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アメリカのバイデン大統領は、11月の大統領選挙で接戦が予想される州のひとつ南部ジョージア州を訪問し、大学の卒業式で演説しました。ガザ情勢などで、支持離れが懸念される若い有権者の支持をつなぎ止めるねらいもあったとみられます。

アメリカのバイデン大統領は19日、公民権運動の指導者 キング牧師の母校で現在も黒人の学生が多く通う南部ジョージア州の州都アトランタにあるモアハウス大学の卒業式に出席しました。

バイデン大統領はスピーチで、政権発足後、こうした黒人の学生が多く通う大学に巨額の支援を行ってきたとアピールしました。

その上で、若者などから批判を浴びているガザ地区の情勢への対応について「わたしは、ガザ地区に多くの支援物資を届けるため、24時間取り組んでいる」と強調しました。

ジョージア州は黒人の有権者の割合が高く、11月の大統領選挙で接戦が予想される州のひとつで、バイデン大統領としては、支持離れが指摘される若い有権者や黒人層の支持をつなぎ止めるねらいもあったとみられます。

一方、大学の周辺では、大統領の訪問にあわせて学生などおよそ150人が抗議活動を行い、イスラエルへの軍事支援をやめるよう求めました。

デモの参加者の1人は「バイデン大統領は、イスラエルが罪のない人たちを殺害するのに使う武器を提供する一方で、ガザ地区の人たちに支援を送っている。まるで銃撃しておきながら応急処置をするようなものだ。人々が亡くなるのを止めない限り、十分な支援とはいえない」と話していました。

バイデン米大統領は17日、ワシントンの国立アフリカ系米国人歴史文化博物館で演説し、「黒人の歴史は米国の歴史だ」と述べてアフリカ系有権者の支持拡大に乗り出した。

同氏は16日にも、学校における人種分離廃止につながった米最高裁による1954年ブラウン判決に関わった人々の親族と面会した。

民主党有権者パレスチナ自治区ガザに関するバイデン氏の対応を巡って意見が大きく割れており、2020年大統領選で同氏を勝利に導いた支持層にほころびが生じている。

米紙ニューヨーク・タイムズシエナ大学が今月公表した世論調査では共和党のトランプ前大統領が黒人票の2割を集め、圧倒的に民主党に投票してきた黒人有権者の間で支持を広げていることが示された。

バイデン氏はトランプ氏ら共和党が多様性や公平性、包摂性の向上を目的としたプログラムを攻撃していると非難した。

11月の大統領選では両氏の接戦が予想され、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンペンシルベニアなど主要な激戦州で人口のかなりの部分を占める黒人有権者の票がバイデン氏の勝利に重要な鍵となる見通しだ。

再選を目指すバイデン米大統領の周辺は、イスラエルパレスチナ自治区ガザ攻撃を巡る大学キャンパスでの抗議デモについて、11月大統領選での大幅な得票減にはつながらないとの見方を示した。

ただ、世論調査では多くの民主党員がバイデン政権のガザ戦争政策に不満を抱いている。ホワイトハウスが状況を見誤れば共和党のトランプ前大統領との接戦で得票を減らす恐れがあると警告する声も民主党ストラテジストらから出ている。

複数の大統領側近がロイターに語ったところによると、彼らはバイデン氏に対し、キャンパス内のデモ隊と直接関わるのではなく、距離を置くよう助言。デモ隊の人数は再選キャンペーンを妨げるほどではないと主張している。

この問題でコメントを求められたホワイトハウスのベイツ報道官は、バイデン氏は多くのコミュニティーにとって今が痛みを伴う時であることを理解しており、耳を傾けていると説明した。

若い有権者はなおバイデン氏に好意的だが、支持率は2020年以降大幅に低下。3月のロイター/イプソス世論調査によると、18─29歳の米国民の支持率は29%と、トランプ氏をわずか3%ポイント上回るに過ぎない。残りは他の候補を支持するか、誰に投票するか分からないとしている。

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