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安倍晋三元首相の殺害事件は自民党を中心とする政治家と韓国で誕生した宗教団体の密接な関係をあぶり出した。事件の容疑者が殺害動機について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への怨恨(えんこん)を示唆したことがきっかけだ。両者は選挙や広報活動を通じてつながってきたが、議員らは急速に関係の見直しを迫られている。

  国内主要メディアの報道によると、安倍氏を射殺した山上徹也容疑者は母親が統一家庭連合に多額の献金をし、家族が崩壊したことで恨みを持ち、安倍氏が同連合と関係があると思い込んで襲撃したと供述している。

統一家庭連合は11日の会見で、容疑者の母親が信者だと認めた。また、今回の事件が同連合の活動が原因かのような主張に対し抗議するとともに、事件はまだ捜査中で、動機などが真実かは明らかではないと17日付の声明文で反論した。動機の解明に当たり、警察の捜査に全面的に協力するという。

  関連団体の天宙平和連合(UPF)のホームページによると、安倍氏は2021年に9月に行われたUPFの集会で、米国のトランプ前大統領らに続きビデオメッセージを寄せていた。

  統一家庭連合は性的少数者(LGBT)や夫婦別姓に反対する保守的思想の宗教法人で、理想の実現に向け政治家に接近するのは必然だ。自民党所属の地方議員はブルームバーグの取材に対し、匿名を条件にこう語った。同議員は関連団体の集会や勉強会に参加したことはあるが、献金などの要求はなかったという。今回の事件を機に距離を置かざるを得ないが、次の選挙も応援してほしいと本音を漏らす。

  全国霊感商法対策弁護士連絡会は、信者からの献金を巡り有罪判決を受けるなど統一家庭連合の反社会的な活動を問題視し、関連団体で演説したり、祝電を送ったりした議員らに関係を絶つよう要望してきた。渡辺博弁護士は、自民党議員とのつながりは「信者を鼓舞する大きな役割を持っている」とし、政治家には運動員の派遣や組織的投票など選挙上のメリットがあると指摘した。

  宗教文化に詳しい北海道大学大学院の桜井義秀教授は、自民党議員と統一家庭連合の間に政策を左右する親密な関係があったとはみていないが、社会的に問題の多い組織と「関係を持つのは適切ではない」と話す。一橋大学の中北浩爾教授は、今後同連合には「相当なプレッシャーがかかる」とし、自民党側も「距離を置くようになる」と予想する。

  ブルームバーグは複数の国会議員に統一家庭連合との関係について事実確認を求めた。多くの議員から回答を得られなかったが、自民党石破茂元幹事長は15年に関連法人で講演したものの、旧統一教会系との認識はなかったと文書で回答した。安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は26日の会見で、選挙の際に同連合のメンバーに手伝ってもらったと語った。

  自民党茂木敏充幹事長は同日の会見で、同党と統一家庭連合に「組織的な関係はないことは既にしっかりと確認している」とし、個々の議員に同連合との関係は「厳正かつ慎重な対応をするよう注意を促していきたい」と述べた。

  立憲民主党は21日、旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、調査や対策を検討すると発表。泉健太代表は翌日の会見で、過去の祝電送付などが取り沙汰される党所属の国会議員6人に対し事実関係の確認を行ったと明らかにしている。

  統一家庭連合の広報担当者はブルームバーグに対し、立憲民主党の動きは何をしようとしているのか分からず、同連合にとって何が弊害となるのか分からないと回答。また、自民党との直接的な関係については否定したが、関連団体は一部の政治家とつながりがあると認めた。

  同連合は1954年に韓国で世界基督教統一神霊協会として誕生し、59年に日本へ進出。68年には創設者の文鮮明氏が提唱した保守系団体「国際勝共連合」が日本で作られ、党是で反共産主義や自主憲法制定をうたう自民党と結び付きを強めてきた。

  関連団体での講演歴がある笹川平和財団渡部恒雄上席研究員は自民党と統一家庭連合の関係について、同党結成期に安倍氏の祖父である岸信介元首相らが北朝鮮や中国など共産圏と闘って韓国を救おうと結び付いたと解説。親の代からつながりがある議員も多く、「つかず離れずやっている」とし、「冷戦の遺物」だと話した。

