中国 WTO加盟から20年 貿易額世界トップの一方で課題も #nhk_news https://t.co/l5Ykd9hL1D
— NHKニュース (@nhk_news) 2021年12月11日
中国は、20年前の12月11日、143番目のメンバーとしてWTOに加盟しました。
ほかの加盟国に製品を輸出する際の関税率が引き下げられた効果などで輸出は大幅に増加し、去年は日本円で290兆円余りと、2001年の9.7倍に上っています。
輸入も、去年は2001年の8.4倍の230兆円余りにまで増え、輸出入を合わせた貿易額は世界トップになっています。
また、市場開放で外国企業を呼び込んだことも経済成長につながり、中国を世界2位の経済大国に押し上げる要因になりました。
来月には、中国が参加する初めての大型経済連携協定となるRCEP=地域的な包括的経済連携が発効するほか、ことし9月にはTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入も申請していて、中国は、アジア太平洋地域で貿易面の主導権を握ることに意欲を示しています。
一方で、中国は手厚い補助金で国内企業を優遇しているほか、知的財産の保護が不十分だなどと指摘され、依然、世界から厳しい目が注がれており、こうした課題に向き合う姿勢も問われています。
中国のWTO加盟で大きな恩恵を受けたのが製造業が盛んな地方都市です。
このうち、南部・広東省の仏山は、1978年の改革開放以降、家電や衣料品などの製造業が集積し、WTOへの加盟で地元メーカーの輸出が大幅に拡大しました。
また、加盟後の市場開放の結果、自動車部品や電子機器などの分野でも外国資本の進出が進み、去年のGDP=域内総生産は日本円でおよそ19兆円と、2001年と比べて9倍に成長しています。
地元メーカーの1つ、「ギャランツ」は、1992年に家電事業に参入し、当初は国内向けの電子レンジが主力製品でしたが、WTOへの加盟で外国に輸出する際の関税が引き下げられたことを背景に、外国メーカーからの受託生産が増え、欧米や日本、韓国への輸出を拡大させました。
加盟後は、外国企業の参入で国内での競争は激しくなりましたが、その分、自社ブランドの国外への展開にも力を入れ、今ではおよそ200の国と地域に輸出しているといいます。
この結果、この20年で、輸出額は12倍に伸び、中国を代表する家電メーカーの1つになりました。
「ギャランツ」の梁恵強副会長は「関税の引き下げによって、コストがかかる国外に生産拠点を設けずに、中国国内での生産に集中できたことは、われわれに非常にプラスに働いた」と話しています。
中国の習近平国家主席は先月、上海で開かれた貿易に関する博覧会でのビデオ演説で「中国は世界共通の利益をゆるぎなく守っていき、貿易や投資、デジタル経済、低炭素化などの分野の強化を推進するため、国連やWTOなどの国際機関における協力に積極的に参加していく」と述べました。
そのうえで「わが国は、世界との間で、市場の機会をしっかりと共有していく。巨大な市場規模を持つ中国は輸入の拡大をさらに重視し、バランスのとれた貿易の発展を促進していく」と述べ、今後も市場開放を進めていく考えを強調しました。
WTO加盟をてこに貿易額を大きく伸ばした中国ですが、一方で、さまざまな問題点も指摘されています。
その1つが国内企業に対する補助金などの優遇措置で外国のメーカーとの競争を有利にしているという点です。
WTOは、ことし行った中国の貿易政策などに対する審査で、補助金などの実態が不透明だと指摘しています。
また中国は、関係が冷え込んでいるオーストラリアに対して、去年以降、ワインや大麦に関税を上乗せする措置を相次いで取っていて、WTOの紛争処理手続きで争っています。
さらに、このところアメリカとの対立を背景にサプライチェーン=供給網の国産化を進めていることが、外国製品の排除などにつながることへの懸念も出ています。
ことし5月、政府から地方政府に非公式に出された内部通知では、医療機器や通信機器などの製品を購入する際には国産品を優先することを指示しています。
医療機器では、内視鏡など、品目ごとに国産品の割合を100%や75%にするなどと示されていて、外国メーカーが納入するには中国国内での生産が必要となる可能性があり、外国の経済団体などから事実上、技術移転を促すねらいがあるとも指摘されています。
これらの課題は、今後、TPPへの加入を目指す上でハードルになると見られています。
中国の民間シンクタンクの王輝耀理事長は、WTOの加盟から20年となったことについて「世界の貿易における中国の力は強くなっており、今や120か国以上の最大の貿易相手だ」と話しています。
また、中国がTPPへの加入を目指すねらいについては「国際的な義務と大国としての責任を体現するものだ」と述べ、多国間の貿易の枠組みで存在感を発揮しようという意思の表れだと指摘しました。
一方、貿易面の課題について王理事長は「国内の政策は中国にとっては理由のあることだが、今後、国際的に競争するなら国際ルールに従わなければいけない。TPPに加入する上での最大の課題は日本やオーストラリアのような国だが、WTOに加盟する際、16年かけて交渉して改革を進めたように、今は話し合いをするべきだ」と述べました。
中国がWTOに加盟したのは2001年12月。国際経済研究所のまとめによりますと、中国の輸出と輸入をあわせた貿易総額は、WTOに加盟する前年では、世界全体の3.6%でした。
その後、安い人件費で製造業が成長して「世界の工場」となり、輸出を伸ばしてきました。また、WTO加盟に伴う関税の引き下げなどで輸入も増加しました。
