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喜納尚吾被告(39)は、▽新潟県新発田市で女性4人を相次いで襲い、このうち1人を死亡させた罪や、▽逮捕後に裁判所から逃走した罪などで、2018年に無期懲役の判決が確定していました。

その後一連の事件とは別に、2014年に同じ新発田市内で当時20歳の会社員の女性が運転する車に乗り込み、わいせつ目的で連れ去って殺害したなどとして服役中に逮捕・起訴され、あらためて殺人などの罪に問われました。

裁判では、検察が「すでに確定した罪を再び処罰することはできないが、刑の重さを判断する際に考慮することは許される」と主張し、「身勝手極まりない犯行で、立ち直りは期待できない」として死刑を求刑していました。

一方、被告と弁護士は無罪を主張していました。

18日の判決で新潟地方裁判所の佐藤英彦裁判長は、「被害者の車から検出されたDNA型などから被告が犯人と認められる」と指摘しました。

そのうえで、「被害者に落ち度はなく、強い殺意に基づく犯行だったことは明らかで身勝手極まりない。被害者の恐怖や絶望は筆舌に尽くすことができず結果は重大だ」と述べました。

一方で「遺族が死刑を望む気持ちは厳粛に受け止めなければならないが、過去の同じような事件は、ほとんどが無期懲役で死刑を選択することはできない」として無期懲役を言い渡しました。

被害者が1人の殺人事件で死刑が言い渡された例は限られていて、今回の裁判では、刑の重さを判断するうえですでに無期懲役が確定している、過去の事件のことをどこまで考慮するのかが焦点となっていました。

すでに確定した罪を再び処罰することは憲法で禁じられていますが、最高裁判所「確定した事件を今回の犯行に至る重要な経緯などとして考慮することは許される」という考え方を示しています。

今回の裁判で検察は「過去に確定した罪を再度処罰することはできないが、刑の重さを判断する際に事情として考慮することは許される」と主張し、死刑を求刑していました。

判決は今回の事件がすでに確定している事件から間もない時期に起こされた経緯を踏まえ「常習性が非常に高い」と指摘した一方、「過去の同種の事案で死刑が言い渡されたケースとは、残虐性や犯行後の状況が異なり、同列には論じられない」として、死刑は選択できないと結論づけました。

裁判では別の事件で無期懲役がすでに確定していることが、刑の重さを判断するうえで考慮されるかどうかが焦点となっていました。

検察は「すでに確定した罪を再び処罰することはできないが、刑の重さを判断する際に考慮することは許される」と主張していました。

これについて裁判所は18日「すでに無期懲役が確定している事件のあと、間もない時期に犯行に及んでいて常習性が非常に高い。被害者の恐怖や絶望は筆舌に尽くすことができず結果は重大だ」と述べました。

一方で「過去の同じような事件はほとんど無期懲役が出ている。死刑を選択されたものは犯行の悪質さが抜きん出ているため、同じように論ずることはできない。そのため死刑を選択することはできない」と指摘しました。

判決が無期懲役だったことについて、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は「死刑を言い渡す基準は非常に厳しく、被害者が1人であれば無期懲役という判断が定着している。検察はすでに無期懲役が確定している余罪があることを理由に死刑を求刑したが、改めて前の事件を考慮するとなると、『二重処罰』を禁止した憲法に反する。悪質な前科はあるが、それをもって今回の事件を死刑と判断するのは無理がある」としています。

すでに確定している事件と同時に審理されていれば判断が変わった可能性があることについては「非常に難しい問題で、この事件だけを見るとやりきれない思いを抱く人も多いと思う」と述べた一方、「法律は規定に従って用いる必要があり、恣意的(しいてき)な運用はできない。二重処罰を禁止する原則は大事なものだ」と指摘しています。

そのうえで「こうしたケースは判例が少ないため、まだ論理が深まっていない部分もある。控訴された場合は引き続き議論になるだろう」と話していました。

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