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パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、経済が概ね予想通りに発展すれば、政策は時間の経過とともにより中立的な姿勢へと移行するとの見解を示した。利下げの見通しについて「時間をかけて展開されるプロセス」とし、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は急いで利下げをしようとしているわけではない」と述べた。

テネシー州ナッシュビルで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)年次会合で講演した。

パウエル氏は「ディスインフレは広範囲に及んでおり、最近のデータはFRBが目標とするインフレ率2%への持続的な回帰に向けてさらに前進していることを示している」と指摘。「経済が概ね予想通りに推移すれば、政策は徐々に中立的な姿勢へと移行するだろう」とした。

一方、「われわれはあらかじめ定められた道筋をたどっているわけではない。リスクは両面性があり、今後も会合ごとに決定を下していく」とも述べた。

また、失業率を低く維持しながらインフレ率を目標の2%に近づけるために「必要なスピードで行動する」とした上で「経済が予想通り推移すれば、年内にさらに2回、合計50ベーシスポイント(bp)の追加利下げが行われることになる」とした。

こうした発言は、第2・四半期の国内総所得(GDI)の大幅上方改定などが示す、経済成長の継続に対する自信に基づいている。GDIの上方修正は「経済の下振れリスクが取り除かれ、支出が健全な水準で継続できることを示唆している」との見解を示した。 もっと見る

<経済は「堅調」>

パウエル氏が「両面」リスクに言及したことは、データが蓄積されるにつれて議論が活発になることを示唆している。10月4日発表の米9月雇用統計は、最初の主要指標として注目される。

パウエル氏は「より広範な経済状況がさらなるディスインフレの土台を整えている」とし、モノの価格が下落している上、高止まりしていたサービス産業のインフレ率も現在「コロナ前のペースに近づいている」と指摘した。

一方、住宅インフレ鎮静化の進展は「鈍い」としながらも「新規入居者向け家賃の伸び率は依然として低い。この状況が続く限り、住宅サービス価格の上昇は引き続き鈍化するだろう」と述べた。

雇用市場については「堅調」さが続いており、失業率は4.2%と依然として低い水準で、長期的にはFRB当局者が持続可能と考える水準付近にあると述べた。
その上で「経済は全体的に堅調だ。われわれはその状態を維持するために政策手段を活用するつもりだ」と言明。失業率の急上昇なしにインフレ率を下げることについて、FRBは「かなりの進歩」を遂げたとした。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は30日、全米企業エコノミスト協会(NABE)年次会合で講演した。

主な発言内容は以下の通り。

*経済がおおむね予想通り進展すれば、「政策は時間とともにより中立的なスタンスへと移行する」
*両面のリスクが存在、決定は会合ごとに行われる
*米経済は堅調、われわれの政策ツールを使いこの状況を維持
労働市場はおおむね均衡
*2%のインフレ目標達成のために、労働市場がさらに軟化する必要はない
*インフレが2%の目標に向け持続可能な道筋にあるという確信増した
ディスインフレは「広範囲に及び」、最近のデータはインフレ2%への持続的な回帰に向けたさらなる前進を示唆
*新規入居者の家賃の伸びが低水準にとどまれば、住宅サービスインフレは引き続き鈍化するだろう
*0.5%ポイント利下げは、適切な政策調整が労働市場の強さを維持しインフレを目標に向かわせるという確信の高まりを反映
*痛みを伴う失業率の上昇なしに物価安定の回復に向けた良好な前進を遂げた
*雇用・インフレ目標達成のリスクは「おおむね均衡」
FRBは急激な利下げを急いでおらず、データに基づいて判断する
*利下げプロセスは「時間をかけて」行われるため、急ぐ必要はない
FRBは11月の金利決定であらゆることを考慮する
*経済が予想通りに進展すれば、今年はさらに2回、合計50ベーシスポイント(bp)の利下げとなる
労働市場は依然堅調だが「かなり冷え込んでいる」、これ以上鎮静化する必要はない
*住宅サービスインフレ、横ばいになり始めているがペースは鈍い
*新規入居者の家賃の伸びが低水準にある限り、いずれヘッドラインインフレ率に現れるだろう
*ブラックアウト期間中に発表された主要データも必ず考慮に入れる
金利決定では政策効果発現のタイムラグを考慮しなければならない
FRBは経済の強さを維持するために政策を変更する。弱体化させるためではない
FRB金利を高く維持したのは正しい
*9月の0.5%ポイント利下げ、インフレ率が2%に戻ると確信しての決定
*雇用創出、以前より「かなり大幅に」低下している

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#米経済