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アメリカの先月の消費者物価指数が発表され、前の年の同じ月と比べて3.3%の上昇となりました。上昇率は2か月連続で前の月を下回り、インフレへの懸念がいくぶん和らいだ形です。

アメリ労働省が12日に発表した先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて3.3%の上昇となりました。

上昇率は前の月より0.1ポイント低下し、2か月連続で前の月を下回りました。
3.4%程度を見込んでいた市場の予想も下回りました。

項目別では、いずれも前の年の同じ月と比べて
▽中古車の価格が9.3%下落した一方、
▽輸送費が10.5%、
▽住居費が5.4%、
▽外食が4.0%、
それぞれ上昇しました。

また、変動の大きい食品やエネルギーを除いた物価指数は前の年の同じ月と比べて3.4%の上昇でした。

上昇率は前の月から0.2ポイント低下し、市場の予想を下回りました。

この指数はFRB連邦準備制度理事会がインフレの実態を見極める指標として重視していてインフレへの懸念がいくぶん和らいだ形です。

FRBは11日から2日間、金融政策を決める会合を開いていて、会合のあと日本時間の13日未明にはパウエル議長が記者会見を開きます。

これまで物価の上昇率が持続的に低下していくことが重要だと繰り返し強調してきたパウエル議長が、インフレの現状や今後の利下げの方針についてどのような発言をするか注目されます。

一時1ドル=155円台まで値上がり

12日の外国為替市場では、アメリカの先月の消費者物価指数が市場の予想を下回ったことを受けて、ドル売り円買いの動きが強まり、円相場は一時、1ドル=155円台まで値上がりしました。

12日の外国為替市場では、この日に発表されたアメリカの先月の消費者物価指数の上昇率が市場の予想を下回ったことをきっかけに円高が進みました。

FRB連邦準備制度理事会による利下げの開始時期が早まるのではないかとの見方が広がり、円相場は一時、1ドル=155円台後半まで値上がりし、消費者物価の発表前に比べて1円以上の上昇となりました。

市場関係者は「根強いインフレが続けばFRBは年内の利下げを行わないのではないかとの観測も市場では一部出ていたが、今回の消費者物価の発表を受け利下げを早い時期に行うとの見立てが強まった」と話しています。

Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace. Job gains have remained strong, and the unemployment rate has remained low. Inflation has eased over the past year but remains elevated. In recent months, there has been modest further progress toward the Committee's 2 percent inflation objective.

The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals have moved toward better balance over the past year. The economic outlook is uncertain, and the Committee remains highly attentive to inflation risks.

In support of its goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent. In considering any adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. The Committee does not expect it will be appropriate to reduce the target range until it has gained greater confidence that inflation is moving sustainably toward 2 percent. In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage‑backed securities. The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.

In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.

Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W. Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson; Adriana D. Kugler; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.

  • 最近の指標は、経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は依然低い。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている。ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けての緩やかなさらなる進展がみられた。

委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。委員会は、雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスがこの1年で改善に向かっていると判断する。経済の見通しは不確実で、委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している。

目標を支援するため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを5.25─5.50%に維持することを決定した。FF金利の目標誘導レンジのあらゆる調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する。委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない。さらに、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける。委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む。

金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。

政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、トーマス・バーキン、マイケル・バー、ラファエル・ボスティック、ミシェル・ボウマン、リサ・クック、メアリー・デイリー、フィリップ・ジェファーソン、アドリアナ・クーグラー、ロレッタ・メスター、クリストファー・ウォラーの各委員。

米連邦準備理事会(FRB)は11─12日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いた。

最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。

前回3月の金利・経済見通しでは、年内3回の0.25%ポイントの利下げが想定されていた。最新の金利・経済見通しで示された一連の予想で、11月5日の米大統領選挙前に利下げが行われる可能性はほぼなくなった。

ただ、FRBは声明のインフレに関する文言を「ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けての緩やかなさらなる進展が見られた」とし、前回声明の「2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展は見られない」から変更した。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、インフレ率は経済に大きな打撃を与えずに低下したとし、この状況は持続可能と発言。このところの月次データは「幾分か緩和した」ものの、インフレ率が2%に向けて持続的に低下するという「一段と大きな確信」を得るには十分ではないと述べた。