  自民党青山繁晴参院議員は18日のブログで、7月の参院選の公認作業時期に統一家庭連合の選挙支援を受けるよう派閥のトップから指示されたが、断ったとの話をある議員から聞いたと記述。青山氏は、この宗教団体の支援を少なくとも一般の有権者が知らず、明らかにされていないのは問題だとこのトップに指摘したという。

  渡辺弁護士は、30年ほど前から専門家らがさまざまな問題点を指摘してきたが、「手は打たれてこなかった」と振り返る。弁護士連絡会によると、同連合は宗教の勧誘であることを隠して被害者に接近し、高額な印鑑やつぼなどを販売。2012年結審の裁判では入院中の家族の命を救うためと称して聖書10冊の購入を迫るなど、女性に計4億9000万円を献金させた事実が判明した。

  現代宗教と政治の関係に詳しい上越教育大学大学院の塚田穂高准教授は、政治家は違法行為やトラブルを積み重ねてきた旧統一教会と付き合うべきではなかったと強調。「宗教と政治家の結び付きがノーチェックで良いわけではない」とし、双方が可視化に向け努力することが必要で、市民が投票行動や言論などで判断を示すことが健全化につながるとみる。

  仏教系の創価学会は、1964年に当時の池田大作会長の発意で結成された公明党の支持団体だ。同党は99年から2009年までと12年以降、自民党と連立政権を組む。皇室と日本文化を尊重し、憲法改正の必要性や同性婚への反対を訴える神道政治連盟の国会議員懇談会には衆参260人以上の議員が名を連ねている。

  日本国憲法は信教の自由を保障する第20条や宗教上組織への公金支出を禁止する第89条など、国が公権力を使って宗教に介入することを認めない「政教分離の原則」を規定する。半面、宗教団体の政治活動自体を禁じるものではないことが裁判の判例などを通じて確認されている。

  上越教育大大学院の塚田氏は、宗教団体は「理念を実現するために社会に働き掛けており、その一環として政治活動がある」とし、「そのこと自体は違憲ではなく、批判するのはやや的外れ」だと指摘。北大大学院の桜井氏は、政治家は多くの宗教団体と関わりを持ちながら、あたかもないように振る舞ってきたことが問題だという。

安倍元総理大臣の実の弟の岸防衛大臣は「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の関係者にボランティアで選挙活動の手伝いをしてもらったことがあると明らかにしています。

岸大臣は、29日の記者会見で「選挙区にはさまざまな宗教的なバックグラウンドを持っている人もいる。個人のボランティアとしてお手伝いがあったが、正しかったのかどうかも含め、検討していかなければならない」と述べました。

また、今後の選挙でも手伝ってもらうかについては「選挙は戦であり、手の内は明かしたくないが、適切に判断して対処したい」と述べました。

一方、岸大臣は旧統一教会や関係する団体から献金を受けたり、団体の行事に参加したりしたことはないと説明し「一つ一つの教義を知っているわけではないが、社会問題化しており、被害を受けた人がいるのは大変問題だと思っている」と述べました。

統一教会をめぐっては、文化庁平成27年8月に今の「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証しました。

末松文部科学大臣は29日の記者会見で「宗教法人からの申請の内容が法令の要件を備えていることを確認して認証の決定を行った」と述べ、手続きに問題はなかったとの認識を示しました。

また、名称変更にあたって政治的な圧力などはなかったのかと問われ「現時点では、特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いている」と述べました。

日本外国特派員協会で会見を開いたのは「全国霊感商法対策弁護士連絡会」です。

この中で、川井康雄弁護士は、旧統一教会をめぐる霊感商法などの被害は今も続いているとしたうえで、「この事件自体は決して許されるものではない、この点は改めて強調したいが、事件をきっかけに統一教会による悲惨な被害実態や政治家の方々とのつながりがあったという問題を指摘して、そうしたことがもうないようにしたい」と述べました。

また、2015年に文化庁が旧統一教会から今の名称への変更を認証したことについては、「統一教会であることや宗教団体ということを隠して教義を広げ、信者にするという方法を取っていたが、それに拍車をかけたのが名称変更だった。私たちは名称変更の5か月くらい前に文化庁に認めないよう申し入れをしたが、結局、認めてしまった」と話しました。

