去年の参院選“1票の格差” 最高裁「合憲」判断 #nhk_news https://t.co/W0aCSmWq6m
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年11月18日
去年7月の参議院選挙は、選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で3.002倍の格差があり、2つの弁護士グループが憲法に違反するとして選挙の無効を求める訴えを全国で起こしました。
各地の高裁判決では、
▽憲法に違反しないとする「合憲」の判断が14件、
▽「違憲状態」の判断が2件で、
いずれも選挙の無効は認めず、弁護士グループ側が上告していました。これについて最高裁判所大法廷の大谷直人裁判長は判決で、「格差のさらなる是正を図る国会の取り組みが大きな進展を見せているとは言えない。しかし、合区の解消を強く望む意見もある中で、合区を維持してわずかではあるが格差を是正していて、格差を是正する姿勢が失われたとは言えない」と指摘し、憲法に違反しないと判断しました。
「合憲」の判断は裁判官15人のうち10人の意見で、ほかの5人の裁判官は個別意見や反対意見を書いています。
弁護士出身の草野耕一裁判官は「格差を大きく改善できる案としては大ブロック選挙区、自由区割りとする方法、比例代表選挙を廃止する方法などが考えられるが、これらの実施を国会に強いることはできない。
現状を一応、合憲と認めたうえで、投票価値の不均衡によって一定の人々が不利益を受けているという具体的で重大な疑念が示された場合には、違憲状態と捉え直すべきだ」と指摘し、「条件付きで合憲」だとしています。
検察官出身の三浦守裁判官は「3倍程度の格差は1人1票という選挙の基本原則や、投票価値の平等が国民主権と議会制民主政治の根幹に関わるものであることを考えると、大きいと言わざるをえない。
合区が維持されたからと言って著しい不平等状態を正当化できる事情にはならない」と指摘し、「違憲状態」と判断しています。
行政官出身の林景一裁判官は「国会の格差是正の努力は、抜本的な見直しを検討して結論を出すことを法的な義務として約束したわりに内容が乏しいことは明らかだ。
このような結果に対して『合憲』と判断することはおよそ3倍の格差を『底値』として容認し、あとは現状を維持して格差が拡大しなければいいというメッセージを送ったものと受け取られかねない」と指摘し、「憲法違反」と判断しています。
弁護士出身の宮崎裕子裁判官は「2倍を超えるような不平等は容認できず、最大で3倍という格差は著しい不平等に当たる。
都道府県単位で民意を集約することに意義があるというだけでは、長期にわたって著しい不平等状態に後退させることを正当化できるほどの合理性があるとはいえない」と指摘し、「憲法違反」と判断しています。
学者出身の宇賀克也裁判官は「選挙権が国民主権の基礎となる極めて重要な権利であることに照らせば、国会は1票の格差が無い状態をデフォルトとして制度設計しなければならない。
参議院選挙での1票の価値の不均衡を衆議院選挙よりも緩やかに認める根拠は存在しない。
地域代表の必要性を理由としても、正当化は困難だ」と指摘し、「憲法違反」と判断しています。
判決の後、原告の升永英俊弁護士のグループは、1人1票の実現に賛成する裁判官が増えたとして「また1歩前進」と書かれた紙を最高裁の正門の前で掲げました。
升永弁護士は「今回の判決で最高裁は、国会が抜本的な選挙改革をすると約束しているから時間をあげようと言っている。われわれにとってはプラスの判決だ」と話しました。
また、伊藤真弁護士は「合憲の判決が出たことはとても残念だ。ただ、この判決は3倍の格差が許されると判断したものではない。最高裁は国会に対してさらに格差を是正していく努力を求めたと理解している」と話しました。
自民党の世耕参議院幹事長は記者団に対し「合区の導入といった参議院の取り組みに対し、最高裁判所から一定の評価が示されたと考えている。一方で、合区を見直す必要があるという意見も強くあり、参議院として1票の格差是正と合区の解消が両立できるかどうか、各党や各会派と参議院改革の方向性についてしっかり議論したい」と述べました。
自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「自民党は、4項目の憲法改正案の中で合区の解消を示しているので、国会の憲法審査会で提案したい。憲法改正について自由かったつに議論できる状況を国会で作ることが最高裁判所の要請に応えることではないか」と述べました。
憲法が専門の専修大学法科大学院の棟居快行教授は「今回の判決では、合区という新しい仕組みを維持しようとしていることなど、国会の守りの姿勢を評価していて、結論だけを見れば最高裁はずいぶんと遠慮しているようにも見える」と話しています。
一方で「3人の裁判官が反対意見を述べていて、最高裁の中では激しい議論があったことがうかがえて、とてもおもしろい。とりわけ、行政法に詳しい宇賀克也裁判官が大きな格差が続いていることについて国会が説明責任を果たさず、努力不足であることを明確に指摘している。最高裁の裁判官の新しい発想の一つとして今後に影響を与えるかもしれない」としています。
そのうえで「今回は結論としては合憲だが、国会としては『ギリギリセーフでよかった』と安心するようなことはあってはならない。
立法府としてみずからの力で改革を進め続けるしかない」と指摘しています。
判決の後の会見で、訴えを起こした山口邦明弁護士は「選挙の不平等は憲法に違反するということや、最高裁は国会に対して是正の基準などを示すべきと訴えてきたが、全く応えていない。逃げた判決だ」と批判しました。
ご紹介。大法廷です。
— shoya (@sho_ya) 2020年11月18日
報道内容によれば宇賀先生による反対意見があります。
【条件付合憲】 草野判事
【違憲状態】 三浦判事
【違憲】 林判事、宮崎判事、宇賀判事
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最高裁大法廷 令和2.11.18 令和2(行ツ)78 選挙無効請求事件 https://t.co/x5ybZqOxOX
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最高裁大法廷 令和2.11.18 令和2(行ツ)28 選挙無効請求事件 https://t.co/MgXMxGjnIE
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