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ヨーロッパ中央銀行は9日、オランダのアムステルダムで理事会を開き、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格や食料価格の上昇に拍車がかかる中、当面の金融政策について協議しました。

その結果、景気の下支えのために続けてきた量的緩和策を7月終了したうえで、7月の理事会で、政策金利を0.25%引き上げる方針を決めました。

金利を引き上げれば、2011年以来、11年ぶりになります。

理事会のあとの会見でラガルド総裁は「インフレの圧力がエネルギーや食料に限らず幅広い分野で高まり、しばらくの間、望ましくない水準で物価高が続く可能性がある」と述べ、インフレが落ち着く兆しがないことに強い危機感を示しました。

そのうえでラガルド総裁は「9月も政策金利をさらに引き上げる見込みだ」と述べるとともに、その後も持続的に金利を引き上げる可能性があると示唆しました。

ヨーロッパ中央銀行の主要な政策金利は現在0%で、金融機関から資金を預かる際の金利はマイナス0.5%となっています。

記録的なインフレを抑えようとアメリカやイギリスなどが相次いで金利を引き上げる中、ヨーロッパ中央銀行も利上げにかじを切ることで、主要国では大規模な金融緩和を続ける日本の政策の方向性の違いが一段と際立つ形になります。

外国為替市場では、こうした政策の方向性の違いを背景に、このところドルやユーロに対して円安が進んでいます。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は9日、金融引き締めを開始するにあたり、ユーロ圏国債市場の分断を防ぐために必要に応じて既存の政策措置を調整したり新たな措置を導入すると述べた。

ECBはこの日、2014年に導入した量的緩和措置である資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了すると発表した。

この数週間、市場ではECBの利上げの織り込みが進み、ドイツとイタリアなど南欧諸国との金利差が拡大していた。

ラガルド総裁は理事会後の会見で「過去にも言ったが、必要となれば、既存の調整済みの手段も利用可能になる新たな手段も活用する」と述べた。

「ただ、われわれは金融政策の適切な波及にコミットしており、結果として波及を損なうような分断は回避されるだろう」とした。

しかし、これは新たなスキームによる継続的な支援を期待していた投資家を失望させた。

関係筋によると、政策当局者は現在の状況が「分断」に相当するとは考えていなかった。この議題は理事会で簡単に議論されるにとどまり、新たなプログラムの発表については議論されなかったという。

ある関係筋は、この件に関しては、4月にセミナーが開催されて以来進展はなく、作業が再開されるのは早くても9月になるとの見通しを示した。

9日のユーロ圏金融・債券市場では、南欧諸国の利回りが大幅上昇した。イタリア10年債利回りは一時24ベーシスポイント(bp)上昇し、3.715%と2018年以来の高水準を記録した。

金利

7月の理事会で主要金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げる意向だ。9月にも主要金利が再び引き上げられると予想している。こうした利上げの調整は、最新の中期インフレ見通し次第となる。

現時点のわれわれの評価に基づくと、9月以降は緩やかだが持続的な追加利上げの道筋が適切になると予想される。

<中立金利

中立金利が正確にどの水準にあるのか、今回の理事会で討議した。現時点で観察し、正確に判断できるものではない。

時間が経つにつれ、正確にどの水準にあるのか、より良く理解できるようになる。この件については、今後も討議を行う。

<7月利上げの影響はすぐには出ない>

7月の利上げでインフレに直ちに影響が及ぶと予想しているか?答えはノーだ。

<正常化に向けた旅路>

今回の理事会では、ユーロ圏が直面している高インフレと、昨年12月に開始した政策正常化の道筋の進展に焦点が当てられた。問われているのは、追いつくことではなく、ECBが持っているあらゆる手段を利用することだ。

これは一歩では済まない。旅路だと言える。

<データ次第>

データに高い注意を払っていく。データ依存は、われわれの運営の4原則の一つである。われわれの四半期予測は決定に有用な情報をもたらすが、状況の進展やECBおよび各国中央銀行が入手するデータに注意不足であってはならない。

<インフレ>

インフレは当面は望ましくない水準に高止まりする。

<インフレリスク上振れ>

インフレを巡るリスクは主として上方向だ。中期インフレ見通しへのリスクには、ユーロ圏経済の生産能力の持続的悪化、エネルギー・食品価格の高止まり、ECBの目標を上回る期待インフレ、予想以上の賃金上昇などがある。

<賃金の伸び>

スパイラル化のリスクは全くないが、特に3月以降に賃金の伸びが拡大している。理事会後の声明で言及したように、キャッチアップ効果であれ、一般的な賃上げであれ、全く驚くには当たらない。

欧州連合(EU)と米国との違いに関する質問だが、需要の過熱というよりは、むしろ輸入されたインフレであり、これは米国の方がよりあてはまるだろう。ただ、エネルギー関連部門を超えて、広範に広がっている。

<需要減退効果>

中期的に需要が弱体化すれば、物価圧力は低下する。

<エネルギー価格と食糧価格>

エネルギー価格は前年比39.2%上昇した。市場ベースの指標では、世界のエネルギー価格は当面高止まりするが、その後はある程度緩やかになることが示唆されている。

食糧価格は5月に7.5%上昇した。これは世界の主要な農産物生産国のうち、ウクライナとロシアの重要性を反映したものだ。

供給網の目詰まりが再び生じたことに加え、経済再開に伴いサービス業を中心に内需が回復していることも、物価上昇に拍車をかけている。物価上昇は全ての部門で裾野が広がっている。

<分断回避>

重要なのは金融政策の伝達で、ユーロ圏全体に伝達されるよう細心の注意を払っている。このため、無条件にさまざまなことを触発できる特定の金利や利回り格差などは存在しない。

金融政策の伝達が損なわれるような断片化は容認しないというのが原則だ。こうしたリスクがいつ、どのように顕在化するのか、各国の状況を踏まえ判断し、予防していく。

正しい金融政策スタンスを有することが極めて重要だ。金融政策がユーロ圏全体に伝達するようにしなければならない。そのために、域内に十分に金融政策が伝達するのを阻む分断がないようにする必要がある。

われわれにはすでに措置がある。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)での(償還資金の)再投資は完全な再投資パッケージで総額1兆7000億ユーロが時間や商品などで必要に応じて柔軟に再投資される。

また必要となれば、過去にもあったように既存措置を調整した上で、あるいは新たな措置を導入することになる。

<信用リスク増大>

資金調達環境の引き締まりは、現行の金融安定の脆弱性を中期的にやや軽減する可能性がある。年初時点で強固な資本と資産の質が改善傾向にあった銀行は今は信用リスクの増大に直面している。これらの要因を注意深く見守っていく。

#ECB#金融政策