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大規模な保存修理工事が行われていた松山市の「道後温泉本館」が5年半ぶりに全館で営業を再開し、朝から大勢の観光客などでにぎわっています。

松山市の観光名所で国の重要文化財に指定されている「道後温泉本館」は、耐震化などのため2019年から一部で営業を続けながら大規模な保存修理工事が進められてきました。
11日は5年半ぶりに全館で営業が再開され、あいにくの雨にもかかわらず午前6時の開館前から観光客や地元の人などおよそ50人が列を作りました。

そして本館屋上の「振鷺閣」に設置された「刻太鼓」が打ち鳴らされ開館時間になったことを知らせると、待ちわびた人たちが次々と入っていきました。

全館での営業再開にあたっては、本館3階にあった従業員用の部屋を新たに貸し切りの休憩所として利用できるようにしたほか、入浴券のデザインなども一新されました。

10日午後10時ごろから並んだという20代の女子大学生は「お湯につかってすがすがしい気持ちになり、並んだかいがありました。また来たいと思います」と話していました。

新設された貸し切りの休憩所を家族で利用した松山市の男性は「再開の初日は特別感があってよかったです。道後温泉本館は湯上がりに休憩できる点も好きで、家族でゆっくりできる休憩室はありがたいです」と話していました。

松山市道後温泉事務所の杉村幸紀所長は「新型コロナなどを乗り越えて再開の日を迎えられ、多くの人に来ていただけたことは本当にありがたいです。道後の新しい歴史を築いていきたいです」と話していました。

地元の商店街もにぎわいを期待

道後温泉本館が全館で営業再開したことを受け、地元の商店街もさらににぎわうことを期待しています。

道後温泉本館前にある道後商店街では、11日も午前中から観光客などが訪れ、名物のだんごを食べたり土産を購入したりしていました。

福井県から訪れていた30代の男性は「家族や職場へのお土産をついついたくさん買ってしまいました。今回は1人で来ましたがまた誰かと一緒に道後を訪れたいです」と話していました。

商店街の老舗菓子店の70代の女性は「早く再開してほしいとこの日を待ちわびていました。温泉に入って道後商店街で買い物をすることで、リピーターになってもらえるような商品を提供していきたい」と話していました。

道後商店街振興組合の石田匡暁理事長は「本館の工事前には観光客が減って大きな損害が出るという懸念もありましたが、いまは海外からの観光客も増えているのでここからがスタートだと思って頑張っていきたい」と話していました。

刑事事件の内部文書などを、ネットメディアに漏らした罪に問われている鹿児島県警察本部の元巡査長は、初公判で起訴された内容を認め、文書を流出させた動機について「警察組織に漠然とした不満を感じていた」などと述べました。

曽於(そお)警察署の元巡査長、藤井光樹被告(49)は、県警本部の公安課に所属していた去年6月からことし3月にかけて、刑事事件の当事者の個人情報が記された「告訴・告発事件処理簿一覧表」や、特定の個人の犯罪歴に関する情報を福岡市のネットメディアの代表に漏らしたとして、地方公務員法違反の罪に問われています。

11日、鹿児島地方裁判所で開かれた初公判で、元巡査長は「間違いありません」と起訴された内容を認め、被告人質問で警察内部の捜査書類の扱いや対応に疑問を感じていたことを明らかにし、「警察組織に漠然とした不満を感じていた」と述べました。

検察は「被告はネットメディアの代表から事件の捜査状況などについて情報提供を求められ、よい関係が築ければ情報を得ることができ、その情報を組織に提供すれば評価も上がると考え、依頼を受けることにした」と主張しました。

そして「警察官の職務に対する社会の信頼を大きく損なう悪質な犯行だ」などとして、懲役1年を求刑しました。

一方、弁護側は「動機の一部には、警察組織の実情が明るみになることによって、組織体制の改善を期待していたことが含まれる」などと主張し、執行猶予付きの判決を求めました。

判決は来月5日に言い渡される予定です。

文書漏えい 動機は

藤井元巡査長は動機について「警察組織に漠然とした不満を感じていた」などと述べました。

その理由として、過去に勤務した警察署でずさんな証拠の管理や捜査書類の不備を見つけ、県警本部に伺いを立てたものの警察署で対応するよう求められたとして、そのいきさつに「疑問を感じていた」と主張しました。

また、元巡査長は県警が出した捜査書類の廃棄を促すような「刑事企画課だより」という内部向けの文書についても、ネットメディアに提供したことを明らかにした上で「警察組織が本来持つべき軸からずれていると感じた」と述べました。

一方で、検察から「知られたくない情報を漏らされる人の気持ちは考えなかったのか」と問われると、「独善的にやってしまった。提供先からの信頼を得たいという欲が強かった」と述べました。

審理の最後に元巡査長は「身勝手な理由で起こした犯行で、県民の皆様や情報を漏えいした関係者、懸命に仕事をしている警察職員に対して本当に申し訳ないと思っています」と述べ、傍聴席に向かい深々と頭を下げました。

藤井元巡査長「公益通報に値しない」

藤井元巡査長は裁判のあと報道陣の取材に対し、「私の行動で関係者の方々に多大な迷惑をかけ、不安や不快な思いをさせた。私の独善的な判断で行ったことで、すべての責任は私にあると考えている」と話しました。

その上で、内部文書を漏らしたことについて組織の不正を通報する「公益通報」の意図があったのかという質問に対しては、「あくまでも私の身勝手な行動で公益通報に値しないと思う」と話していました。

鹿児島県警 警察官の逮捕相次ぐ

鹿児島県警をめぐっては、今年度この元巡査長を含めた警察官3人と元生活安全部長の合わせて4人が相次いで逮捕され、警察庁が先月から特別監察を実施しています。

10日は、このうち、知人の女性の体を触るなどのわいせつな行為をした罪に問われた元警部に対し、鹿児島地裁が執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。

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