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 最も人目を避けたい行為を、なぜ4回も繰り返すのだろうか。

 現金授受の場所は、他人の目につかない場所であるべきだ。まず、思い浮かぶのが料亭などの密室だが、これは来客記録が残る場合が多い。

 控訴審の判決では裁判所は、「本件5億円は違法な賄賂であって、その支払いを契機に事が露見することは絶対避けねばならない事柄であり、したがって、支払いの時期や方法が慎重に選択されたとしても決して不思議ではない」と、述べている(1987年7月29日)。

そもそも5億円の札束は、車のトランクに充分収まるボリュームなのだ。

 拙著『標的』がテレビドラマ化された時、3億円の現金を授受する場面を見学したことがある。ドラマ・クルーは、「リアリティが大切だから」と100万円の札束の寸法を測り、現金3億円分の紙束を用意した。それらは、ショッピングバッグ2袋で収まってしまった。

 すべての現金授受は白昼堂々と行われている。さらに、4度目を除くと、いずれも屋外での授受だ。

 他人の目に触れない場所で、密かに行われるべき行為を、なぜこんな場所で。

 起訴状に記された4度の現金授受のうち、最も不可解なのが3度目の授受だ。74年1月21日午後4時半、ホテルオークラの駐車場で行われたとある。

 この日の午後4時、ホテルオークラ「平安の間」で当時衆議院議長を務めていた前尾繁3郎を「激励する会」が催されていた。自民党宏池会出身の長老である前尾の会だけに、数100人が集まっていた。

 伊藤はこの会に出席しており、そのついでに、同ホテルの駐車場に榎本を呼び出して1億2500万円の現金を渡したというのだ。

 ちなみに、駐車場は宴会場の正面にある。

 政治家のパーティともなれば会場周辺には、ハイヤーなどがすし詰め状態で待機しているし、メディアも大勢いたはずだ。

 そんな場所で、参加者の大半が顔を知っている総理大臣の政務秘書官と丸紅専務が、ダンボール箱を車に積み替えている姿など、もはやコメディとしか思えない。

 1974年1月21日─。その日まで、東京地方は71日間も降雨の日がなかった。それが、朝から都内の雲ゆきが怪しくなった。都民は恵みの雨を期待するが、雪の洗礼を受けることになる。しかもとんでもない大雪だった。

 鉄道網は麻痺し、道路では、雪で立ち往生した車の乗り捨てが相次ぐ。

 朝日新聞は翌22日の朝刊で、前日の降雪を“雪異変”と称した。そして、前日(21日)の午後5時に撮影した通行止めの首都高と、大渋滞している一般道の様子を撮った写真を掲載した。

 都心(千代田区、港区、中央区)まで、「新宿から1時間半かかった」「練馬から3時間」などというタクシー運転手のコメントもある。

 また、前日の夕刊には「雪による高速道路の閉鎖など首都圏の交通が混乱したため、一部地域では配達が大幅に遅れました」というお詫び記事も掲載されている。

 そんな大雪の日に、丸紅の伊藤宏は角栄の秘書・榎本敏夫に、現金を手渡したと供述している。

 検察の調書では、午後5時10分に現金1億2500万円を積み、榎本を乗せた笠原車が、参議院会館を出発。同5時40分に目白台の田中邸に到着して、カネを下ろした上で、同6時4分に再び参議院会館に戻ったことになっている。

 偶然にも、朝日新聞が雪で通行止めになっている首都高を撮影した時間帯だ。

 高裁審では、弁護側が降雪の記録を多数提示して、金銭授受は物理的に不可能と訴えている。さらに、降雪翌日の毎日新聞朝刊で、首都高のランプ(出入口)は、平和島など4カ所を除いて、全て閉鎖と伝える記事も提示した。

 調書の記録通りに現金輸送を完了するなら、霞が関ランプで首都高に入り、護国寺ランプで降りるのが最適だ。

 その両ランプが、雪で閉鎖されていたら、検察が想定した時間内で、参議院会館と田中邸の往復は不可能になる。もちろん一般道も使い物にならない。

 だが、この2カ所のランプの同日の開閉状況の資料は、廃棄されていた。

 宗像は、2004(平成16)年、名古屋高検検事長を最後に退官し、現在は弁護士として活躍している。

 私がロッキード事件を改めて見直していると話すと、宗像は「世代の違うあなたが、あの事件を検証するというのは意味があるね」と言った。その言葉に背中を押され、ロッキード事件に向き合うたびに感じる違和感をぶつけてみた。

