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#日銀(地域経済報告さくらレポート、2024年1月))

#日銀(各地域からみた景気の現状(2024年1月支店長会議における報告))

日銀は3か月に1度の「地域経済報告」を公表し、全国9つの地域のうち、「九州・沖縄」と「東海」の2地域の景気判断を引き上げる一方、「近畿」は引き下げました。「北陸」については判断を据え置きましたが、「能登半島地震による影響を注視する必要がある」としています。

日銀は11日、植田総裁と全国32の支店長らが出席する支店長会議を開き、地域経済の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち、2地域で前回、3か月前の判断を引き上げ、「九州・沖縄」は「着実に回復している」「東海」は「緩やかに回復している」としました。

一方、「近畿」は「持ち直しのペースが鈍化している」に引き下げました。

そのほかの6地域は、判断を据え置きましたが、石川、富山、福井の3県の「北陸」については「今後、地震の影響を注視する必要がある」としています。

日銀によりますと、今回の判断に地震の影響は反映できていないということです。

11日の会議では春闘を前に、地方でも去年より早いタイミングで賃上げの機運が醸成されつつあるものの、中小企業を中心にその広がりや水準は不確実性が高いという報告があったということです。

日銀は金融政策の転換を見極めるポイントの1つとして賃上げの動向を挙げていて、今後、各地域でどのような形で賃上げが進むのかが注目されます。

日銀金沢支店長「産業に与える影響をしっかり調査」
日銀金沢支店の吉濱久悦支店長は支店長会議に出席したあと、記者会見しました。

この中で吉濱支店長は「現時点で人命救出をはじめ災害対応が行われていて経済影響に言及できる段階ではない。今後、被害が広範囲に及んでいることも鑑み、管内の経済・金融に与える影響を注視していく必要がある」と述べました。

また、日銀としては、被災地での現金供給や資金決済などで金融機関が適切にサービスを提供できるよう必要な支援を続けているとして、関係機関と連携して金融機能の維持に取り組む考えを示しました。

その上で、吉濱支店長は「能登半島の先端の地域の製造品出荷額のウエイトは大きくないが、重要な製品を作っている工場もある。また、輪島には伝統的な産業である輪島塗があり、細かく分業して作られているので、ボリューム面だけではなく産業に与える影響をしっかり調査していきたい」と述べ、地域の産業の実態把握に努める考えを示しました。

OECD経済協力開発機構は、日本経済に関する報告書を公表し、この中では、金融政策について、2%程度の物価上昇が続くと見込まれることを前提に緩やかな政策金利の引き上げを開始すべきだと提言しています。

OECDのコーマン事務総長は、11日、都内で記者会見を開き、およそ2年に1度とりまとめている日本経済に関する報告書を公表しました。

この中では、消費者物価指数の上昇率がおととしの4月以降、日銀が目標に掲げている2%を上回っていると指摘した上で、金融政策について、安定的に2%程度の物価上昇が続くと見込まれることを前提に、緩やかな政策金利の引き上げを開始すべきだとしています。

また、新型コロナやエネルギー価格の高騰への対応で財政状況の悪化が深刻化しているとして、ガソリンやガスなどエネルギー価格の上昇に対する支援措置を段階的に廃止するとともに、補正予算予備費の活用は大きな経済的ショックの時に限るなど、財政の健全化に向けた取り組みを求めています。

記者会見で、コーマン事務総長は「私たちは物価上昇は2%程度で定着するのではないかと見ている。日本経済で優先すべきことは、中期的な財政の立て直しで、公的債務残高を引き下げるべきだ」と述べました。

#OECD経済協力開発機構(日本経済に関する報告書「安定的に2%程度の物価上昇が続くと見込まれることを前提に、緩やかな政策金利の引き上げを開始すべきだ」・コーマン事務総長「私たちは物価上昇は2%程度で定着するのではないかと見ている。日本経済で優先すべきことは、中期的な財政の立て直しで、公的債務残高を引き下げるべきだ」)

日銀のマイナス金利政策解除の判断にも大きな影響を及ぼす2024年の春闘は、労使双方に昨年を超える賃上げを目指す声が広がっているが、一過性で終わらせないためには生産性の向上が不可欠だ。ところが、日本には生産性に関する政府統計が存在しない。経済財政諮問会議などにおける議論で、生産性に関する政府データが引用されることもない。

