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パキスタンのカーン首相が3日に下院での不信任案可決を回避するため、議会解散の意向を示したことが異例の政治危機を招いている。アルビ大統領は直ちに下院を解散したものの、野党側は強く反発。最高裁判所に申し立てを行っており、最高裁の判断に注目が集まっている。

  カーン首相がテレビ演説で、総選挙実施の意向を表明する前、与党メンバーが外国からの干渉を理由に不信任案の採決を取りやめた。採決後に政権を樹立する方向だった野党勢力のシャバズ・シャリフ氏は、パキスタン憲法は不信任案の審議中に議会を解散することを禁じているとして、カーン首相を反逆罪で訴追すべきだと主張している。  

  最高裁はカーン首相が目指す総選挙を認めるか、不信任案の採決を実施すべきかを今後判断する。不信任案が可決されれば、選出された首相が議会によって退陣を余儀なくされるのは初めて。

  カーン首相はここ数カ月、外交政策や経済に関する問題への対応で、政権維持で協力が必要な軍ともあつれきが生じているようだった。米国から武器を調達することもかつては多かったパキスタン軍は、武器を巡り強まる中国依存からよりバランスの取れた外交政策を探る一方、カーン首相は中国とロシアに接近。同首相はロシアによるウクライナ侵攻の数時間後にプーチン大統領とも会談した。

  カーン首相は不信任案の採決回避の動きを正当化するため、米国からの干渉を繰り返し非難。バイデン政権はこれを否定しており、首相留任となれば対米関係の修復はより難しくなり、パキスタンが中ロに一段と接近する可能性がある。また、外貨準備の下支えやインフレ抑制に必要な資金を巡る国際通貨基金IMF)との協議にも疑念が生じる。

原題:Imran Khan Bets Pakistan Drama Will Help Him Return to Power (2)(抜粋)

経済危機に見舞われているスリランカで5日、少なくとも41人の議員が与党連合から離脱した。

ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領率いる政権は少数与党に転落。弟のバシル・ラジャパクサ財務相に代わって新財務相に指名されたアリ・サブリ氏も、国際通貨基金IMF)の融資プログラムを巡る重要な交渉を控え、わずか1日で辞任した。

多額の負債を抱える同国では食料、燃料、医薬品が不足。停電も長期化し、抗議デモが激化している。

ラジャパクサ大統領は4日、閣僚を辞任させ、挙国一致内閣の樹立を目指す方針を表明した。

今後のシナリオとしては、ラジャパクサ大統領の兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相の後継が指名されるか、2025年の予定を大幅に前倒しして解散総選挙が行われる可能性がある。

野党はラジャパクサ大統領とマヒンダ首相の辞任を要求。全政党が参加する挙国一致内閣の樹立にも反対している。野党は解散総選挙を求めることが可能だ。

スリランカの危機が世界中に強烈なメッセージを送っている。生活に欠かせない食品や燃料の不足に業を煮やした人々は街頭で抗議活動を行い、マヒンダ・ラジャパクサ内閣では複数の閣僚が3日に辞任を表明。おそらく約440億ドルに上る対外債務の再編も加速するだろう。

現在の危機は、長年にわたる政権運営の失敗が導いた結果でもある。しかしインフレが瞬く間に社会を混乱させた様子は、欧州からアジアに至るまで、スリランカよりも経済基盤は堅固ながらも生活コストの急騰に直面している国々への警鐘となる。

スリランカの経常収支危機は、西側諸国が大規模な対ロシア制裁を始めてから拍車がかかった。停電が頻発し、非常事態宣言が出されたことで、わずかに残っていた旅行者も逃げ出そうとしている。海外からの旅行者は貴重な外貨収入源だ。

食品のインフレ率は3月に30.2%に達した。通貨スリランカルピーは、中央銀行による切り下げを含めて1カ月間でドルに対して40%下落。このため債務比率は急拡大し、国際通貨基金IMF)の推計では公的債務比率は国内総生産(GDP)比120%に達した。シティによると、これは持続可能な比率を40ポイントほど上回っている。

スリランカは昨年12月に中国と15億ドルの通貨スワップ協定を結び、インドからはコメと軽油を提供されている。しかし危機が深刻化したことで、こうした統一性のない「命綱」は効力を失った。IMFは、債務を持続可能な水準に減らすのに必要な政策は、経済的にも政治的にも実現不可能だと指摘している。このため7月に満期を迎える10億ドルの国債は現在、元本1ドルに対して0.67ドルと、2月初めの0.74ドル前後からさらに下落した。

中国から米金融機関に至るまで、債権者は元本削減(ヘアカット)を迫られるだろう。昨年4月時点で、スリランカ政府の対外債務に占める市場借り入れの割合は47%だった。

こうした様子は、インフレがもたらす政治的影響を痛感させる。ロシアによるウクライナ侵攻以前、アジアで消費者物価上昇率が2桁台に達していた国はほとんどなかった。例外はスリランカパキスタンで、後者のカーン首相は3日、首相不信任案の採決を回避するために下院を解散に持ち込んだ。

貧しい国々の人々は裁量的品目よりも食品への支出比率が高いため、世界的な食品価格の高騰によって直撃を受けやすい。しかしIMFが1月に示した推計では、パンデミックに起因する供給網や貿易の混乱により、2019年から22年にかけての物価上昇率は先進国全般が新興国市場の3倍程度に達した。

各国は減税や補助金の積み増しによって物価高騰への対策を急いでいる。いずれにせよスリランカが急速に混乱に陥った姿は、インフレを甘く見ることの政治的リスクに警鐘を鳴らしている。

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