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警察庁は去年1年間の犯罪情勢を公表し、このうち刑法犯罪の認知件数はおよそ70万3000件と、おととしを10万件以上、上回りました。ネットバンキングを狙った不正送金や、児童虐待の通告件数も過去最多となるなど、警察庁は「犯罪情勢は厳しい状況にある」としています。

警察庁によりますと、去年1年間の全国の刑法犯罪の認知件数は70万3351件で、おととしと比べて10万2020件増えました。

刑法犯罪は2002年の285万4000件をピークに、戦後最少となった2021年(56万8000件)まで19年連続で減少しましたが、おととしから2年続けて増加しています。

刑法犯罪の内訳では、自転車盗や暴行・傷害などの「街頭犯罪」が24万3987件と、前年から4万2000件余り、率にして21%増えました。

警察庁は、新型コロナの5類移行に伴い人の流れが活発化したことが背景にあるとみています。

また、殺人や強盗などの「重要犯罪」は1万2372件で、30%増えています。

特殊詐欺の被害は1万9033件で被害額はおよそ441億2000万円と、件数は過去15年で最多、被害額はおととしを70億円余り上回っています。

このほか、インターネットバンキングを悪用した不正送金の被害が過去最多の86億円余りにのぼっています。

さらに、虐待を受けた疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数は12万2806人と、これまでで最も多くなっています。

警察庁は「犯罪情勢は厳しい状況にある」としたうえで、「国民の安全・安心を確保するため警戒の空白が生じることを防ぎ、総合的な対策をこれまで以上に強力に推進する」としています。
特殊詐欺 海外拠点摘発し検挙のケース 最多に
去年1年間に特殊詐欺に関わったとして検挙された人は2499人で、中でも海外の拠点が摘発され検挙されたケースは、これまでで最も多い69人にのぼりました。

警察庁によりますと、去年1年間に全国で確認された特殊詐欺の被害は1万9033件、被害額はおよそ441億2000万円で、おととしと比べて1463件、70億4000万円増加しました。

件数はこの15年間で最も多くなり、深刻な状況が続いています。

手口別では、未納の料金があるなどといって金をだましとる「架空請求」の手口が最も多く5136件、被害額は138億円余りにのぼりました。

中でもパソコン画面に「ウイルスに感染した」といったうその警告を表示させて現金や電子マネーをだまし取る「サポート詐欺」が急増しているということです。

特殊詐欺に関わったとして検挙されたのは2499人で、このうちフィリピンやカンボジアなど海外の拠点が摘発され検挙されたケースは過去最多の69人にのぼったということです。

警察庁はことし4月から、大都市を抱える警察本部を中心に体制を強化した「特殊詐欺連合捜査班」を設置して、詐欺グループの実態解明や戦略的な取締りを進めることにしています。
去年規定の「不同意性交」「不同意わいせつ」認知件数
警察庁が公表した去年1年間の重要犯罪の認知件数1万2372件のうち、「不同意性交」は2711件、「不同意わいせつ」は6096件でした。

「不同意性交罪」と「不同意わいせつ罪」は、性暴力をめぐる裁判で無罪判決が相次ぎ、性犯罪の規定の見直しを求める声が高まったことを受け、従来の「強制性交罪」と「準強制性交罪」、「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」を統合する形で、去年、刑法に規定されました。

規定の見直し前の「強制性交」や「準強制性交」などの件数が、去年6月までの半年間で月平均157件だったのに対し、規定の見直し後の「不同意性交」などの件数は、去年12月末までの半年間で月平均295件となっていて、警察庁は、単純な比較はできないものの、罪が成立する要件の見直しや、被害を申告しやすい環境整備に力を入れていることも認知件数の増加の背景のひとつではないかとしています。
“日本の治安 悪くなった” 71.9% 警察庁意識調査
警察庁は去年10月、インターネットで治安についての意識調査を行い、5000人から回答を得ました。

「日本の治安はよいと思うか」という質問では、「そう思う」「まあそう思う」と回答した人が合わせて64.7%でした。

一方、「ここ10年で、日本の治安はよくなったと思うか」という質問では、「よくなっていると思う」「どちらかといえばよくなったと思う」が合わせて14.1%だったのに対して、「悪くなったと思う」「どちらかといえば悪くなったと思う」が71.9%にのぼりました。

治安が悪化していると回答した人に対し、その理由として思い浮かぶ犯罪を尋ねる質問では、特殊詐欺やサイバー犯罪などが上位を占め、犯罪情勢を反映した形でいわゆる「体感治安」も悪化している状況がうかがえます。

警察庁長官「情勢変化を踏まえ 効果的な対策進める」
警察庁の露木康浩長官は、刑法犯罪が大きく増加している現状について、「財産犯で見れば、窃盗と詐欺の被害額の合計が、新型コロナの拡大前の令和元年に約1100億円だったものが、去年は約2300億円と倍増している。詐欺の手口が大きく増加し、極めて憂慮すべき状況だ。犯罪情勢の変化を的確に踏まえたうえで、さらに効果的な対策を進めていきたい」と述べました。