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 絶不調の世界の債券市場をこれまで下支えしてきたのはジャパン・マネーだったと言っても過言ではない。だが、この構図が崩れてしまえば、回復軌道に乗り始めた世界の債券市場は再びスランプに陥ってしまうとの不安が頭をよぎる。

#藤和彦

 おそらく、本当の課題は、特定の分野にあるのではなく、それを全体として見る見取り図の欠如にあるのだろう。歴史や世界を見渡し、そのなかで日本の図像を描き出す指針がなくなってしまったのである。見取り図の描きようがないのだ。だから、財政、イノベーション、所得格差、福祉、高齢化、教育、災害、環境、エネルギー、少数派の権利、それに安全保障(防衛)など、いくらでも個別の「問題」は指摘でき、それぞれの分野で「識者」が持論を述べる。確かに問題は山積している。だが、それをトータルに見る「文明論」が欠如している。われわれは、いかなる文明の中にいるのか。この文明の現状はいかなるものなのか。こうした論点がすっぽりと欠落しているのである。

 また、大衆社会化は、豊かさを社会全体に行き渡らせたものの、その代償として、人間の思考力、判断力、それに倫理的能力の全般的衰弱と幼稚化をもたらした。こうした社会は、子供を大人に引き上げようとはせず、逆に大人が子供に合わせようとする。「適切なことと適切ではないこと」を見分ける繊細な判断力の欠如、他人の意見に対する尊重の欠落、過大なまでの自己愛。まさしくかつてホイジンガーが述べた現代文明の「幼稚化(ピュアリリズム)」そのものである(ホイジンガー『あしたの陰りのなかで』1935年)。

 最後にもうひとつ述べておけば、文明の発達は多かれ少なかれ「平等主義のイデオロギー」を生み出した。ところがそれは、共同体を解体し、大衆社会化状況を作り出し、社会を風化し砂漠化してゆく。要するに、社会は砂粒のようなバラバラな個人の集まりとなって確かな秩序をもたなくなる。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政

#経済統計