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米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、議会上院の銀行委員会で行った証言で、中央銀行の独立性は米経済にとって最良の結果をもたらす方法だと実証され、支持されていると述べた。

パウエル氏は「中央銀行が政治的指示を受けずに目標に取り組むことができれば、インフレ期待がより安定しインフレ対策が改善し、経済全般のパフォーマンスも改善することは明らかだ」と述べた。また、独立性によってFRBは政策選択について「長期的な視点」を持つ余地が生まれると指摘した。

その上で、中銀の独立性は世界の主要中銀に共通する取り決めで、政治当局から指示されることなく任務を遂行する自由が与えられていると言及。FRBの独立性の利点は「米連邦議会でかなり広く理解されている」と述べた。

FRBの独立性を巡る問題は、共和党のトランプ前大統領が11月の選挙で返り咲く可能性が取り沙汰される中、再び注目を集めている。トランプ氏は在任中、慣例に反してFRBの金融政策をたびたび非難した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、国際的な銀行資本規制「バーゼル3」の最終規則案について、追加的な意見を求めるべきだという見解をFRBは堅持していると表明した。

パウエル氏は議会上院の銀行委員会で証言し、FRB連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)はバーゼル3最終化案の見直しで大きく進展したと指摘。

その上で、各当局は規則案を最終決定して発効させるか、さらなる意見を求めるかについて検討中だと述べた。パウエル氏は後者を支持したが、他の機関がそのアプローチにまだ同意していないと説明した。

「修正案の意見を一定期間求める必要があるというのがFRB理事会が堅持している考えだ」とし、現在検討されている変更を踏まえると、改めて提案することが不可欠だという認識を示した。

銀行業界は大手行の資本要件を厳格化する従来案に強く反対し、見直しを要請。規制当局は大手行の資本への影響を大幅に抑制する形での提案見直しに取り組んできた。

パウエル氏はまた、規制当局が中小銀行に接触し、商業用不動産(CRE)へのエクスポージャーを管理できるかどうかを確認していると明らかにした。

CRE融資に伴う全体的なリスクは今後何年も銀行に残るだろうと述べた。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、議会証言で、米経済は「もはや過熱した状態ではない」としたほか、労働市場パンデミック(世界的大流行)時の極端な状況から「かなり冷え込み」、多くの点でパンデミック以前の状態に戻っているとし、利下げの根拠が強まっていることを示唆した。

上院の銀行委員会で「われわれは現在、両面的なリスクに直面していることを十分に認識している」とし、インフレ率は依然としてFRBの2%目標を「上回っている」ものの、インフレだけが焦点となることはもはやできないと強調。「労働市場は完全にバランスを取り戻したようだ」とした。

それでもなお、「今日この場で金利に関する今後の行動の時期についていかなるシグナルも送るつもりはない」と言明した。

<中銀の独立性>

11月5日の米大統領選前に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)は2回。民主党議員から、直ちに利下げを行わないことによる雇用市場へのリスクを巡る質問が出たほか、共和党議員はインフレが家計に及ぼす痛みに関して質問。共和党のケビン・クレイマー議員(ノースダコタ州選出)は「11月5日より前に利下げが実施されれば、悪い印象を与える」と指摘した。

これに対しパウエル議長は、金融政策運営におけるFRBの独立性の重要性を強調。中銀の独立性は世界の主要中銀に共通する取り決めで、政治当局から指示されることなく任務を遂行する自由が与えられているとし、FRBの独立性の利点は「米連邦議会でかなり広く理解されている」と述べた。

金利高止まりのリスクを懸念>

証言冒頭では、FRBは現在、金利が長期にわたり高止まりした場合の労働市場と経済へのリスクについて懸念していると言及。「今年は当初、2%のインフレ目標に向けた進展が見られなかったが、このところの月次データで一段の緩やかな進展が示されている」とし、「一段と良好なデータが得られれば、インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が強まる」と述べた。
労働省が先週発表した6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増と、健全な伸びを示した。ただ、失業率は前月の4.0%から4.1%に上昇した。

パウエル議長はこれを「依然として低い水準」と指摘。同時に「インフレ抑制と労働市場の冷却の双方で過去2年間に見られた進展を踏まえると、高インフレだけがわれわれが直面する唯一のリスクではない」と述べた。

その上で、過度に長期にわたり、過度に引き締め的な政策を維持すれば経済活動と雇用が過度に弱まり、経済成長が損われる恐れがあるとの考えを示した。

ナティクシスの米国担当チーフエコノミスト、クリストファー・ホッジ氏は、パウエル議長の重点が「FRBの責務の範囲内でリスクのバランスを取ることに少し移った」と指摘。「FRBは雇用に引き続き注意を払わなければならないものの、9月の方向転換に向け基盤が築かれ始めているようだ」と述べた。