予想より良好だった5月の消費者物価指数(CPI)については、「単月の指標に過ぎない」とし、より強い確信を持てるようになれば「政策緩和を検討できる」と語った。
また、インフレ抑制の代償として雇用市場の崩壊を容認することはしないと表明。最大雇用と物価安定というFRBが担う2つの責務のバランスを取るよう、金融政策を決定していくと述べた。

金利の長期見通し上昇>

金利・経済見通しで示された政策金利の長期見通しは2.8%と、前回の2.6%から上昇。年末時点のインフレ率は2.6%と、前回2.4%から上昇した。 もっと見る
利下げ開始の予想時期が後ずれし、ペースも予想より緩やかになるとみられる中でも、政策金利は2025年と26年は共に1%ポイント引き下げられるとの見方が示された。

パウエル議長は政策当局者の見解が変化していると説明。「われわれは現在の経済状況を踏まえて政策を策定している」とし、政策金利の長期見通しが2.8%になったことは、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)前の極めて低い金利環境には戻らないという見方に当局者が「徐々に」近づいていることを示していると語った。

エバーコアISIのクリシュナ・グハ副会長は、パウエル氏がインフレ見通しを「保守的」と表現したことは、インフレ低下が続く場合に9月利下げの可能性も大きく残していることを示していると指摘した。

最新の金利・経済見通しで示された経済成長率は24年が2.1%。失業率は年内は4%にとどまるとの見通しが示された。

FRBは声明で「最近の指標は、経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は依然低い」とし、前回声明の文言を維持した。

パウエル氏はまた、金融政策は現時点では制約的であり、期待通りの効果が出ているという証拠はかなり明確だと述べた。

米連邦準備理事会(FRB)が12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表した金利・経済見通しによると、政策担当者は今年の利下げは1回のみと予想している。これは3月時点の予想より2回少ない。

政策担当者19人のうち4人は、年内に利下げを行うべきではないと考えている。3月時点でそう考えていたのは2人だった。

一方、7人は年末までに1回の利下げが適切だとの認識を示した。2回の利下げが必要だとみる当局者は8人だった。

2025年末の政策金利の予測中央値は4.1%。来年には0.25%ポイントの利下げが4回行われることを意味している。

3月時点の見通しでは、24年と25年にそれぞれ少なくとも0.25%ポイントの利下げを3回実施すると予想していた。

24年末時点での政策金利の予測中央値は5.1%。前回予想は4.6%だった。

FRBが重視するインフレ指標であるコア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは24年末で2.8%、25年末には2.3%。3月時点では24年末が2.6%、25年末が2.2%だった。

失業率に関しては現在の4%から25年末までに4.2%に上昇すると予想。3月時点の予想は4.1%だった。

経済成長率見通しは24年が2.1%、25年が2.0%で据え置いた。

FRBが発表した金利・経済見通しは以下の通り。

●FF金利見通し中央値(カッコ内は前回見通し)
*24年末:5.1%(4.6%)
*25年末:4.1%(3.9%)
*26年末:3.1%(3.1%)
*長期:  2.8%(2.6%)