弁護士連絡会によりますと、旧統一教会をめぐる霊感商法献金の強要などの相談は去年までの5年間に500件以上寄せられ、総額は54億円余りに上るということです。

一方、「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は、これまでに発表した声明の中で、「過去において、純粋な信仰に基づいて自主的に献金をささげた信徒が、その後心変わりして返還を求めるといったケースがあるのは事実です。誠意をもって対処し、解決に向けて取り組んでいます」とコメントしています。

また、名称を変更した理由については「創始者統一教会の創立当時から、今の名称を使用することを考えておられた。“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな臆測、決めつけにすぎません」とコメントしています。

自民党の福田総務会長は、記者会見で「党として関係ないと茂木幹事長が明確に申し上げているし、個人的に全く関係ないので何でこんなに騒いでいるのかわからない。わが党が、ある団体から強い影響を受けて政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、そういうことは一切ないので、取り立てて『問題だ』と言うことが、何か物事をよくするのか極めて疑問だ。正直に言うと、何が問題なのかわからない」と述べました。

#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

極東ロシアの石油・天然ガス開発を手掛けるサハリン・エナジー・インベストメント社が、液化天然ガス(LNG)の買い手に対し、欧州系銀行のモスクワ支店を通じた支払いに変更するよう打診したことが分かった。決済通貨も米ドル以外に変えるよう、買い手と協議をしている。

事情に詳しい関係者2人が29日、明らかにした。

買い手の一部はすでに指定された銀行を通じて支払いをしているものの、米ドルで決済しているという。関係者の1人によると、代替通貨には中国人民元、日本円、韓国ウォンが含まれている。

サハリン・エナジーのコメントは現時点で得られてない。主な買い手のうち、日本の東北電力は29日の決算会見で、振込口座を切り替えたことを明らかにした。九州電力の広報担当者は、要請を受けたことを認めた。

東京ガスとJERA(東京都中央区)の広報担当者はそれぞれ、契約内容についてはコメントを控えるとした上で、サハリン2からのLNG供給は継続しているとした。

ロシアのプーチン大統領は6月末、サハリン2の事業や権益をサハリン・エナジーから新会社に移す大統領令に署名した。関係者2人によると、新会社に関する新たな情報はないという。

サハリン・エナジーはロシアのガスプロムが50%と1株を出資。英シェル、日本の三井物産三菱商事も出資している。

#反ロシア#対中露戦

日米の外務、経済閣僚が経済分野の議論を行う新たな協議の枠組み、いわゆる経済版の「2プラス2」の初会合がまもなくワシントンで行われますが会合でとりまとめる共同声明の案が明らかになりました。
半導体などのサプライチェーンの強じん化などに日米で協力して取り組むことを強く打ち出す方向です。

日米両政府による経済版の「2プラス2」は、日本時間の29日午後10時ごろに始まる予定で▼日本からは林外務大臣と萩生田経済産業大臣が、▼アメリカからはブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席します。

この会合でとりまとめる共同声明の案によりますと日米は、世界やインド太平洋での自由で公平な経済ルール、持続可能な経済成長を支持し、こうしたビジョンを新たな経済連携、IPEF(アイペフ)インド太平洋経済枠組みを活用しながら推進するとしています。

また、半導体などのサプライチェーンの強じん化や先端技術の育成や保護の必要性を確認し、日米で協力して取り組むとしています。

また会合では個別の課題ごとに具体的な行動計画を示す見通しで中国やロシアを念頭に「経済的威圧への対抗」や「サプライチェーンの強じん化」など4つの柱を掲げ、日米が主導してルールにもとづく国際的な経済秩序作りを進めたいとしています。