「一般人の感覚なら、民間航空会社の機種選定が総理大臣の職務権限に含まれるなんて考えもしないだろうね。総理大臣なんだから、全ての省庁の大臣に何でも命令できるし、その権限もある─と、最初から決めつけていたら、検察の主張に説得力なんて生まれないのではないですか」

 人を殺せば殺人罪だという分かりやすさが、受託収賄罪にはない。

 厄介なことに、受託収賄罪の重要な構成要件である職務権限について、総理をはじめ各大臣の職務は法律で細かく定められていない。したがって、事件を構成するひとつひとつの要素に白黒が付けにくく、結果としてグレーゾーンでの解釈論争になる。

「総理大臣の職務権限自体が曖昧で、しかも、総理といえども好き勝手に判断したり行動できないよう、総理の決断については閣議決定を義務づけている。ところが、角栄が罪を問われた丸紅ルートについて、『全日空には、ロッキード社のトライスターを買わせる』という閣議決定は、存在しない。だから、職務権限なんてないだろうという議論が起きるのは、当然の流れでしょう」

 拍子抜けするぐらい、宗像は私の違和感を肯定した。

 ところが、民間航空機の機種選定に政府が関われるのか、という疑問から出発して考えると、別の結論に至ると、宗像は言う。

 民間航空会社が新機種を導入するにあたっては、安全性や経済性、さらには当時問題視されていた離着陸時の騒音などについて、購入前に、政府の審査が必要であるという法的な縛りがあるからだ。

 航空会社が新しい機種を採用する場合は、航空法の「定期運航事業者の事業計画変更」(航空法100条など)に該当する。そして、定期運航事業者の事業計画は免許制で、運輸(現・国土交通)大臣の許認可が必要だ。

 つまり、運輸大臣には、民間航空会社の新機種選定の際に指導する職務権限はあったと考えられる。とはいえ、具体的に機種まで押しつけられるのかとなると、疑問である。

 それに、運輸大臣は閣僚の1人であるから、権限を行使するとしても、内閣の意志に反する判断はできない。

「しっかりと指導監督せよ」と運輸大臣に命じられるのは、総理大臣ただ1人だ。運輸大臣が総理の意向に背くようなら、彼を罷免する権利を総理は有している。これらは、憲法や内閣法で規定されている。

「本来運輸大臣が行うべき職務権限を総理が行使することが違法であるという規定はありません。そして、総理は憲法(72条)と内閣法(6条)で、内閣を代表し、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部の長たる各大臣を指揮監督する権限を付与されているから、総理が直接全日空に口利きするのは、職務権限の行使であるわけです」

 分かりやすく言えば、総理は大臣を束ねるボスだから、各大臣には総理の意向を強要できるし、また大臣の権限についても総理が行使するのは、当然の職務権限だろうという理屈になる。

 しかし、法律の拡大解釈は厳に慎むべきであるというのが、法の精神である。この連想ゲームのような「総理に職務権限あり」の発想は、屁理屈ではないか。

「法律的思考からすれば、なんら問題がない。あとは裁判所が判断することになる。それが法治国家のルールだし、裁判というものです」

 何を尋ねても、宗像は考えを押しつけるでもなく、余裕綽々である。

 そして宗像は当然のように「それが法治国家のルール」だと言うが、その論理がストンと腹に落ちない不可解さ─。

 それが、ロッキード事件には漂っている。

 ちなみに、ロッキード事件の場合、運輸大臣全日空に対して機種選定について指導したり、強要したという事実はない。そして、角栄が直接関わった証拠もない。

では、弁護側は、それにどう立ち向かったのだろうか。

 第一審から田中弁護団の事務局長を務めた弁護士・稲見友之に話を聞いてみた。

 麹町にある事務所を訪ねると稲見は、裁判記録のファイルを積み上げたデスクの前で、私を迎えた。

 そして開口一番、「今までは、核心的な取材には応じてこなかったが、今回はすべて話したい」と言った。

 なぜ、今回は特別なのかと尋ねると、稲見は、1冊の本を示した。東京地検特捜部の検事が主人公の拙著『売国』だった。

「連載時から読んでいたが、これを書いた人の手が関われば、もしかしたらロッキード事件に、新しい光が差すのではないかと思っていた。そこに取材依頼が来たので、腹をくくりました」