パウエル議長の発言後、金融市場が織り込む9月利下げの確率は引き続き70%程度となった。

パウエル議長は10日に下院金融サービス委員会の公聴会で証言する。

米連邦準備制度理事会FRB)のパウエル議長は9日、上院銀行委員会で証言を行った。発言内容は以下の通り。

*インフレに関し、一段の良いデータがあれば確信を強められる
*インフレだけがわれわれが直面する唯一のリスクではない
*インフレが持続的に2%に向かうという信頼が高まるまで、政策金利の引き下げは適切ではない
*第1・四半期のデータは、利下げを必要とするインフレ経路への信頼の高まりを「裏付けなかった」
*会合ごとに決定を下し続ける
*2%のインフレ目標に向けてかなりの進歩を遂げており、最近の月次データは「緩やかなさらなる進歩」を示す
*インフレ率は2%目標を「上回っている」
労働市場の状況は「引き続き堅調だが冷静化」、「過熱していない」
*雇用とインフレ目標達成のリスクは「より良いバランスになりつつある」
*米国経済は「堅調なペース」で拡大
*金融引き締め政策はインフレ低下圧力に寄与している
*緩和が時期尚早や過度な場合にはインフレ鎮静化の進展が逆転するリスクがある
*緩和が遅すぎたり過小な場合には経済や雇用市場が過度に弱まる可能性がある
FRBは今後発表されるデータ、リスクのバランス、金利調整における適切な政策経路を慎重に検証する
*2%のインフレ目標に引き続きコミットし、長期的なインフレ期待をしっかりと維持
*目標達成には長期的な視点でFRBの運営上の独立性を確保する必要がある
*最新の労働市場データは、労働市場がかなり冷え込んでいるという明確なシグナル
労働市場パンデミック前の水準にほぼ回復している
*われわれは現在、両面的なリスクに直面していることを十分に認識している
労働市場は完全にバランスを取り戻した
*利下げは急ぎすぎても遅すぎても、双方にリスクがある
*2つのリスクのバランスを取っている
*次の措置が利上げになる可能性は低い
バーゼルIIIの最終案、FRB潜在的な変更について一連の議論を行ってきた
*われわれはかなりの進歩を遂げており、変更に関する合意に非常に近づいている
FRB理事会は、修正案を公表して意見を求める必要があるとの見解を強く支持
*米連邦預金保険公社(FDIC)や米通貨監督庁(OCC)とこの問題に取り組んでいるが、まだ合意には至っていない
*国内には重大な住宅問題が存在する
パンデミックにより住宅市場に新たな歪みが生じた
FRBのよりタイトな政策は住宅セクターの活動に影響を与えている
*住宅供給のためにわれわれができる最善策はインフレの抑制
*これまでの実績から、FRBの運営上の独立性が公共の利益となっていることは明確
*これは国としての選択であり、賢明な選択だ
*米経済は世界の他の国々と比べて例外的
*最新のデータは労働市場がかなり鎮静化していることを示す
*現在、2面のリスクがあることを非常によく認識している
*インフレデータの一段の改善と労働市場の堅調継続を期待している
FRBの二重の使命を強く意識している
*銀行部門の財務基盤は強固
*失業率は歴史的に見てまだ低い
*雇用創出は縮小している
FRBの今後の政策措置のタイミングについて、本日はいかなるシグナルも送っていない
*利下げを実施するには一段と良好なインフレデータが必要
*利下げのタイミングはデータと労働市場の状況次第
労働市場が予想外に弱まれば、利下げの論拠になる可能性
*移民は長期的にはインフレに中立的
*賃金上昇率はなおかなり高いが、一段と持続可能な水準に低下している
*ここ数回の統計で労働市場がかなり冷え込んでいることが示された
*二重のリスクは一段と均衡化している
FRBの独立性は文字通り不可欠
*移民は経済の拡大を意味するが、労働市場の引き締めにはつながらない
*インフレ低下の一方で経済が成長した理由には移民も関係
金利については慎重に動く
労働市場を注視、予想外の弱体化が見られれば対応する
労働市場は今のところ広範なインフレ圧力の源ではない

アメリカのFRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は、議会上院で証言し「直近の物価指標はインフレ率の低下に向けた緩やかな前進を示している」として今後もインフレ率の低下を示す指標が続けば利下げを始めることができるという認識を明らかにしました。そのうえで利下げが遅すぎることで経済に与える悪影響に懸念を示しました。

FRBは先月開いた金融政策を決める会合で、7会合連続で金利を据え置くことを決めていて、物価上昇率の低下や景気の減速を示す経済指標が増える中、いつ利下げに踏み切るかが焦点となっています。

こうした中、パウエル議長は9日、議会上院の委員会で証言し「直近の物価指標はインフレ率の低下に向けた緩やかな前進を示している。さらに良好なデータが得られれば自信を深められるだろう」と述べて、今後もインフレ率の低下を示す指標が続けば利下げを始めることができるという認識を明らかにしました。

また早急に利下げに踏み切ればインフレが再加速する可能性がある一方、「物価上昇率の低下や雇用市場の減速を踏まえればインフレだけが直面しているリスクではない」として利下げが遅すぎることで経済活動や雇用に与える悪影響に懸念を示しました。

市場ではFRBが9月の会合で利下げを始めるという観測が広がっていて、11日にアメリカで発表される消費者物価指数が注目されています。

イエレン米財務長官は9日、家賃などの住居費が要因で米インフレは望ましいとされる水準を上回って推移しているものの、「インフレが時間とともに鈍化し続けると確信している」と言明した。

イエレン長官は下院金融サービス委員会で労働市場は当初非常に逼迫していたが、現在は堅調でありつつも、インフレ懸念を引き起こすような圧力は後退しており、インフレは鈍化している」と述べた。

ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長も、インフレ鈍化を示唆する最近のデータはインフレ抑制での「大きな進展」を示していると評価した。

インフレの基調的な要因である食品価格は下落しているほか、車での旅行が目立つ7月4日の独立記念日近辺のガソリン価格は1ガロン=3.50ドル付近で安定していたと指摘。同時に「米国民が依然として生活費の高騰に苦しんでいることも認識している」とし、バイデン大統領は引き続き生活費押し下げに取り組むと言明した。

11日には6月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。

#イエレン「インフレ鈍化継続確信」