イスラエル軍 人質4人を救出 ガザ地区への攻撃で55人が死亡かhttps://t.co/durTK3WtGP #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) June 8, 2024
イスラエル軍は8日、ガザ地区中部での作戦でイスラム組織ハマスにとらえられていた人質4人を救出したと発表し、成果を強調しています。一方でハマス側は、この作戦にともなう攻撃で多くの住民が死亡したと主張し、反発を強めています。
イスラエル軍は8日午前、ガザ地区中部のヌセイラトで作戦を実施し、人質4人を救出したと発表しました。
イスラエル政府は、救出された人たちが家族と再会し、喜びあう姿を写した映像や写真を公開し、成果を強調していて、ネタニヤフ首相も声明で「イスラエルがテロに屈しないことを証明した。人質全員を取り戻すまで手を緩めることはない」と述べハマスへの攻勢を強める構えを示しています。
一方、パレスチナの地元メディアなどはイスラエル軍が救出作戦を行ったとする時間帯に、ヌセイラトなど中部で激しい攻撃が行われたと報じ、多数のけが人が病院に運び込まれている様子などを伝えています。
ガザ地区の病院の担当者は、この攻撃で少なくとも55人が死亡したと発表したほか、ハマスによる地元当局は210人という多くの住民が死亡したと主張しています。
地元当局は「イスラエル軍は野蛮で残忍な攻撃を行い、民間人を直接標的にした」などとする声明を出し、反発を強めていて、停戦や人質の解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。
イスラエル政府 ノアさんが父親と再会した映像公開
イスラエル政府は4人のうち音楽イベントに参加していて人質になったノア・アルガマニさんの救出後の様子だとする映像を公開し、ノアさんは父親のヤコブさんと抱き合って再会を喜び合っています。
救出された1人ノアさんの父親は去年来日
今回、イスラエル軍が救出したと発表した4人の人質の1人、ノア・アルガマニさんの父親のヤコブさんは、去年12月にイスラエル政府の事業で来日し、人質の早期解放への協力を日本でも訴えていました。
ノアさんはヤコブさんの一人娘で、去年10月7日、ボーイフレンドらとガザ地区との境界の近くで開かれていた音楽イベントに参加しているときにハマスの襲撃を受けてガザ地区に連れ去られました。
ハマスが撮影したとみられる映像ではバイクに乗せられたノアさんが手を伸ばして助けを求める様子が確認されていました。
ノアさんの母親・リオラさんは、がんを患っていて医者からは余命が長くないと言われていて、父親のヤコブさんは来日した際、「妻にとって、たった1つの願いはノアを一目みたい、ということだけです」と話し、一刻も早くノアさんが帰ってくることを願っていました。
またヤコブさんは「戦争に勝者はいません。戦争が続くかぎり、双方に死者が出ます。ガザでも子を亡くした親が私たちと同じように、泣くことになります。私は停戦と対話によってのみ、解決ができると思っています」とも話していました。
ロイター通信 ガザ地区中部デルバラハの映像配信
映像では、辺りをつんざくような大きな音がしたあと、攻撃を受けたとみられる付近から黒い煙がもくもくとあがる様子が確認できます。さらに、爆発音や「タタタタタ」と銃撃するような音が何度も聞こえます。また病院で撮影された映像では、多くの人が集まっている様子や、救急車でけが人が次々と運ばれてくる様子が確認できます。
攻撃があったとき、ヌセイラト難民キャンプにいたという人は「特殊部隊がヘリコプターでやって来て、白い車も1台もあった。ヘリコプターは人々に向けて攻撃してきた。救急車1台に10人のけが人を乗せた。なんとか路地を通って外に出ることができた」と当時の様子を話していました。また、2人のいとこが死亡したという人は「彼らはなにもしていなかった。家にいただけだ」と話していました。
ガザ地区の保健当局は8日、多くの死者やけが人が搬送された病院では、何十人ものけが人が床に横たわっているほか、医薬品や燃料の不足に直面していると窮状を訴えています。
米仏首脳 人質解放を歓迎も停戦を促す
フランスのマクロン大統領は、バイデン大統領との首脳会談のあとの記者発表で「イスラエル軍が4人の人質を解放したことを歓迎する」と述べました。
一方で「私たちは、即時停戦が実現し、政治的解決への展望が開かれることを望む。ラファの人道状況は受け入れられず、イスラエルが人道物資の搬入の経路を完全に開かないことも容認しがたい」として、イスラエル側に苦言も呈しました。
また、バイデン大統領は人質の解放を歓迎しつつ、「人質全員が帰還し、停戦が成立するまで、私たちは努力を止めない」と述べ、停戦の合意に向けて外交努力を続ける考えを示しました。