米連邦準備理事会(FRB)は11─12日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いた。最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。
パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。
*米経済は相当な進展を遂げた
*米経済における雇用の力強い増加が継続
*インフレは大幅に緩和したが、依然として高すぎる
*需要と供給を一致させるために制約的な政策スタンスを維持している
*最近の指標は経済成長が依然として堅調なペースで拡大していることを示唆
*民間国内最終消費(PDFP)はより明確なシグナルであり、依然として力強い
*消費支出は引き続き堅調
*設備投資は低調なペースから回復
労働市場はバランス改善に向かっている
*4月と5月の雇用ペースは依然として堅調
*失業率は依然として低水準
*広範な指標は労働市場パンデミック(世界的大流行)前の水準に戻ったことを示唆
労働市場に関する全般的な指標は比較的タイトだが過熱していないことを示している
労働市場の力強さが継続すると予想
*インフレは著しく緩和した
*最近の月次インフレ指標は幾分緩和
*より最近のインフレ指標は緩和を示している
*インフレリスクに引き続き細心の注意を払う
*今年はこれまでのところ、利下げするためのインフレに対する自信が高まっていない
*控えめな一段の進歩を遂げたが、インフレに対する信頼を高めるにはさらに良好なデータが必要
*経済見通しのサマリーは計画でもいかなる決定でもない
*経済がなお堅調でインフレが持続する場合、適切な限り金利を維持する用意があり、必要な限り金利を据え置く
*政策は良好な状況にある
*引き続き会合ごとに決定を下す
*見通しに高い信頼を置いていない
*きょうのインフレ指標を歓迎、今後も同様の指標を期待する
*インフレが2%に戻るという自信がさらに必要
*利下げの試金石はインフレが2%に向かっているという自信の高まり
*データに依存することで合意している
FRBが示した全ての金利見通しは妥当
*特定の利下げに対するコミットメントはない
*一段の確信と一段と良好なインフレ指標が必要、利下げ開始にどの程度必要かは述べない
*リスクバランスと見通しも検証する
労働市場の弱さの兆候を監視していくが、現時点ではそのような兆候は見られない
*政策緩和が正当化されるほどの確信は現時点では得られていない
*FOMC参加者は、今朝発表のCPIを見通しに反映させることが許可されていたが、ほとんどの政策担当者は更新していない
*退職者数は減少傾向にあり、求人件数も減少している
*失業は依然として低水準にあるが、若干軟調になっている
労働市場はより良好な均衡に向かう中で徐々に冷え込んでいる
労働市場は数年前のように過度に過熱していない
金利予測の変化で最も重要なのはインフレだった
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*第1・四半期のインフレを巡る進展が停滞したため、利下げ着手に時間がかかるとの結論に達した
*インフレの進展が遅いため利下げは後ずれした
*今日発表のCPIは誰もが予想していたより良好だった
金利パンデミック前の水準まで下がる可能性は低いとの見方が広まりつつある
*現在の経済とゆがみを踏まえて政策を策定
金利が十分制約的であるかという疑問は、時間が経てば答えが出る
*政策は現時点では制約的、期待通りの効果が出ているという証拠はかなり明確
*われわれの政策スタンスはほぼ正しい
*必要に応じて政策を調整する用意がある
*インフレ鎮静化はパンデミックによるゆがみの解消と金融政策の補完によるもの
*金融政策は制約的で、経済はいずれ軟化すると考えられる
*誰も利上げを基本シナリオとして想定していない
*堅調な労働市場と良好な成長とともに、インフレ面では良好な進展がある
*目標を達成するために、最終的に金利を引き下げる必要がある
*経済は現時点で、われわれが望む状況になっている
*景気の緩やかな減速を背景に、インフレ抑制で良い成果が見られる
*住宅を巡る状況は複雑
*最終的に、住宅市場に対する最善策はインフレ抑制だ
*銀行システムは堅固かつ十分な資本があり、良好な状態だ
*全体的にインフレ圧力は低下しているが、住宅以外のサービスでは依然としてインフレが高まっている
*財の輸入価格が驚くほど上昇している
*賃金は依然として持続可能な水準を上回って推移している
*最初の利下げだけでなく金利の全体的な道筋が重要だが、最初の利下げは経済にとって重大な意味を持つ
*今日のCPIのような指標は正しい方向への一歩だ
*インフレ抑制に向けできることは全てやっている
*われわれは目標をやり遂げるまで継続するという段階にある
*経済成長が堅調であることに勇気づけられている
*家賃の「高騰」が住宅インフレ率の低下につながるには数年かかる可能性
*家計部門はかなり良い状態だが、低所得者層への経済的圧力は高まっている
*われわれができる最善のことは、強力な雇用経済を育成すること
*失業率が予測を上回った場合、われわれはそれを予期せぬ弱体化と見なすだろう
労働市場が弱含みで推移していることが問題視されれば、対応を検討する
*利下げを開始するには、労働市場や経済成長、インフレに関するデータを総合的に判断する
*利下げ時期を示す段階ではない
*われわれは、直面している両面的なリスクを十分に認識している
*長く待ちすぎるリスクも、早く動きすぎるリスクも理解している
*インフレ鎮静化に対する確信が深まるまで、政策を緩和することは適切でない
*現在のアプローチは正しい
*われわれは今、利下げに対し慎重に取り組む余地がある
*住宅価格が緩やかになるなど、利下げを決定するような変動要因は一つもない