政府はアメリカとの共同開発を視野に次世代の半導体の研究開発拠点を新たに整備する方針を表明することにしています。

このほか会合では日本が海外に依存するLNG液化天然ガスなどの資源の確保についても話し合うことにしています。

いわゆる経済版の「2プラス2」は、日本から外務大臣経済産業大臣が、アメリカから国務長官と商務長官が参加して経済分野の議論を行う新たな協議の枠組みです。

ことし1月、岸田総理大臣とバイデン大統領による日米首脳会談で、協議の枠組みを設けることで合意していて、今回、初めて開催されます。

日米両政府はこれまで外務・防衛の閣僚協議を開催し、両国の外交・安全保障上の課題や協力のあり方などについて、意見を交わしてきました。

一方で近年は、AI=人工知能やドローンなど軍事転用も可能な先端技術が発達したことで、経済と軍事の線引きが難しくなっています。

加えて中国などが多額の融資を通じて途上国への影響力を強めていて、外交と経済政策が一体化しつつあります。

このため日本としても、外交政策の基軸である日米同盟の協力の範囲を経済分野に広げることで、インド太平洋地域での新たな経済秩序の構築につなげたい考えです。

今回の会合では、世界的に供給が不足している半導体を安定的に調達するためサプライチェーン=供給網の強化についても議論が交わされる見通しです。

半導体は、家電や自動車、スマートフォンなどあらゆる電子製品に欠かせない中核部品ですが、需要が急拡大するなかで世界的に供給が不足し、自動車メーカーなどの生産に影響が広がりました。

こうした中、経済安全保障の観点から半導体の確保をめぐる国際的な競争が激しさを増していて、日本政府も、半導体の技術を「安全保障にも直結する死活的に重要な戦略技術」と位置づけ国内での産業基盤の強化に取り組んでいます。

一方、アメリカは、先端技術をめぐって中国と激しく対立する中、自国の半導体産業を資金面で支援するとともに輸出管理の強化も進めています。

半導体には多くの製造工程があり、日本は、製造装置や素材に強みがあり、アメリカは、設計技術の面で圧倒的な競争力があります。

ことし5月に行われた日米首脳会談では、重要な技術の保護・育成や、サプライチェーンの強じん性を確保するために協力していくことを確認し、
▽次世代の半導体の開発に向けた共同タスクフォースの設立や、
▽経済安全保障の強化に向けてさらに協力していくことでも一致したとしています。

日本とアメリカは同盟国として引き続き半導体サプライチェーンの強化や重要技術の保護などに協力して取り組む方針です。

半導体の製造は、いま世界的に台湾に大きく依存しています。

去年の半導体の世界市場における売り上げのシェアは、アメリカが49.8%を占めています。
しかし、実際の製造はファウンドリーと呼ばれる受託生産メーカーが多くを担っています。

ファウンドリーとして有力なのは台湾のメーカーで、世界最大手「TSMC」は、世界全体のシェアの50%以上を占めています。

このため台湾海峡でひとたび有事が起きれば、世界の半導体供給に深刻な影響が出ると懸念されています。

そこで、日本とアメリカが連携し半導体の供給網を強化することで特定の地域への依存度を下げる必要性が指摘されているのです。

日本は、世界市場での半導体の売り上げシェアが、8.8%にとどまっていますが、シリコンウエハーなど半導体の材料では56%、製造装置では32%のシェアがあります。

さらに、▼データを記録する「メモリ」や▼電気を効率よく動力に変換する「パワー半導体」などでも日本メーカーが一定の競争力を保っています。

一方、世界市場で半分近くのシェアを占めるアメリカは、高度な演算処理を行いパソコンやスマートフォンに不可欠な「ロジック半導体」の設計や開発で世界をリードしています。
ロシアによるウクライナ侵攻などで世界情勢が不透明感を増す中、日本とアメリカが連携し互いの強みを生かすことで、半導体の安定供給につなげることができるかが注目されています。

今回の会合のテーマのひとつが「ビジネスと人権」です。

アメリカのバイデン政権は、人権侵害を理由に中国への圧力を強めています。

6月には、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産された製品の輸入を禁止する法律が施行されました。

これによって企業がアメリカに製品を輸出する場合、製品だけでなく、調達した原材料なども強制労働によって生産されていないことを示すよう求められるケースが増えるとみられます。

こうした動きを踏まえ日本企業の間では、▼アパレル大手が新疆ウイグル自治区で生産された綿製品の使用中止を決めたほか、▼ユニクロを展開するファーストリテイリングが、綿花の農家などを自社で確認する専門のチームを立ち上げるなど、対応を迫られています。

こうしたなか今回の会合では、企業の活動から強制労働などの人権侵害を排除するための具体的な枠組みづくりなど、さらに踏み込んだ対応で合意できるかも注目されます。

今回の会合では、エネルギーや食料の安全保障についても議論が交わされる見通しです。

ロシアによる軍事侵攻を受けて、日本とアメリカはG7=主要7か国と足並みをそろえ、ロシアへの経済制裁を強めています。

ただ、自国で原油LNG液化天然ガスを生産するアメリカとは異なり、日本はエネルギー自給率が1割あまりとG7の中で最も低い水準で、ロシアを含め海外にエネルギーを依存しています。

