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日銀の黒田東彦総裁は18日の衆院財務金融委員会で、物価上昇加速により実質賃金が低下し家計に悪影響を与えているのは事実との認識を示した。近藤和也委員(立憲)への答弁。

18日に公表された10月の全国消費者物価指数の上昇率が3%台後半となり、家計への悪影響について質問されたのに対し、黒田総裁は「賃金上昇率が1%程度、物価上昇が3%なので実質所得が低下しているというのはその通り」「実質所得の低下がマインド悪化を通じ家計に影響しているというのはその通り」と発言した。

黒田総裁は「日銀が金利が引き上げられなくなっているということは全くない」とも指摘する一方で、現行の金融緩和継続が適切との考えを改めて強調した。

「いま金利を引き上げて経済回復を遅らせて賃金上昇余地が減るのは望ましくない」「急速で一方的な円安進行は日本経済全体にマイナスで望ましくない」と語った。

#日銀#金融政策

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる消費者物価指数

「値上げラッシュ」となった先月・10月は天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月を3.6%上回りました。

3.6%の上昇率は1982年2月以来、40年8か月ぶりの水準となります。

総務省によりますと、10月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が、去年10月の99.9から103.4に上昇しました。

上昇率は3.6%となり、第2次オイルショックの影響が続いていた1982年2月以来、40年8か月ぶりの水準となります。

主な要因は、原材料価格の上昇に加えて、急速な円安の影響が重なった食料品の「値上げラッシュ」で、「生鮮食品を除く食料」は去年の同じ月を5.9%上回りました。

具体的には去年の同じ月と比べて
▽外食の「ハンバーガー」が17.9%、
▽「あんパン」が13.5%、
▽回転ずしの「すし」が12.9%
▽「からあげ」11.1%、
▽「チョコレート」が10%上昇しました。

また、「エネルギー」全体では15.2%上昇していて、
▽電気代は20.9%
▽ガス代は20%それぞれ上がっています。

このほか、
▽「携帯電話機」が16.5%、
▽「ルームエアコン」が13.3%上昇しています。

総務省は、「10月は多くの食料品が値上げされ、上昇率は9月から0.6ポイント拡大した。今後も食料品の価格上昇は続くとみられる」と話しています。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」は、景況感の聞き取りを定期的に行っている全国の企業を対象に、今月11日から15日にかけてアンケート調査を行い、1248社から回答を得ました。

それによりますと、物価高騰をきっかけに従業員に対して「インフレ手当」を支給したか尋ねたところ、
▽「支給した」が6.6%、
▽「支給を予定している」が5.7%と合わせて12.3%に上りました。

さらに
▽「支給していないが、検討中」は14.1%と、すでに支給を決めた企業と合わせると26.4%となり、全体の4社に1社となっています。

支給の予定や検討中の企業も含めて「インフレ手当」の支給方法を聞いたところ、「一時金」が多く、平均の支給額はおよそ5万3700円でした。

また、期間を限定して毎月の給与に上乗せする「月額手当」の場合は、平均の支給額はおよそ6500円となっています。

支給の理由としては、
「食料品などの値上げラッシュによる実質賃金の減少を補うため」、
「従業員のモチベーション向上や人材の流出を防ぐため」
などという声が聞かれました。

帝国データバンク」は「インフレ手当を支給する動きが広がっているが、本来であれば物価上昇分は手当ではなく、基本給を引き上げるベースアップとして賃金に反映させるのが望ましいと考える。ただ、物価高による収益の悪化で賃上げや手当の支給ができない企業も多いのが現状だ。企業が販売価格に転嫁しやすい環境の整備や、賃上げを促す支援策の充実が求められる」と話していました。

食料品などの値上がりが続く中、従業員に「インフレ手当」を支給する動きが広がっています。

愛知県にある自動車部品などの製造会社は今月11日、国内のグループ会社を含めた従業員およそ8800人を対象に、総額でおよそ4億円を一時金として支給しました。

「インフレ手当」の1人当たりの支給額は、正社員は5万円、契約社員やパート社員は2万円で、会社としては初めての取り組みです。

この会社では、円安の影響で海外の売り上げが伸びたことや新車用の部品の販売が好調だったことなどから、今年度上期の売上と営業利益は過去最高を更新しました。

このため、従業員に還元すべきだと考えて「インフレ手当」の支給を決めました。
5万円の手当を受け取った、正社員として働く副島綾香さん(35)は、請求書の管理など事務の仕事を担当しています。

副島さんは、共働きの34歳の夫と13歳から5歳までの娘3人、息子2人の7人家族です。

この物価高で食費の支出が大幅に増え、家計のやりくりに苦労しているといいます。

今回受け取った手当は、食費や光熱費のほか、今月、誕生日を迎える子どものケーキ代などに充てたいと考えています。

副島さんは「食べ盛りの子どもたちがいるので、節約しようにも限界があり今回の支給にすごく助かりました。仕事を頑張ろうという気持ちにもなりました」と話しています。

この会社では物価の上昇が続く中で、毎月の基本給を引き上げるベースアップも検討したいとしています。
日本特殊陶業の磯部謙二上執行役員は「円安によって会社の業績はかなり上振れした一方、円安による物価高で従業員は苦しんでいて、少しでも還元したいという思いで支給を決定しました。物価の上昇を見極めて賃上げなどを検討していきたい」と話しています。

「値上げラッシュ」となった先月・10月の消費者物価指数の上昇率は、40年前の1982年2月と同じ水準となりましたが、賃金をめぐる状況は異なっています。

総務省によりますと、1982年当時は第2次オイルショックの影響が続いていて、原油価格の高騰を要因とした光熱費の値上がりなどが続いていました。

ただ、物価が上昇しても、働く人の賃上げの水準はそれを上回っていました。

厚生労働省によりますと、1982年平均の実質賃金は、従業員30人以上の事業所を対象にした調査で、前の年と比べてプラス1.4%となっています。

一方で、ことし9月の実質賃金は、従業員5人以上の事業所が対象と調査の方法は当時と異なりますが、速報値で去年9月を1.3%下回り、6か月連続でマイナスとなっています。

来年の春闘を前に、企業の間では基本給を引き上げる「ベースアップ」を実施したり、一時金を支給したりするなどの動きが相次いでいます。

実質賃金のマイナスが続くと消費マインドが冷え込み、個人消費などへの悪影響が懸念されるだけに、物価の上昇を上回る賃上げを実現して、経済の好循環につなげることができるのかが課題となっています。

#経済統計