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中国政府は、今月5日から始まった全人代全国人民代表大会でことしの予算案を明らかにし、このうち国防費はことしもさらに増大し、去年に比べて6.8%多い日本円で22兆円余りに上るとしています。

沖縄県尖閣諸島の沖合で中国海警局の船が日本の領海に侵入するなど、中国側が活動を執ように継続させる中、防衛省は日本の防衛費のおよそ4倍に上る国防費が計上されたことに、中国が軍事力の質・量ともにさらなる強化を図ろうとしているとみています。

さらに、導入する装備や規模など具体的な内容が不透明なままだとして、安全保障分野の対話や交流を通じて中国側に透明性を向上させるよう働きかけるとともに、引き続き、中国の軍事動向への分析を進め警戒を強めることにしています。

中国政府によりますと、習近平国家主席は5日、北京で全人代にあわせて開かれた内モンゴル自治区の代表団の会議に出席しました。

この中で、習主席は「文化は最も深いアイデンティティーであり、民族団結の根本だ。中国語の普及にしっかり取り組み、全国統一の教科書の使用を進めなければならない」と述べ、自治区に住むモンゴル族をはじめ少数民族に対する中国語教育の強化を指示したということです。

習近平指導部は固有の言語を持つ少数民族に対する中国語教育を重視していて、新疆ウイグル自治区チベット自治区では「国語」と「道徳」、「歴史」の3つの教科で中国語による授業を導入しています。

内モンゴル自治区では、去年から小中学校の一部の授業でモンゴル語ではなく中国語が使われるようになり、現地ではこれに反発する保護者や生徒らによる抗議活動が起きています。

習主席は、この日の会議で特に若年層で「中華民族としての共同体意識」を育む教育を進める必要があると強調していて、少数民族への統制を強めるねらいがあるとみられます。

中国の税関当局が7日発表した1月と2月の貿易統計によりますと、輸出と輸入を合わせた貿易総額は8344億9000万ドルと去年の同じ時期と比べて41.2%増えました。

このうち輸出額は4688億7000万ドルと60.6%の大幅な増加となりました。去年の同じ時期の輸出は新型コロナウイルスの感染拡大による企業活動の停滞で大幅に落ち込んでいたため、今回は統計にその反動が現れたことに加え、税関当局は「欧米の生産や消費の回復が中国の製品への需要を増加させた」としています。

また輸入額は3656億2000万ドルと去年の同じ時期と比べて22.2%増加して内需の回復が続いていることも示しています。

中国の輸出は世界的な感染拡大の影響によるマスクや医療機器の需要の高まりに加え、パソコンなどの電子機器も好調で去年6月以降、プラスの状態が続いており、中国経済の回復を後押ししています。

#経済統計

中国の王毅外相は北京で開かれている全人代全国人民代表大会にあわせて7日、記者会見しました。

この中で王外相は、中国で先月、海警局の船に武器の使用を認める「海警法」が施行され、日本で懸念の声が出ていることについて「特定の国を対象にしたものではなく、国際法に完全に合致している。日本を含む多くの国が類似の法律を制定している」と主張し、法律を正当化しました。

そのうえで「協議を通じて海上の争いに対処し、武力による威嚇をしないことが中国政府の一貫した立場だ」と述べて理解を求めました。

また、東京オリンピックについて「中国と日本は、前後してオリンピックを開催することになっており、互いに支持し協力すべきだ」と述べました。

さらに、アメリカのバイデン政権が香港や新疆ウイグル自治区などをめぐって中国を厳しく追及する方針を示していることについて「われわれは根拠のない非難や核心的利益の侵害を決して許さない。長年、アメリカは民主や人権を掲げて他国の内政に干渉し、世界で多くのトラブルを起こしてきた」と述べ、反発しました。

一方で、新型コロナウイルス対策や経済の回復、気候変動などの分野では協力できるとして関係改善を呼びかけました。

アメリカのトランプ前政権が台湾との関係強化を進めてきたことについては、「われわれはどのような形の台湾独立の動きも覆す能力がある」としたうえで「アメリカの新政権には台湾問題の敏感さを十分に認識し、前政権のように一線を越えて火遊びをする危険なやり方を改め、台湾問題に慎重に対処するよう求める」と述べ、バイデン政権をけん制しました。

また、王外相は中国が主導する香港の選挙制度の変更について「愛国者が香港を統治することは一国二制度を推進し、香港の長期的な安定を保つために欠かせない」と強調しました。

また、王毅外相は、中国が海洋進出を活発化させている南シナ海について、「アメリカなどの西側諸国は、南シナ海を混乱させようと、航行の自由を旗印として頻繁に騒ぎを起こしている。これらの国々の目的は、南シナ海の平和を破壊し、地域の安定をかき乱すことにある」と述べ、関与を強めるアメリカなどをけん制しました。

そのうえで、中国は、南シナ海をめぐって領有権争いのあるASEAN東南アジア諸国連合の国々との関係について「互いの意見の違いを適切にコントロールする自信や能力、知恵を持っている」と述べ、アメリカなどがこの問題に関与しないよう重ねて求めました。

イギリスは去年、EUヨーロッパ連合から離脱したのを機に、外交や安全保障政策などの見直しを進めていて、今月16日に新たな方針を発表します。

ジョンソン首相は「冷戦終結以降で最大となる見直しだ」としていて、この中で、インド太平洋地域への関与を強める姿勢を打ち出す見通しです。

ジョンソン首相は、2月のミュンヘン安全保障会議で、ことし、インド太平洋地域にイギリス海軍の最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を派遣することを改めて表明しました。