今後、日本の総人口が1億人を割り込んでいくと予想される中で、日本経済の成長を確保していくには生産性の上昇が不可欠な要因となるが、政府データが不存在では正確な現状把握ができず、生産性の引き上げに向けた具体策も打ち出せないだろう。政府は早急に生産性に関する統計を開発し、官民挙げて生産性の上昇に取り組む方針を打ち出すべきだ。

<24年の大幅賃上げ、経済界は前向き>

経団連の十倉雅和会長は9日の定例記者会見で、賃上げについて「われわれの決意は前年以上だ」と述べ、物価高によって実質賃金がマイナスになっている現状を変えていく意向を示した。

また、5日に開かれた経済3団体の会合では、複数の大手企業トップから6%や7%の賃上げを実現していく意向が表明された。背景にある人手不足は今後、一段と深刻化することが予想され、物価上昇率を上回る賃上げによって優秀な人材を確保したいとの意向がにじみ出ていると言える。

こうした状況を踏まえると、24年の春闘では23年の3.58%(連合調べ)を上回る賃上げが実現し、4%半ばから5%台前半の上げ幅になる可能性があると筆者は予想する。

OECD下位に低迷する日本の生産性>

ただ、25年以降、賃上げ率が大幅に低下するようなら消費と企業収益がマイナスに転じる「デフレスパイラル」に逆戻りするリスクも出てくるだろう。これを回避して物価上昇率を上回る賃上げを実現するには、生産性の上昇が欠かせない。十倉会長も9日の会見で、中小企業に賃上げが波及するためには「価格転嫁と生産性向上を推進できる社会的な支援が肝要だ」と語った。

ところが、日本の生産性の現状は、国際比較で非常に劣位に立っている。公益財団法人の日本生産性本部が昨年12月22日に公表したデータによると、経済協力開発機構OECD)データに基づく2022年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、52.3ドル(5099 円/購買力平価(PPP)換算)。加盟38カ国の中で30位と、データが取得可能な1970年以降、最も低い順位に低迷した。前年との比較では、実質ベースで 0.8%上昇にとどまった。

1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、8万5239ドル(833万円、購買力平価換算)と1970年以降で最も低い31位に落ち込んだ。これは、ポルトガル(8万8777ドル)やハンガリー(8万5476ドル)、ラトビア(8万3982ドル)とほぼ同水準だ。

<政府統計にない生産性のデータ>

生産性が落ち込んだ理由を政府が体系的に分析し、公表したことはない。そもそも、生産性に関する政府統計が日本には存在しない。

米国では労働省が四半期ごとに生産性のデータを公表し、直近では昨年12月6日に2023年第3・四半期の非農業部門の労働生産性改定値が年率換算で前期比5.2%上昇したと公表。上げ幅は20年第3・四半期以来3年ぶりの高水準で、これが人件費の下落圧力となりインフレ率の低下に寄与する可能性があるとの分析を生み出している。

日本生産性本部が生産性のデータをまとめているものの、米労働省のように四半期ごとのデータ公表は行っていない。

<2100年に人口半減の危機>

人口問題研究所の試算では、日本の総人口はピークだった2008年の1億2808万人から2100年に約6300万人へと半減する。民間組織の人口戦略会議は今月9日に人口減少が止まらないと超高齢化や地方消滅などに直面すると指摘。8000万人で減少を食い止めるための提言をまとめた。

同研究所は対応策の1つとして生産性の低い産業の改革を挙げているが、データが整備されていない中で実態がつかみにくい。まずは政府が早急に生産性に関する統計を開発するとともに、生産性の引き上げを実現するための方策を一元的に検討・実施する機能を持った組織を新設するべきだろう。

民間企業との連携は不可欠だ。中長期的な生産性の引き上げ目標を設定し、5―10年後には生産性の水準がOECDのトップ10圏内に入ることを目指すべきだ。

具体的には、生成AI(対話型人工知能)を駆使した就業スキルの効率的な伝達などが考えられる。全く新しい業務分野のスキルを習得する際に、生成AIと対話しながら行うことによって、短時間に目標を達成できるというケースも日本国内の実験的な事例で出てきているという。運転手不足が顕在化している物流などでは、AIを駆使した効率的な配送ルートの追及によって、より少人数かつ短時間の配送実現を目指す取り組みも始まっている。

こうした生産性向上の取り組みを着実に始め、10年後の目指すべき経済・社会の姿を具体的に示し、国民の意欲を高めることが政府の果たす役割であると考える。

今年の政府の骨太方針の中に「生産性の向上に向けた取り組み」という大きな柱をぜひ、盛り込んでほしい。

#経済統計(日本・コラム:日本経済を左右する生産性、政府統計なく見えない現状)