円相場に影響を及ぼすアメリカのFRB連邦準備制度理事会の金融政策を決める会合が開かれ、12日、7会合連続で政策金利を据え置くことを決定しました。

また、会合の参加者による政策金利の見通しが示され、年内の利下げ想定がこれまでの3回から1回に減りました。

目次

注目
パウエル議長 会合後の記者会見 詳細
政策金利の見通し 年内に “1回” の利下げに減少
「ナスダック」と「S&P500」史上最高値を更新
円相場一時 1ドル=156円台後半まで値下がり
FRBの金融政策 これまでの経緯

FRBは12日までの2日間、金融政策を決める会合を開き、政策金利を現在の5.25%から5.5%の幅と、およそ23年ぶりの高い水準のまま据え置くことを決定しました。

FRBとしては高い金利水準を維持することでインフレを抑え込むねらいです。

また、合わせて発表された会合の参加者による政策金利の見通しはことし・2024年末時点で5.1%となりました。政策金利の1回あたりの引き下げ幅を0.25%とすると、年内に1回の利下げが行われる想定です。

利下げの想定回数は前々回・去年12月と前回・ことし3月時点の3回から減りました。この日発表されたアメリカの5月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて3.3%の上昇となり、上昇率は2か月連続で前の月を下回りました。

ただ、FRBの会合の参加者はインフレ率の低下が想定通り進んでいないという厳しい認識を示した形です。

パウエル議長は会合終了後の記者会見で「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を得られるまで、利下げすることは適切ではない」と述べ、利下げの時期を慎重に見極める考えを強調しました。

注目
パウエル議長 会合後の記者会見 詳細

「インフレ率 2%に向かっている確信得られていない」

FRBのパウエル議長は、会合後の記者会見で「インフレはこの2年で顕著に緩和したが、FRBの物価目標である2%を依然上回っている。インフレ率が持続的に2%に向かっていると確信を得られるまで、利下げすることは適切ではない」と述べました。

そのうえで「今年はこれまでのところ、データからはそのような確信を得られていない。インフレの目標に向けた変化は緩やかで、確信を強めるためにはさらにデータを見極める必要がある」と述べ、利下げの時期が早すぎると逆効果になる可能性があると慎重な見方を示しました。

「金融を緩和的にし始めるには確信得られていない」

「きょうの(経済見通しの)リポートでは進展が見られたものの、この時期に金融を緩和的にし始めることを正当化するには確信を得られていない」

「雇用情勢注意深くみている」

労働市場は2年前は過熱していたが、徐々によりよい需給のバランスがみられている。ただ、雇用者数は議論はあるが依然として強い。徐々に落ち着きつつあり、注意深く見ているが、それ以上のよい兆候は見られていない」

「1つのデータだけで動こうとするのは避けたい」

「きょう発表された消費者物価指数の指標は前向きなもので、今後のデータがどのようなものになるか、傾向を見極める必要がある。われわれはインフレ率が2%に持続的に低下することを確信できる指標を求めており、1つのデータだけで動こうとするのは避けたい」

政策金利の見通し 年内に “1回” の利下げに減少

政策金利の水準】

今回の会合で、FRBは会合の参加者19人による政策金利の見通しを示しました。参加者がそれぞれ適切だと考える金利が点=ドットで示されることからドット・チャートと呼ばれ、市場ではその中央値がFRBが目指す金利水準だと受け止められています。

それによりますと、ことし・2024年末時点の金利水準の中央値は5.1%で、政策金利の1回あたりの引き下げ幅を0.25%とすると年内に1回の利下げが行われる想定です。前々回・去年12月と前回・ことし3月の3回の見通しから減りました。