空母を中心とする打撃群にはアメリカのF35戦闘機や駆逐艦も加わるとしていて、この地域におけるアメリカとの安全保障面での協力も強化する方針です。

また、先月開かれた日本とイギリスの外務・防衛の閣僚協議では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて両国の連携を強化していくことを確認しています。

さらにEU以外ともつながりを深めて経済成長を図る「グローバル・ブリテン」を掲げTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加盟を申請するなど、経済や貿易面でも発展を続けるこの地域への関与を強めています。

中国をめぐっては、経済関係の強化を進めるなど一時は「黄金時代」とも呼ばれていましたが、香港問題やウイグル族への対応などをめぐりその関係は悪化しています。

中国やアジア太平洋地域の情勢に詳しいイギリスの王立防衛安全保障研究所のベール・ノーウェンズ氏は、空母の派遣について「中国に対しシグナルを送るものだ。南シナ海などにおける中国の行動をイギリスがいかに懸念しているかを示している」と述べ、影響力を強める中国に対し、ルールや秩序を守るよう求め、けん制する狙いもあるとしています。

また、日本やオーストラリアといったパートナーに、イギリスがこの地域の平和の実現に真剣に関わる立場を伝えるものだともしています。

一方で、「封じ込めだと受け止められないよう注意深く行動している」と指摘し、気候変動などの問題では中国と協力していく姿勢は明確だと分析しました。

ドイツ政府は去年9月、インド太平洋地域での外交や経済、それに安全保障の指針をまとめました。

指針は「ルールに基づく秩序」や「多国間主義」を掲げ、日本やオーストラリアなどとの関係強化を目指していて、これまでの中国を中心にしたアジア外交を転換し、多角化させる姿勢を打ち出しました。

この指針に基づき、ドイツ政府はインド太平洋にフリゲート艦1隻を派遣する計画を進めています。

海外領土をもたないドイツがこの海域に艦船を派遣するのは異例です。

計画では、フリゲート艦はことし8月初めにドイツを出港し、マラッカ海峡を通ってオーストラリアの方向に向かいます。

その後、朝鮮半島に向かい、南シナ海を通って来年2月終わりにドイツに戻る予定だということです。

この間、周辺国への寄港や共同演習への参加などが計画されていますが、中国が領有権を主張する南シナ海の島々から12海里内の海域を航行する予定はないということです。

ドイツのクランプカレンバウアー国防相は去年12月、この地域の安全と安定が侵害されることは、貿易大国のドイツにも直結する問題だとして、価値観を共有するパートナーと連携を深めながら、安全保障の面で地域への関与を強めていく方針を示しています。

こうしたドイツの姿勢について、ドイツ国際政治安全保障研究所のフェリックス・ハイドゥク博士はNHKの取材に対し、▽アメリカと中国の対立によってインド太平洋地域が不安定化していることや、▽ドイツ国内でも中国に経済的に依存しすぎることへの懸念が強まっていることなどが背景にあると指摘しています。

そのうえでハイドゥク博士は「ドイツのフリゲート艦が1隻、長期間派遣されても、軍事的なパワーバランスに影響はないだろう。艦船の派遣はオーストラリアや日本に向けてドイツがこの地域に実際に関与する姿勢を示す象徴的なものだ」として、ドイツの狙いは、中国への対決姿勢を示すことではなく、地域のパートナーとの連帯を示すことにあると分析しています。

インド太平洋地域に海外領土をもつフランスは、この地域の安全保障に強い関心を寄せて毎年、この海域に艦船を派遣してきました。

4年前に発表した防衛と安全保障に関する戦略では、中国軍がこの海域で存在感を高めていることが新たな戦略的な課題だと指摘しています。

フランスは、インドやオーストラリアなど地域の国と協力関係を深め、先月には、九州の西の海域でフランス軍と日本の海上自衛隊、それにアメリカ軍の共同訓練が行われました。

この中では、おととし締結された、自衛隊フランス軍との間で食料や燃料、弾薬などを互いに提供し合う協定に基づいて初めて海上自衛隊の補給艦からフランス軍フリゲート艦に燃料が補給されたということです。

去年12月には沖ノ鳥島の周辺海域でフランス軍海上自衛隊が「対潜水艦」の訓練を初めて共同で行い、フランス政府は「インド太平洋の安全と安定に対するフランスの積極的関与を示すものだ」としています。

フランス軍南シナ海に艦船などを派遣させていることについて、中国外務省の汪文斌報道官は、先月9日の記者会見で「中国は一貫して各国が国際法に基づいて南シナ海で航行、飛行する自由を尊重している」と主張しました。

一方で「いかなる国も『航行の自由』を名目に中国の主権と安全に危害を及ぼし、地域の平和と安定を損ねることに反対する」と述べて、フランスの動きをけん制しました。

また中国国防省は今月1日の記者会見で、フランスやイギリスの海軍が南シナ海での活動を準備していることについて「中国の南シナ海の平和と安定を維持する決意に揺らぎはない」と主張しました。

そのうえで「いかなる国も『航行の自由』を名目に南シナ海での軍事的影響力を強め、緊張を生み出したり、地域に手出しして地域の国々の共通利益を損ねたりすることに断固として反対する」と強く反発しました。

#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

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