こうした中、6月30日、ロシアのプーチン大統領が、日本企業も参加する天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン2」について、事業主体をロシア企業に変更するよう命じる大統領令に署名したことで、日本がこれまでどおりロシアから天然ガスを調達できるかどうか、不透明になっています。

このため日本としては、エネルギー不足に陥らないよう今回の会合でアメリカとの関係をさらに強化したいというねらいがあります。

一方、食料をめぐって両国は、このところの価格の上昇が経済に悪影響を及ぼすおそれがあるという見方で一致しています。

またロシアの軍事侵攻が引き起こした世界的なインフレによって中東やアフリカ諸国などで食料危機への懸念が広がっていることから会合ではこうした問題についても協議するとみられ、日米で協力して対応することを確認する見通しです。

今回の2プラス2で半導体分野における日米の連携が強化されれば、世界的に不足している半導体の安定供給や研究開発の加速につながると専門家は指摘しています。

半導体業界に詳しいイギリスの調査会社、「オムディア」の南川明シニアディレクターは、「アメリカの半導体市場における売り上げのシェアは世界でおよそ50%あるが、実際に作っているのは海外で、特に台湾に依存している。地政学リスクの高まりは非常に心配だ」と述べ、米中の対立などが深刻になれば、半導体の供給にも影響が及びかねないと指摘しました。

その上で、「アメリカからすれば、台湾に頼る一本足打法は危険を伴うので、日本がその一端を担うような存在になることは非常に重要になってくる」と述べ、地政学的なリスクを軽減するためにも、日米の連携が欠かせないという見方を示しました。

さらに先端半導体の開発に向けては日本が製造装置や材料に強みを持つことを指摘し、「半導体メーカーは設計だけすればいいというものではない。実際に半導体を作るには設計と装置、材料の3つが揃わないとできない。アメリカだけで、先端技術を開発していくことが難しくなっていて、日米の連携が強固になれば開発期間の短縮にもつながる」と述べ、日米で研究開発に取り組むことは双方にとってメリットがあると指摘しました。

日米の外務、経済閣僚が経済分野の議論を行う新たな協議の枠組み、いわゆる経済版の「2プラス2」についてアメリカは経済安全保障の強化につなげたい狙いがあります。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で半導体をはじめとした製品の供給網が遮断され、アメリカ経済に大きな打撃を与えるなど、経済の安全保障の問題が国家の安全保障に直結するリスクが浮かび上がっています。

特に半導体は、ハイテク分野だけでなく軍事技術でも重要性が増していますが、アメリカは世界全体に占める生産シェアが低下し、台湾などからの輸入に依存しています。

このため同盟国の日本と▼半導体や鉱物資源の安定供給に向けた対策や▼次世代の半導体の開発で協力を深めることで経済安全保障を強化する方針です。

また今回の「2プラス2」では中国の新疆ウイグル自治区の人権状況などを念頭に、企業の活動から強制労働など人権上の問題を排除するための枠組みづくりなども議題となる見通しです。

アメリカは人権侵害を理由に中国への圧力を強めていて、バイデン政権としては世界各地に多くの生産拠点を持つ日本とともに人権重視を掲げる姿勢を改めて強調したい考えです。

ロシアへの制裁の一環として検討されているのが、ロシア産の石油への上限価格の設定です。

6月のG7=主要7か国の首脳会議で、バイデン政権の高官が「G7の首脳たちは、上限価格を設定するための仕組みを作るため、関係省庁に指示を出す方向で最終調整をしている」と明らかにし、首脳声明にも「今後、模索していく」と盛り込まれました。

さらに、7月開かれた日米財務相会談のあとの共同声明でもG7が上限価格の設定に取り組んでいることを歓迎する姿勢を示しました。

バイデン政権の高官によりますと、その狙いは2つで、▼軍事侵攻を続けるロシアの資金源を断ち切ることと▼高騰するエネルギー価格の抑制です。

アメリカのメディア、ブルームバーグは今月6日、アメリカなど関係国は1バレルあたり40ドルから60ドルに設定する方向で議論していると伝えました。

また、方法については、関係国は▼設定された上限価格を超えた場合は、ロシア産の石油を運ぶ船舶への保険サービスの提供を認めず、▼上限価格を超えてロシア産の石油を輸入した輸入業者に対して制裁を科すなどの仕組みを検討しているとみられています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったことし2月以降、中国とインドはロシアからの石油の輸入量を大幅に増やしています。

