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横浜市教育委員会が性犯罪事件に関係した教員の裁判の傍聴に大量の職員を動員した問題で、職員に支給された旅費などの返還を求めた住民監査請求について、市の監査委員は「職員への出張命令は違法ではあるが、重大かつ明白な瑕疵(かし)はない」などとして請求を棄却しました。

横浜市教育委員会は、教員が児童や生徒への性犯罪で起訴された4件の事件の裁判で、2019年からことしにかけて合わせて11回、一般の人が傍聴できないように職員を大量に動員していました。

この問題をめぐり、市民が「動員に参加した職員に旅費や給与が支給されたのは不正な公金の支出にあたる」などとして、返還を求める住民監査請求を申し立てていました。

これについて、横浜市の監査委員は5日、結果を公表し「職員への出張命令は違法ではあるが、重大かつ明白な瑕疵はない。職員が違法であることを認識していた事情もない」などと指摘し、請求をいずれも棄却しました。

一方、教育委員会は、監査委員から書類の提出などを求められたにもかかわらず、弁護士による検証を理由に、期限の間際まで提出しなかったということです。

このため、監査委員は公表した監査結果の中で「余裕のない中で判断せざるをえない状況につながり、重大な影響を与えた。大いに反省を求める」と異例の指摘を行いました。

刑事事件の内部文書などをネットメディアに漏らした罪に問われた鹿児島県警察本部の元巡査長に対し、鹿児島地方裁判所は「プライバシーの侵害の程度は高い」として、執行猶予のついた懲役1年の有罪判決を言い渡しました。

曽於警察署の元巡査長、藤井光樹被告(49)は、鹿児島県警察本部の公安課に所属していた去年6月からことし3月にかけて
▽刑事事件の当事者の個人情報が記された「告訴・告発事件処理簿一覧表」や
▽特定の個人の犯罪歴に関する情報を、福岡市のネットメディアの代表に漏らしたとして、地方公務員法違反の罪に問われました。

5日の判決で、鹿児島地方裁判所の松野豊裁判官は「個人の犯罪歴に加え、100件以上の情報を漏えいしていてプライバシーの侵害の程度は高い。ネットメディアの記者からの信頼や情報を得るためという主な動機は、捜査情報の漏えいを正当化できるものではない」と指摘しました。

そのうえで、元巡査長が動機の1つとして、警察組織に疑念や不満を抱いたと述べたことについては「被告自身の思い込みによる側面が小さくない」と述べました。

一方で、元巡査長が反省していることなどを踏まえ、「社会での更生の機会を与えるのが妥当だ」として、懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。

鹿児島県警察本部は、警察官や元幹部が相次いで逮捕されたことを受けて、今月2日に再発防止策を公表し、個人情報の漏えい防止策については
▽組織内のデータにアクセスできる権限の見直しや
▽全職員を対象にした「情報リテラシー」の向上に取り組むとしています。

元巡査長「申し訳ありませんでした」

元巡査長は判決のあと報道陣の取材に対し「罪を犯してしまったことで、全く関係のない数百人の個人情報が外部に流出した。謝れば許されることではないと思っているが『申し訳ありませんでした』としか言えない」と述べ、深く頭を下げました。

また「内部文書を漏らしたことは、組織の不正を通報する『公益通報』の意図があったのか」という質問に対しては「裁判所から指摘があったように、主な理由はネットメディアの記者との関係をよくしたいという個人的な欲望で、公益通報には該当しない」と改めて述べました。

そのうえで元巡査長は、控訴しない意向を示しました。

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