イスラエル人質救出作戦 激しい銃撃戦 空爆で住民に多数死者かhttps://t.co/4n7ALGaUiE #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) June 9, 2024
イスラエル軍はガザ地区の中部で人質4人を救出した作戦について数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしていますが、ハマス側と激しい銃撃戦となり空爆なども行ったことで、住民に多数の死者が出たとみられています。ハマス側は反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。
イスラエル軍は、8日にガザ地区中部で行われた女性1人と男性3人の合わせて4人の人質を救出した作戦について情報機関が人質の居場所を突き止め、特殊部隊などが数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしています。
作戦は午前11時に開始され、女性が拘束されている建物と男性たちがいる別の建物を同時に襲撃したということです。
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、夜間ではなく、あえて日中に作戦を開始したのは、ハマス側の隙を突くためだったと伝えています。
イスラエルの有力メディアハーレツによりますと、女性の救出は比較的順調に進んだものの、男性3人を救出する際に、ハマスの戦闘員と激しい銃撃戦となり、空軍の支援も受けて周囲に空爆も加えながら人質を脱出させたということです。
イスラエル軍は、作戦によるパレスチナ人の死者は100人以下だとしていますが、ハマス側は住民210人が死亡したと主張し、反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。
ガザ地区の保健当局は、今回の人質救出作戦が行われる前の時点でこれまでに3万6654人が死亡したとしていて、交渉に進展が見られない中、住民の犠牲が増え続けています。
イスラエル パレスチナ人を多数拘束し暴行や拷問 国連など報告https://t.co/kV1upoo8Z3 #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) June 9, 2024
イスラエル軍はガザ地区での軍事作戦を続ける一方で、ハマスとの関連を調べるためなどとして、これまでに数多くのパレスチナ人を拘束しています。地元の人権団体によりますと、イスラエルとハマスの戦闘が始まった去年10月7日以降、ガザ地区ではこれまでに推定で4000人、ヨルダン川西岸では、9000人以上のパレスチナ人が拘束されたということです。
これについて国連などは先月釈放された人たちや医療関係者の証言などから、イスラエル当局が拘束したパレスチナ人に対し暴行や拷問を行っているなどとする報告書を公表しました。
報告書では拘束された人たちが、外部から隔離され、非人道的な状況に置かれているとしたうえで性的な暴行や激しい殴打、さらに犬にけしかけられる脅迫や水責めなどを受けていると指摘しています。
国連はパレスチナの人々に対する暴行や拷問などについて、徹底的な調査と再発防止のための措置を求めています。
左足を負傷 切断を余儀なくされた拘束者も
イスラエルの人権団体によりますと、ガザ地区ではこれまでに推計で4000人が一時、拘束され、今も一部の人が施設で拘束されたままだということですが、詳しい状況は明らかになっていません。
ガザ地区南部のハンユニスに住むソフィアン・アブサラさんは、ことし2月から2か月近くにわたりイスラエル軍に拘束されました。
家族6人で暮らしていたアブサラさんは、イスラエル軍の地上侵攻でハンユニスの自宅を追われ、たどりついた先の避難所の学校にもイスラエル軍が侵攻し、ほかの住民とともに拘束されたといいます。
そして両手を縛られ目隠しをされ、トラックの荷台に乗せられてイスラエル国内にあるとみられる施設に送られました。
その際にイスラエル軍の兵士から棒や銃で殴られたり、蹴られたりといった暴行を受けたということで、アブサラさんは左足に傷を負いました。
当時の状況についてアブサラさんは「兵士たちは私たちを銃や棒で殴ったり、蹴ったりし、拘束されている中で最悪の時間でした。私は足にけがを負いましたが、トラックに4時間も乗せられ、足の感覚もなくなっていたので、その時はけがに気付きませんでした」と話していました。
拘束された施設でもアブサラさんは毎日のように暴行を受けたということで、劣悪な衛生環境で左足の傷は化のうし、次第に腫れていったといいます。
アブサラさんは薬を求めましたが、受け入れられず、けがをしている足を棒で殴られたこともあったということです。
症状を訴え続け、ようやく病院に運ばれた時には治療するには手遅れで、左足を切断することを余儀なくされました。