資源関連の調査会社「タンカー・トラッカーズ・ドット・コム」によりますと、軍事侵攻前に比べて中国はロシアからの海上輸送による石油の輸入量を3.1倍に増加させています。

また、インドはこれまで、主に中東諸国から石油を輸入していましたが、侵攻後はロシアからの輸入が48.7倍と急増しています。

中東諸国よりも安い価格でロシアから調達できるようになったことが背景にあると見られています。

ロシア産のについて、エネルギー安全保障が専門のアメリカ海軍大学院のブレンダ・シェイファー氏は「現実的とも効果的とも思えない」と述べ、懐疑的な見方を示しました。

そして「主要なすべての国々の協力が得られるか、あるいは、ロシアに制裁を科すだけでなくほかの国に対しても制裁を科すいわゆる2次制裁を科すことができれば、効果があるだろうがいずれも難しい。中国はロシアへの制裁に参加しないだろうし、2次制裁は中国やインドとのある種の闘いを始めることになり西側諸国は実行する意欲がないだろう」と分析しました。

さらに、欧米がロシア産の石油の輸入を制限する措置をとったことで、中国がロシアから安い価格で調達しているとして、「われわれは、中国が大きな恩恵を受ける石油市場を作り上げてしまった。制裁の勝利者は中国だ」と述べました。

一方、アメリカが上限価格の設定に意欲を示していることについては「ロシアに対して強硬で、何かできるのだといいたいのではないか」と述べバイデン政権の国内向けのアピールだという考えを示しました。

アメリカはGDP国内総生産が世界第1位の経済大国で、日本にとって輸出入ともに金額ベースで中国に次ぐ2番目の貿易相手国です。

外務省によりますと、去年の日本からアメリカへの輸出額はおよそ14兆8300億円と輸出全体の18%を占め、主に自動車や自動車用部品、それに車両用エンジンなどを輸出しています。

一方、去年のアメリカからの輸入額はおよそ8兆8900億円と輸入全体の10%を占め、主に医薬品や穀物類、それに液化石油ガスを輸入しています。

また、アメリカにとっても、日本は輸出入ともに金額ベースで4番目の貿易相手国で、両国の経済は補完し合う関係にあります。

ただアメリカにとっては日本との間の貿易赤字の解消が長年の課題となっています。

このため前のトランプ政権は、日本から輸入する鉄鋼やアルミニウムに高い関税をかけるといった保護主義的な政策を進めました。

さらにトランプ政権は多国間での貿易自由化の枠組みにも否定的な立場をとり、日本が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定からも離脱しました。

今のバイデン政権も国内経済を優先する方針で、TPPの復帰に否定的な立場を崩していませんが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻などによるサプライチェーン=供給網の混乱などを受けて、各国との経済連携を模索する動きを見せています。

ことし5月には、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、新たな経済連携であるIPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議を開始すると発表しました。

IPEFには、日本を含む14の国が参加を表明していて、▽デジタルを含む貿易や▽サプライチェーンなど4つの「柱」を設け、共通のルール作りを進めることにしています。

新型コロナウイルスの感染拡大やロシアの軍事侵攻などによるサプライチェーン=供給網の混乱などを受けて、日本とアメリカが協調し、世界的な課題に対処する必要性が高まっています。

新型コロナの感染拡大では、世界的な半導体不足のほか、部品の調達が滞ったことから自動車の生産が落ち込むなど製造業を中心に大きな影響が出ました。

このため日米両政府は、5月に行った首脳会談などで半導体の生産体制や供給網を強化することなど、経済安全保障の分野で協力を進めることで一致しています。

またウクライナへの軍事侵攻を受け、日本とアメリカはロシアへの経済制裁を協調して行い、半導体などの輸出を禁止したほか、自由貿易の基本原則である最恵国待遇の撤回などに踏み切りました。

このほか両国は、中国がインフラ整備などを通じて途上国への影響力を強めていることから、インド太平洋地域での質の高いインフラの整備に向けて支援や投資を行うことにしていて、覇権主義的な行動を強める中国も念頭に、協力していく姿勢を鮮明にしています。

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#外交・安全保障