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日銀が20日公表した1990年代半ば以降の企業行動に関するアンケート調査の集計結果で、大企業・中堅企業の製造業を中心に、金融緩和の効果・副作用双方で為替の影響を指摘する回答が目立った。金融緩和については、借り入れ金利の低下などを通じ、幅広い企業の経営や前向きな投資の支えとなったことが確認されたとした。

<大手・中堅製造業は7割超が「為替の安定」期待>

金融政策の多角的レビューの一環で実施した調査で、過去25年間の金融緩和の効果について、業種・規模を問わず借入金利の低下を挙げた企業が最多となり、7割―8割程度に上った。一方、大企業・中堅企業の製造業の3割程度が「為替市場の動向」と回答した。大企業や製造業を中心に、2010年代前半の大幅な円高からの反転を念頭に、輸出競争力の改善や円ベースの海外収益の増加を評価する声が聞かれた。

一方、金融緩和の副作用としては、企業の新陳代謝の停滞金融機関の収益力の低下との回答が多かった。ここでも「為替市場の動向」との回答が大企業・中堅企業の製造業では5割弱と目立った。近年の円安進行や変動の大きさを念頭に、原材料コストの上昇や事業計画策定への影響に加え、外国人労働者の採用への影響も指摘されていた。

金融政策に求めることとしては「物価の安定」や「景気の安定」への回答が目立つ一方で、大企業・中堅企業の製造業では「為替市場の安定」との回答が7割を超えた。

<物価賃金とも「緩やかに上昇」に圧倒的な支持>

日本の賃金・物価は長らく上がりづらい状況が続いてきた。1990年代に物価上昇率がゼロ%付近まで低下し、コストの価格転嫁が困難になった最初のきっかけは何だったのか聞いたところ、バブル崩壊や金融システム不安を受けて、消費者の低価格志向が強まったことや企業のコストカット意識が急速に強まったことを挙げる企業が多かった。

現在では8割以上がどちらかと言えば価格転嫁がしやすくなっていると回答。その理由として、値上げは「仕方ない」との認識が広がったとの回答が業種・規模を問わず6割以上に上った。

今年の春闘では5%以上の賃上げ率となっている。賃上げスタンスを積極化している理由としては「労働者の確保に支障が出ることへの懸念」との回答が最多となった。

物価と賃金がともに「緩やかに上昇する状態」と「ほとんど変動しない状態」のどちらが事業活動上好ましいかとの質問には、「緩やかに上昇」が圧倒的に多かった。「賃金が増えると家計のマインドや消費にプラス」や、「価格転嫁が容易になり収益を確保しやすい」といった回答が多かった。

現在の設備投資スタンスについては、7割以上の企業が過去対比で積極化していると回答。人手不足対応の投資のほか、大企業を中心に「脱炭素やDX関連投資の必要性」の回答が多かった。

日銀はアンケート結果を踏まえ、企業行動に「大きな変化が生じている途上にある」と分析。こうした変化が広がっていくか、変化した企業行動が今後も定着・持続していくかが先行きの経済・物価情勢を占う上で「きわめて重要な要素になる」とした。

今回の大規模な企業調査は多角的レビューの柱の1つ。昨年11月から今年2月ごろにかけて、大企業から中小・零細企業まで幅広い企業規模・業種の2509社の非金融法人を対象にアンケート調査を実施し、2256社から回答を得た。2256社の半数以上に対し、日銀本支店・事務所の職員が面談してヒアリング調査を行った。

日銀が過去25年間のいわゆる非伝統的な金融政策の効果や副作用を企業に尋ねたところ、低金利での借り入れで経営や前向きな投資の支えとなったという受け止めがあった一方、新陳代謝が停滞したという指摘も出ていたことがわかりました。

日銀は、国債などの資産の大量購入やマイナス金利政策など、過去25年間の非伝統的な金融政策を分析する多角的レビューを進めていて、今回のアンケート調査は、企業およそ2500社に、この間の政策が経営にどのような影響を与えたかを複数回答で尋ねました。

それによりますと、およそ9割の企業が政策の効果を実感していました。特に、全体の7割以上が、金融機関からの借入金利の低下が効果があったという回答で、経営や前向きな投資の支えとなったという受け止めでした。

一方、副作用があったという指摘も、全体の7割以上に上りました。具体的には、円安による原材料コストの上昇や、新陳代謝の停滞で人材確保が難しくなり、低価格競争も激化したことなどが挙げられました。

日銀は21日に多角的レビューの一環として、外部の有識者を招いた2回目の討論会を開く予定で、アンケートの結果も踏まえて議論を行うことにしています。

日銀は、ことし3月に、マイナス金利など大規模な金融緩和策を解除して、短期金利の操作を主な手段とすることを決め、伝統的な政策に戻す方向性を打ち出しましたが、過去の政策をどう総括し、今後に反映させていくかが注目されます。