また、2025年末時点の金利水準の中央値は4.1%で前回より0.2ポイント引き上げられた一方、2026年末時点での金利水準は前回と同じ3.1%でした。

個人消費支出の物価指数】

FRBは、インフレの実態を見極める指標として重視しているPCE=個人消費支出の物価指数の上昇率の見通しも示しました。

それによりますと、ことし10月から12月のPCEの物価指数の上昇率は去年の同じ時期と比べて2.6%で前回から0.2ポイント引き上げられました。

価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数は2.8%と、前回から0.2ポイント引き上げられましたが、2026年に2.0%とFRBの物価目標に到達するという予測は前回から変わりませんでした。

GDP・失業率】

ことし10月から12月のアメリカのGDP国内総生産の予測は、去年の同じ時期と比べた実質の伸び率で、前回の見通しと同じ2.1%でした。またことし10月から12月の平均の失業率については前回と同じ4.0%でしたが、来年10月から12月は4.2%で前回から0.1ポイント上昇しました。

「ナスダック」と「S&P500」史上最高値を更新

12日のニューヨーク株式市場ではハイテク関連銘柄が多いナスダックの株価指数は上昇し、史上最高値を更新しました。

一方、FRB連邦準備制度理事会のパウエル議長が利下げに慎重だとの受け止めからダウ平均株価は小幅な値下がりとなりました。

この日、発表されたアメリカの5月の消費者物価指数の伸びが市場の予想を下回り、長期金利が低下したことをきっかけにハイテク関連銘柄に買い注文が増えました。

ナスダックの株価指数終値は前日に比べて1.5%上昇して1万7608.44と史上最高値を更新しました。

また、主要な500社の株価で算出する「S&P500」の株価指数も上昇し、終値で初めて5400を超えて史上最高値を更新しました。

一方、FRBのパウエル議長の記者会見での発言が利下げに慎重だとの受け止めからダウ平均株価の終値は前日に比べて35ドル21セント安い、3万8712ドル21セントでした。

円相場一時 1ドル=156円台後半まで値下がり

12日のニューヨーク外国為替市場では、FRB連邦準備制度理事会が示した政策金利の見通しやパウエル議長の発言を受けて円安が進み、見通しの発表前に1ドル=155円台後半だった円相場は一時、1ドル=156円台後半まで値下がりしました。

12日のニューヨーク外国為替市場では、FRBの会合のあとに示された政策金利の見通しが年内に1回の利下げが行われるとの想定で、ことし3月時点の見通しから減ったことから、FRBが利下げを早い時期に始めるとの見方が後退しました。

また、この日、発表されたアメリカの先月の消費者物価指数の伸びが市場予想を下回ったことについてパウエル議長が記者会見で「進展が見られたものの、この時期に金融を緩和的にし始めることを正当化するには確信を得られていない」などと述べたことが利下げに慎重だと受け止められ、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが強まりました。

このため、政策金利の見通しの発表前に1ドル=155円台後半だった円相場は一時、1ドル=156円台後半まで値下がりしました。

FRBの金融政策 これまでの経緯

FRBが利上げを開始したのはおととし3月。

それまでのゼロ金利政策を解除して金融引き締めへと転換します。

金融引き締めによって景気を冷やすことでインフレを抑えこむ狙いでした。

しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、おととし6月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べ9.1%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。

このためFRBはおととし6月から11月の会合まで4回連続で0.75%という異例の大幅利上げに踏み切りました。

こうした中、急速な利上げの影響を受けて去年3月から5月にかけては3つの銀行が経営破綻しました。

それでもFRBはインフレ抑制を優先にする姿勢を示し、去年3月と5月にそれぞれ0.25%の利上げを決定しました。

続く6月の会合ではそれまでの金融政策の影響を評価するためなどとしておととし3月以降、初めて利上げを見送りましたが去年7月の会合では、インフレの要因である人手不足が続いていることなどから0.25%の利上げを決定。

これで政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来、22年ぶりの高い水準となりました。

FRBの利上げはこれでおととし3月以降、あわせて11回に及びました。

去年9月以降の会合では物価の上昇が落ち着き、インフレの要因となっていた人手不足に改善の兆しが見られたことなどから6会合連続で利上げを見送りFRBがいつ利下げに踏み切るかが焦点となっていました。