 恐縮するしかなかったが、私自身も、まさにその新しい光を求めているのは間違いなかった。

 稲見の大きな目には誠実の光がある。角栄の壮絶な人生の終焉を目撃した両眼は、今も輝きを失っていない。

 稲見は職務権限について、「検察の主張は、私からすれば無茶苦茶な話で、総理は閣僚全ての職務権限を持つというような論理が通るのなら、総理大臣は独裁しても良いと、裁判所がお墨付きを与えるようなものです」と言っている。

閣議決定と了解は同義であるという以外に、検察は、2つの答弁書を引っ張り出してきて、それによって閣議決定と考えるとも主張しました」

 答弁書とは、国会で議員からの質問を受けて、総理を含む大臣が答える際に用意される文書のことだ。通常は、官僚が用意し、それを大臣が確認後に閣議にかけて決定するという流れになっている。

 といっても実際に各答弁書の内容を細かくチェックする大臣など皆無で、ただ回覧して署名捺印をする儀礼的なものになっている。

「検察が見つけてきた答弁書の1つは、大型旅客機導入に関する政府の方針について、野党議員が具体的な機種を問うたものです。それに対して運輸大臣はDC−10、トライスター、ボーイング747SRの3機種を想定していると答えています。もう1つは、田中先生の総理就任を受けて、ハワイで行われた日米首脳会談で、アメリカの要請に応える形で、大型機の緊急輸入を認めたものでした」

 この2つの答弁によって、検察は、総理にはトライスターを選定するように全日空に働きかける職務権限が成立したと主張した。

「こんなバカげた話が通るはずがない。どちらも、あまりにも拡大解釈が過ぎます。我々はそう信じて、田中先生が、全日空にトライスターを選定させたという閣議決定がない以上、職務権限など存在しなかったと訴え続けました」

 果たして、結果はどうなったか。

 1審、控訴審ともに、裁判所は検察側の主張を全面的に認めたのだ。

 控訴審が始まる半年前の85年2月に脳梗塞で倒れた角栄は、その後、弁護団にさえ会えない状態が続く。

 そして、上告審が審議中の1993(平成5)年12月16日、角栄はこの世を去った。

 被告が亡くなって、罪を問う存在がいなくなったために、最高裁角栄の公訴を棄却、最高裁は95年2月22日の丸紅ルートの判決で、総理の職務権限について、従来とは異なる判断を示した。

 すなわち、「(運輸大臣の職務権限について)民間航空会社が運航する航空路線に就航させるべき航空機の機種選定は、本来民間航空会社がその責任と判断において行うべき事柄であり、運輸大臣が民間航空会社に対し、特定機種の選定購入を勧奨することができるという明文の根拠規定は存在しない」とした。

 その一方で、運輸大臣は行政指導する権利を有する立場にあり、機種選定に干渉できるという矛盾する判断を下した。

 そして、角栄が機種選定を全日空に働きかけた行為については「判断は示さないこととする」とした。

 稲見は言う。

「田中先生が亡くなって、総理の犯罪を立証する必要がなくなった。それによって贈賄側(=丸紅)が請託の意を持って田中先生にカネを渡したことだけを立証すれば、贈賄罪が成立するため、職務権限については曖昧でも問題がなかったんです」

 最高裁が、総理大臣の職務権限についての判断を示さなかったのは、それが判例として、将来に影響を与えるのを避けたかったからだろうと稲見。

「だとしたら、何のためにあんな長い年月闘ってきたのでしょうか」

 その時の怒りを思い出したように、その一言だけ稲見の語気が乱れた。

公訴棄却となったが、実際に丸紅から5億円の現金を受け取ったとされる総理秘書官、榎本敏夫の罪(外為法違反)が95年2月に最高裁で確定した。角栄の死で公訴は棄却されたとはいえ、裁判所は角栄が5億円を賄賂として受領したと認定したわけである。

 最高裁の後始末を見ていると、どう考えても、総理に職務権限があったと判断するには無理がある。角栄が裁判中に亡くなるという不運によって、この決定が、判例として現在も残っているのは、理不尽としか言いようがない。

