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都内の3組の事実婚の夫婦は、2018年に夫婦別姓での婚姻届を受理するよう求める審判を申し立て、別姓を認めない民法と戸籍法の規定は、男女の平等などを定めた憲法に違反すると主張しましたが、いずれも家庭裁判所高等裁判所では退けられました。

最高裁では15人の裁判官全員による大法廷で審理されてきました。

23日の決定で、大谷直人裁判長は「6年前の判決後の社会の変化や国民の意識の変化といった事情を踏まえても、憲法に違反しないという判断を変更すべきとは認められない」と指摘し、夫婦別姓を認めず夫婦は同じ名字にするという民法の規定は、憲法に違反しないとする判断を示しました。

また「どのような制度を採るのが妥当かという問題と、憲法違反かどうかを裁判で審査する問題とは次元が異なる。制度の在り方は国会で議論され、判断されるべきだ」としました。

そのうえで、3組の夫婦が求めていた別姓での婚姻届の受理も認めませんでした。

一方、裁判官15人のうち4人が憲法に違反するという意見を書きました。

最高裁大法廷が夫婦別姓を認めない民法の規定について憲法に違反しないと判断するのは、6年前の判決に続いて2度目となります。

海外では多くの国で夫婦が別々の姓を名乗ることが認められていて、法務省によりますと、同じ姓を名乗ることが義務づけられている国は、把握できている範囲で日本だけだということです。

民法の規定について、国連で採択された女性差別撤廃条約の委員会は、過去3回にわたって日本政府に対し「法律を改正すべきだ」と勧告しています。

憲法に違反すると判断した裁判官は、前回の5人から4人に減りました。

検察官出身の三浦守裁判官は「夫婦の名字を同じにする現在の制度は、現実的に女性に不利益を与えている。夫婦別姓の選択肢がないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、憲法に違反する」という意見を述べました。

弁護士出身の宮崎裕子裁判官と、学者出身の宇賀克也裁判官は連名で反対意見を書き、「夫婦の名字を同じにしないと結婚を法的に認めないという制約を課すのは合理性がない。婚姻の自由と夫婦の平等を保障した憲法の趣旨に反し、不当な国家介入にあたる」として、別姓での婚姻届も受理すべきだと判断しました。

弁護士出身の草野耕一裁判官も反対意見を書き、「選択的夫婦別姓を導入することによって向上する国民の利益が大きいことは明白だ。それにもかかわらず導入しないことは、あまりにも個人の尊厳をないがしろにしている」として憲法に違反すると判断しました。

裁判官出身の深山卓也裁判官と行政官出身の岡村和美裁判官、行政官出身の長嶺安政裁判官の3人は、憲法に違反しないとする判断に賛成の立場で補足意見を書きました。

3人は「国民の意識の変化については、国会で評価、判断されるのが原則で、選択的夫婦別姓の導入をめぐる最近の議論の高まりについてもまずは国会で受け止めるべきだ。国会で国民の意見や社会の変化を十分に踏まえ、真摯(しんし)な議論が行われることを期待する」としています。

家族法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は「最高裁は人権を守るとりでとしての役割を放棄している。夫婦が同じ名字を名乗らなければいけないことが憲法にかなうのか、真っ正面から判断すべきところを回避して、国会にボールを投げてしまった」と指摘しています。

そのうえで、「選択的夫婦別姓については、導入を求める国民の意見がだんだん強くなっている。国会はこの判断が出たから議論しなくていいではなく、歩みを止めずに議論を進めてほしい」と話しています。

#法律