2013年には世界貿易に占める割合はアメリカを抜いて世界1位となり、2020年には、13.1%に達しています。
一方、中国はWTO加盟に伴い、WTO協定に定められた貿易に関するルールを守ることや国内の法律の透明性の向上などを約束しましたが、他国から提訴されるケースが相次いでいます。
2001年12月以降、中国が他の国などから提訴されたケースは47件にのぼっています。同じ期間に日本が提訴された件数は、5件です。継続的に手厚い補助金で国内企業を優遇しているとも指摘されています。
こうした状況に日本はアメリカやEU=ヨーロッパ連合とともに不透明な補助金を排除するため、紛争解決のルールづくりをWTOの場で主導しようとしています。中国を念頭においた対応策とみられています。
また、WTOはこの20年間、先進国と、中国やそのほかの発展途上国との主張の溝がなかなか埋まりませんでした。
最高意思決定機関である閣僚会議で合意をするためには全会一致が原則ですが、対立構図が鮮明になり、「自由貿易の番人」とも呼ばれるWTOが機能不全に陥っていると指摘する声もあがっています。
先進国と発展途上国、輸出国と輸入国の意見対立が鮮明になり、機能不全が指摘されるWTO。ここ数年、WTOでは全会一致での合意の前に、有志国がテーマごとに話し合う「有志国会合」を開き、早く方向性を固める取り組みを進めています。
例えば日本は、電子商取引に関する有志国会合でオーストラリアとシンガポールとともに共同議長国を務めるなど、議論を主導する立場にあり、今後も有志国会合での議論をWTO全体での合意につなげていきたい考えです。
萩生田経済産業大臣は、「今後も有志国の取り組みなどを活用して、経済社会の様々な課題でのWTOの対応能力の向上を目指していきたい」と話しています。
中国がWTOに加盟して日中の貿易関係はどう変化したか、JETRO=日本貿易振興機構の中国北アジア課の中井邦尚課長は「中国国内で製造できる分野が広がり、付加価値の高い製品が作れるようになった。総合的なものづくりの力が相当高まってきた20年だった」と指摘しました。
そのうえで「中国はWTO加盟を機に工場としての役割に加え、市場としての役割も果たすようになってきた。自動車や化粧品、食料品など中国の消費力が高まるにつれ、メイドインジャパンの製品のニーズも高まっている」と述べ、日本にとって輸出市場としての存在感も増していると指摘しました。
一方、米中対立が深刻になるなど、中国に貿易面で依存することのリスクについては「中国経済の動きは非常に変化が激しいので、それぞれの出来事をよく見極めながら、どういったビジネス展開ができるかをしっかり検討する必要がある」と話していました。
中国がWTOに加盟し、貿易ルールが整備されたことで、2000年に1000億円余りだった日本から中国への直接投資額は、2020年には1兆1500億円と、10倍以上に増えました。
このうち自動車業界では、WTOに加盟した2001年以降、現地メーカーとの合弁による組み立て工場が相次いで建設され、中国での生産台数が大幅に増えました。
WTO加盟前と比べると工場の数はトヨタは、天津や広州などに建設し1か所から4か所に、ホンダは広州に1か所だったのが武漢などにも建設し7か所に増やしました。
加盟後に自動車部品の関税が下がったことや、部品メーカーも中国に工場を設ける動きが相次いだことなどが各社の進出を後押ししました。
また、現地の自動車需要も急拡大し、ホンダが去年、中国で生産した自動車の台数は、164万台と72万台だった日本国内の2倍余りにのぼっています。
こうしたことを背景に、日本から中国への自動車部品の輸出も、2001年の900億円から2020年に6400億円と7倍余りに増えました。
中国には、欧米の自動車メーカーも相次いで進出したことで生産、販売の両面で世界一の自動車市場となり、日本の自動車メーカーにとっても収益の大きな柱となっています。
大手の自動車メーカーに加え、部品メーカーも中国に進出し、ビジネスを拡大してきました。
このうち、ブレーキ関連の製品を製造する「曙ブレーキ工業」は、中国がWTOに加盟した4年後の2005年に、中国の蘇州と広州に工場を建設しました。
日本の自動車メーカーが中国で生産を拡大するのをにらんで進出し、年々、取り引きを拡大。新型コロナウイルスの影響がなかった2018年度の売り上げは、218億円と5年前の2倍に増えました。
さらに、現地の自動車メーカーとの取り引きも始まり、ことし10月にはブレーキ部品を受注するなど、事業を拡大させています。
宮地康弘社長は、「中国がWTOに加盟して、グローバルな基準に対応するようになったことで自動車のレベルを上げ、世界でも戦える元になっていると思う。日本の企業でも中国のメーカーのために、仕事をするということがどんどん増えていると思う」と話しています。
一方、中国をめぐっては、アメリカとの貿易摩擦が激しくなり、日本企業の間でも売り上げが減ったり、製品の供給網=サプライチェーンを見直したりするなど、影響が広がりました。
この会社では直接の影響は出ていないとしていますが、事業を拡大していく上で中国メーカーとの関係は今後も重要になるため、リスクを慎重に見極めていきたいとしています。
宮地社長は「さまざまなリスクを回避できるように準備をしておくとことが大事なことだと思う。そこをやったうえで、どんどんビジネスを拡大していきたい」と話しています。
d1021.hatenadiary.jp
d1021.hatenadiary.jp
d1021.hatenadiary.jp
#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制