 宗像と稲見からは、同じ問題提起があった。

「職務権限の問題も重要だが、それ以上に、ロッキード事件丸紅ルートを検証する上で最も重要なことは、5億円が本当に田中角栄に渡ったのかという点だ

 殺人事件が起きたと言われて現場にかけつけたら、死体がなかった。これでは殺人事件は成立しにくい。

 奇しくも2人の証言者は、この同じたとえを用いて、その違和感を説明した。

#法律

東京都は、14日午後3時時点の速報値で都内で新たに10歳未満から90代までの男女、合わせて1502人新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

1週間前の今月7日は過去最多の2447人で、木曜日としてはそれに次いで2番目に多くなりました。

1日の感染の確認が1000人を超えるのは2日連続です。

14日の1502人の年代別は
▽10歳未満が48人
▽10代が100人
▽20代が379人
▽30代が293人
▽40代が214人
▽50代が207人
▽60代が113人
▽70代が82人
▽80代が51人
▽90代が15人です。

これで都内で感染が確認されたのは、合わせて8万人を超えて8万68人になりました。

7万人を超えたのは今月8日で、8万人を超えた14日までわずか6日しかかかっておらず、増加のペースが速くなっています。

一方、都の基準で集計した14日時点の重症の患者は、13日より6人減って135人でした。

東京都内で、今月に入って新型コロナウイルスの感染が確認された人は、14日までに1万9891人に上ります。

先月、1か月の合計の1万9245人をすでに上回っていて、今月は、半月たたずに先月ひと月分を超えました。

東京都内で、これまでに新型コロナウイルスの感染が確認された人は14日、合わせて8万人を超えました。

7万人を超えてから8万人を超えるまでに6日しかかかっておらず、増加のペースがさらに速まっています。

東京都内で感染確認の合計が1万人を超えたのは去年7月22日、2万人を超えたのは、その後1か月余りたった8月27日でした。

その後、3万人を超えたのは去年10月25日で、およそ2か月、さらに4万人を超えたのは、去年11月28日で、1か月余りたってからでした。

そして、5万人を超えたのは、およそ3週間たった去年12月18日、6万人を超えたのは、およそ2週間たった去年12月31日で、増加のペースが速くなります。

そして、7万人を超えたのは、8日たった今月8日。

そして、14日に8万人を超えて、8万68人となりました。

7万人を超えてから8万人を超えるまで、わずか6日しかかかっておらず、増加のペースがさらに速くなっています。

都内では、先月31日に感染の確認が初めて1日当たり1000人を超えて以降、2000人や1000人を超える日が相次いでいて、感染の急拡大に歯止めがかからない状態になっています。

旧国民民主党に所属していた浜口誠参議院議員は、同じく連合傘下の産業別労働組合自動車総連」出身の国会議員2人とともに、去年9月に行われた合流新党の立憲民主党の結党に伴い、無所属で活動していました。

こうした中、「自動車総連」は14日、中央委員会をオンラインで開き、浜口議員が改選期を迎える参議院選挙を来年の夏に控え、政策の方向性がより近い政党で活動するのが望ましいとして、国民民主党に入党させる方針を決めました。

残る2人の国会議員の対応は、今後の政治状況を見ながら検討を続けるとしています。

浜口議員は、NHKの取材に対し「提案型の国民民主党自動車産業の政策実現をしっかりと前に進めたい。入党時期については今後、相談して決めたい」と述べました。

河野太郎行革担当相は14日、トランプ米大統領の支持者らが連邦議会議事堂に乱入した事件に大きな衝撃を受けたと語り、米政府は「民主主義的価値」と法による支配の擁護者としての国際的な役割を果たすべきとの見解を示した。「ロイターネクスト」会合でのインタビューで述べた。

また、トランプ大統領が離脱を決めた地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」や環太平洋連携協定(TPP)などの国際協定に、米国が復帰することを期待していると述べた。

首都ワシントンで学生時代を過ごし、米議員の議会事務所でインターンの経験もある同相は「群衆が議事堂に乱入していくのを見て、非常にショックだったと言わなければならない」と語った。

コロナ後の世界については、民主主義と独裁主義体制、自由社会と英作家ジョージ・オーウェルが描いた監視・管理社会とに分断される可能性があるとの見方を示した。その上で「米国には引き続き、民主国家としてリーダーシップを取り、民主主義的価値と法による支配の擁護者であってもらいたい」とした。

インタビューは英語で行われ、話題はオリンピックや規制緩和企業統治に至るまで多岐にわたった。

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#政界再編・二大政党制