アブサラさんは「命のためには足の切断を選択しなければならないと医師は言いました。私は孤独で家族もいない中で、とても難しい決断を迫られました」と話していました。
アブサラさんは15年以上タクシーの運転手として働き、政治とは無縁でハマスとの関わりがないことを訴えて釈放されましたが、ハンユニスの自宅は破壊され、いまはテントでの生活を強いられています。
アブサラさんは「足を失ってから家族の面倒を見ることも食料や水を探しに行くこともできません。すべてが180度変わり、状況は本当に悪くなりました」と訴えていました。
イスラエル軍は収容施設の状況についてNHKの取材に対し「施設では1日に1回、健康状態を確認し、必要であれば十分な医療を提供している。イスラエルの法律と国際法に従っている」とコメントしています。
イスラエル当局によるパレスチナ人の拘束はヨルダン川西岸のパレスチナでも急増していて、地元の人権団体によりますと去年10月以降だけで9000人以上のパレスチナ人が拘束されたということです。
このうち、ことし3月までの3か月間、イスラエルの刑務所に収容されたパレスチナ人の人権活動家ムンゼル・アミラさんがNHKの取材に応じました。
アミラさんが拘束された理由はガザ地区の子どもたちの様子をSNSに投稿したことが扇動罪にあたるとされたことでした。
アミラさんは過去にもイスラエル当局に何度か拘束されたことがありますが、去年10月以降、刑務所などでのパレスチナ人に対する扱いが極度に悪化していると指摘します。
アミラさんによりますと、刑務所の1部屋にはこれまで6人ほどが収容されていましたが、今は13人ほどと、以前と比べておよそ倍の人数が収容されていたということです。
さらに、1日8時間あった自由時間は3日に1度、わずか15分に減らされ、食事は以前よりも極端に少なくなったとして「食べるものがなかったので3か月で33キロやせました」と話していました。
パレスチナ人の拘束をめぐってはイスラエル国内でも問題視する声があがっていて、イスラエルの人権団体は問題が指摘されている複数の施設のうち1か所の閉鎖などを求めて最高裁判所に訴えを起こしています。
訴えを起こした人権団体の1つで法務部門を担当するダニエル・シェンハルさんは「10月7日以降の刑務所の状況は深刻で非常に悪いです。人々をこのような非人道的な環境で拘束し、拷問することは許されません。イスラエル当局や軍が法を破っていることが問題で、その違法行為を止めるために私たちは活動しています」と話していました。
ネタニヤフの本名はミレイコフスキー?
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🇮🇱首相は皆、中東系・ユダヤ系の名前に変えている https://t.co/EtfCbRcTs1 pic.twitter.com/ILm1D5HGEp
コロンビア イスラエルへの石炭輸出を停止する方針https://t.co/7Y5FlYM1Di #nhk_news
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南米のコロンビアはガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルへの石炭の輸出を停止する方針を明らかにし、中南米の各国でイスラエルとの関係を見直す動きが相次いでいます。
コロンビアのペトロ大統領は8日、SNSで、ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルに対し、石炭の輸出を停止する方針を明らかにしました。
イスラエルがガザ地区の民間人への攻撃を止めるまで輸出を停止するとしています。
コロンビアは石炭の主要な輸出国のひとつで、コロンビア政府によりますと去年1月から8月までのイスラエルへの輸出の9割を石炭が占めたということです。
半世紀以上にわたり左翼ゲリラ組織との内戦が続いたコロンビアは、イスラエルから軍事支援を受けるなど、緊密な関係を築いてきました。
しかし、おととし史上初めて左派政権を発足させたペトロ大統領は、イスラエルのネタニヤフ政権を繰り返し批判し、先月にはイスラエルとの外交関係の断絶を表明していました。
中南米ではこれまでにボリビアもイスラエルとの外交関係の断絶を発表したほか、チリはイスラエルに駐在する大使を召還するなど左派政権の国々がイスラエルとの関係を見直す動きが相次いでいます。
#パレスチナ(ガザ地区・ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・245日目②)
【随時更新】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月9日)https://t.co/tstPeHsYtQ #nhk_news
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