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消費者団体の「消費者支援機構関西」は、東京に本社がある家賃保証会社が連帯保証人となる際に賃貸住宅を借りる人と結んでいる契約の条項について、使用の禁止などを求めました。

条項では家賃を2か月以上滞納し、連絡がつかなくなるなど一定の条件を満たした場合は、物件を明け渡したとみなすとしていて、団体は「一方的に借り主に退去を迫るいわゆる『追い出し条項』で、居住権を侵害し違法だ」と主張していました。

1審の大阪地方裁判所は条項は違法だと判断した一方、2審の大阪高等裁判所は訴えを退けたため、消費者団体が上告していました。

きょうの判決で最高裁判所第1小法廷の堺 徹 裁判長は「借り主は賃貸契約の当事者ではない保証会社の一存で一方的に部屋の使用を制限されることになる」と指摘しました。

その上で「明け渡す義務もなく、法的な手続きもとられていないのに明け渡しと同じ状態になることは著しく不当だ。借り主と保証会社の間に見過ごせない不均衡をもたらし、消費者の利益を一方的に害する」と述べて、条項の使用禁止と契約書の廃棄を命じました。

最高裁が家賃保証会社の契約について判断を示したのは初めてで、借り主を事実上追い出すような契約に歯止めをかける判決となりました。

判決のあと消費者団体の「消費者支援機構関西」は記者会見し、藤井克裕 理事長は「条項による被害が防止され、大きな成果につながった。今回の業者だけでなくほかの保証会社でも同様の規定を設けているところがあるので、判決に沿った対応をしてもらいたい」と話していました。

一方、家賃保証会社の「フォーシーズ」は「判決文が届いていないので現時点でコメントすることはできない」としています。

民法が専門で賃借契約などに詳しい京都女子大学の岡田愛 教授は判決について「“追い出し条項”そのものが違法と判断されたことで、ほかの業者も同じような内容の条項は使えなくなる。借り主が法的な手続き無く家から追い出されることがなくなり、極めて妥当な判断だ」と評価しました。

一方で「家賃保証会社が滞納リスクの高い人と契約を結ばなくなったり、高額な契約料を求めたりするケースも出かねない。不当な理由で家を借りられなくなる人が出ないよう、司法と行政の両輪で引き続き注視していく必要がある」と話しています。

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