「多角的レビュー」分析結果を随時公表
日銀は、去年4月に植田総裁が就任したあと、1990年代後半からの25年間の金融政策を分析する「多角的レビュー」を行っています。

この25年間は、短期金利を操作するいわゆる「伝統的」な政策から、国債ETFの買い入れやマイナス金利政策といった「非伝統的」と呼ばれる政策に軸足を移した期間で、レビューでは、その効果や副作用をさまざまな角度から分析しています。

日銀は、分析結果を随時、公表していて、去年12月には、非伝統的政策は企業活動を活発化させることで生産の押し上げに大きく寄与し、潜在成長率を下支えした可能性が示唆されるとしました。

さらに、雇用環境の改善や経済・物価に対する一定の寄与があったとする一方、消費者物価を押し上げる効果は1%程度にとどまっていると分析しています。

また、同じ時期に出された非伝統的政策が債券市場に与えた影響についての分析では、2013年に黒田前総裁のもとで始まった異次元緩和や2016年に導入したマイナス金利政策によって取り引きの円滑さを示す「機能度」が低下したと指摘しています。

このレビューの結果は、ことし秋ごろまでにまとめられる見通しで、これについて、日銀の政策委員からは「将来の政策にいかしていくことも重要だ」という意見が出ています。

#日銀(「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ第2回「過去25年間の経済・物価情勢と金融政策」の開催)

日銀は21日、同日開催した金融政策の多角的レビューのワークショップで用いた資料を公表した。金融政策のセッションでは、正の一般物価インフレ率が望ましいとの研究が増えつつあると指摘。インフレ率がプラス圏で推移するもとで賃金・物価が緩やかに上昇する世界では、金利が下限制約に直面するリスクが低下して「金融政策の対応余地が拡大する」とした。

ワークショップは、過去25年間の日本の経済・物価情勢、非伝統的金融政策とインフレ予想、パネルディスカッションの3部構成で行い、日銀の職員と民間研究者が議論した。

日本経済は1990年代後半以降のデフレ期にゼロ金利制約に直面。金融政策の対応余地が限られる中、日銀は低金利の長期継続を約束するフォワドガイダンスやマイナス金利政策など様々な手法を導入してきた。

日銀は近年の研究を紹介し、プラスのインフレ率を維持することで賃金や価格が他社の動向を見ながら変動しやすくなり、資源配分の効率化につながる可能性があること、ひいては、生産性に対して好影響をもたらしうるとした。

一方で、インフレ予想の変化が物価変動に及ぼした影響は大きかったと指摘。2013年の物価安定目標や量的質的金融緩和(QQE)の導入には「インフレ率を直ちに2%にアンカーするほどの有効性はなかった」ものの、1998年以降のデフレマインドが物価を持続的に押し下げる状況を転換させたという点で「一定の効果があったことが示唆される」とした。

調査統計局による過去25年間にわたる経済・物価情勢をテーマとするセッションでは、現在の物価上昇局面の出発点に海外発の供給ショックがあるとした上で、名目賃金について、従来は海外ショックの影響は小さかったが、現局面では大きく押し上げに寄与しているとの分析を示した。

その上で、人口動態や労働市場の構造変化、さらには金融緩和の持続で賃金が上昇しやすい状況になり、賃金や物価が上がりにくいというノルム(慣行)も解消に向かうとした。

金融政策の多角的レビューのワークショップは今回が2回目。議論はメディア非公開で行われたが、今後、概要を公表する予定。

首都圏の1都3県で先月発売された新築マンションの平均価格は7412万円と、2か月連続で前の年の同じ月を下回りました。去年、都内で、高額物件の発売が相次いだ反動ですが、建設コストの上昇が続き、価格は依然、高い水準となっています。

調査会社の「不動産経済研究所」によりますと、先月、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で発売された、新築マンションの1戸当たりの平均価格は、7412万円でした。

前の年の同じ月を335万円、率にして4.3%下回り、2か月連続で下落しました。

このうち
▽東京23区の平均価格は9168万円で、去年、高額物件の発売が相次いだ反動などで、前の年の同じ月よりも22.1%下落したほか
▽埼玉県が5088万円で、8.8%下落しました。

一方、
▽千葉県は、4929万円で前の年より7.3%上昇したほか
▽神奈川県が、6093万円で5.2%
▽東京都の23区を除いた地域が5814万円で4.5%
それぞれ上昇しました。

調査した会社では、「資材の値上がりに加え、先月から建設業界でも『2024年問題』への対応が始まったことを背景に、人件費を含めた建設コストの上昇が続いていてマンション価格は依然高い水準となっている。今後もこの傾向は続くとみられる」としています。