ただことし1月から3月にかけてインフレの根強さや経済の堅調さを裏付ける経済指標が相次ぎ、市場ではFRBの利下げが当初、市場が見込んでいた時期より大幅に遅れるという見方が広がりました。

4月以降は景気の減速を示すデータも多く発表されたもののサービス業など非製造業の景況感を示す指数や先週発表された5月の雇用統計が農業分野以外の就業者が市場の予想を上回りました。

労働需要が底堅いことが示され、インフレの収束が明確には見通せないなか、市場では再び利下げを始める時期が遅れるとの見方が出ていました。

米連邦準備理事会(FRB)は11月の大統領選を控え、政治の矢面に立つリスクを回避したのかもしれない。

連邦公開市場委員会(FOMC)が12日公表した最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。

今年3月時点では夏に利下げを開始し、11月5日の大統領選まで利下げを続けるとの見方が多かった。共和党のトランプ前大統領は、FRBが利下げに動けば、民主党のバイデン大統領を手助けする狙いがあるとすでにけん制しており、FRBが政治論争に巻き込まれる恐れがあった。

ただ、市場関係者は早期利下げへの期待を完全に捨てておらず、金利先物市場は9月に約60%の確率で利下げがあると予想している。

9月に利下げが実施されれば、消費者心理の改善につながり、バイデン氏に有利に働く可能性がある。

トランプ氏は今年、FOXビジネスとのインタビューで「(パウエルFRB議長は)恐らく民主党を助けるようなことをするだろう。もし利下げすればだ」とけん制。「恐らく誰かを当選させるために利下げを企てているように見える」と発言した。

世論調査ではバイデン氏の経済運営に対する評価が低く、利下げが大統領選後に先送りされれば、同氏にとって逆風となりかねない。

共和党コンサルタント、ジャネット・ホフマン氏は「『バイデノミクス』のおかげで経済は好調だと有権者に必死に訴えているバイデン陣営にとって明らかに悪いニュースだ」と指摘。

ジャンピエール米大統領報道官は「FRBは独立している。FRBについてはコメントしない」と述べた。

<過去の事例>

大統領選の年にFRBが利下げを実施したケースは過去にあるが、比較的まれな事例といえる。

直近では2020年のトランプ政権下で、パウエル議長率いるFRB新型コロナウイルス流行への対応で政策金利をゼロ付近まで引き下げた。ただ、その年の大統領選ではトランプ氏がバイデン氏に敗れている。

その次の直近の事例では、08年に当時のバーナンキ議長率いるFRB金融危機への対応で秋に繰り返し利下げを実施した。同年の大統領選では民主党バラク・オバマ氏が共和党ジョン・マケイン氏を破った。

1992年には当時のグリーンスパン議長率いるFRBが失業悪化を受けて投票日前の数カ月間に複数回の利下げを実施した。この年の選挙では共和党ジョージ・H・W・ブッシュ氏が民主党ビル・クリントン氏に敗れた。

ブッシュ氏はその後、98年に行われたの英テレビ司会者デービッド・フロスト氏とのインタビューで「金利がもっと劇的に引き下げられていれば、私は大統領に再選されていただろう。進行していた景気回復がもっと目に見えるものになっていただろう」とし、「私は彼を再任したが、彼は私を失望させた」と語っている。

<大統領選前の利下げも>

今後数カ月で情勢が変われば、FRBが9月中旬に利下げに動くことも考えられるが、必ずしもバイデン氏の追い風になるわけではなさそうだ。

パウエル氏は12日の会見で利下げ開始の是非を判断する基準として(1)インフレが持続的に目標の2%に向かっているとFRBが確信を深めた場合(2)労働市場が「予想外に悪化」した場合──の2つを挙げた。

第1の基準で利下げに踏み切った場合は、バイデン氏に有利に働く可能性があるが、第2の基準で利下げが実施された場合は、トランプ氏の追い風になる可能性がある。
パウエル議長は「(労働市場に)予想以上に懸念すべき軟化が見られた場合」現在の予想より早く利下げが行われる可能性があると発言。「われわれはリスクを完全に理解しており、事態が悪化するのを待ってから修復しようという計画はない」と述べた。

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