イギリスは離脱後はこれまでのルールは認められないとの立場です。

しかし、EUは「イギリスの離脱はEUが望んだことではなく、EU側がルールを変える必要はない」として、これまでどおりの漁業権を主張しています。

交渉が進まない状況に、イギリスにおよそ1000社が進出する日本企業は焦りを募らせています。

イギリスでは日産自動車トヨタ自動車、それにホンダが自動車を生産し、EUの各国に輸出しています。

自由貿易協定がないまま移行期間が終了すれば、来年1月から乗用車には10%の関税がかかることになります。

日本メーカー各社も加盟するイギリスの自動車工業会は、もし関税がかかることになれば、EUで販売する車の価格が上がって需要が落ち込み、イギリスの自動車産業新型コロナウイルスに匹敵する打撃を受けると訴えています。

不安は自動車業界以外にも広がっています。

ロンドン近郊で半世紀にわたって操業する日本の火災報知器のメーカーは、イギリスを拠点にヨーロッパ全体でビジネスを展開していて、EU向けは全体の6割を占めています。

協定なしだと火災報知器には最大7%の関税がかかることになるため、大口の顧客の中には負担が数百万円規模で増えるところもあり、最悪の場合、EUの取引先を失うリスクも抱えています。

門倉良昭社長は「離脱の際と同様に、今回の移行期間終了に向けても、なかなか将来が決まらないことがもどかしい。どんな対策をとればいいのかが決められず、ひたすら待つしかない。とにかく早く確定してもらいたい」と話しています。

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