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日銀が1日発表した9月短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が前回から変わらない一方で、非製造業はプラス34で2期ぶりに小幅に改善した。価格転嫁の進展が業況感を押し上げた。企業の物価見通しは2%台で維持され、人手不足感が極めて強い状況も継続。日銀が目指す賃金・物価の好循環が続いているとの指摘が出ている。

<小売、猛暑や自然災害で販売増>

大企業・製造業のDIはプラス13で、ロイターがまとめた予測中央値に一致した。IT需要の回復で「繊維」「非鉄金属」「生産用機械」「電気機械」などが改善。原材料やエネルギーの価格上昇一服で「紙・パルプ」「化学」が前回を上回った。

一方、海外需要の伸び悩みで「窯業・土石製品」「鉄鋼」「自動車」などは悪化。自動車は前回から5ポイント悪化してプラス7。台風などによる工場停止の影響も響いた。「木材・木製品」「食料品」などはこれまでのコスト上昇の影響で悪化した。

先行きDIはプラス14で、予測中央値プラス12を上回った。海外経済の伸び悩み懸念の一方で、IT需要や自動車生産の回復に期待する声が聞かれたという。

非製造業DIは予測中央値プラス32を上回った。「建設」「対事業所サービス」「宿泊・飲食サービス」では価格転嫁が進展したとの声が聞かれた。宿泊・飲食サービスはプラス52で、過去最高だった今年3月調査に並んだ。猛暑や自然災害で販売が増えた「小売」は9ポイント改善してプラス28。

一方、「対個人サービス」は悪化した。レジャー施設などから、台風や猛暑で需要が減退したとの声が出された。

先行きDIはプラス28で、足元より6ポイント悪化の見込み。予測中央値プラス30も下回った。「建設」「不動産」「卸売」「対事業所サービス」「宿泊・飲食サービス」などから人件費や原材料価格といったコスト高への懸念が聞かれた。

<想定為替レートは円安方向に修正>

事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業)は2024年度通期で1ドル=145.15円と、6月調査の144.77円から円安方向に修正された。8月上旬以降、外為市場では円高に振れたが、上期としては企業にとって想定以上の円安になったことで、通期の想定レートを円安方向で見直すことにつながったとみられる。

大企業・全産業の24年度の設備投資計画は前年度比10.6%増。予測中央値11.9%増は下回ったものの、過去平均は上回った。

調査期間は8月27日から9月30日。回収基準日は9月11日で、基準日までの回収率は7割強だった。

<企業の物価見通し、2%台で維持>

企業の物価見通し(全規模・全産業)は1年後が前年比プラス2.4%で変わらず。3年後と5年後も2%台前半で前回と同じだった。円安修正に伴う原材料価格の上昇一服で、大企業や中小企業の製造業では1年後の販売価格の見通しが0.1%ポイント下方修正されたが、大企業・製造業の1年後の販売価格見通しは現状対比プラス2.2%、中小企業・製造業ではプラス3.3%で高い水準をキープした。

一方、雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は業種・規模を問わず大幅な人員不足が継続。大企業・製造業はマイナス19でコロナ禍前のボトムだった18年12月調査に並んだほか、中小企業・非製造業はマイナス47で過去最低を記録した。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは「企業の期待インフレの高止まり、人手不足感の深刻化等を踏まえ、賃金・物価の上昇モメンタムは継続していると日銀は評価するのではないか」と指摘した。

ただ、企業の想定為替レートを上回る円高が継続し、1ドル=130円台まで円高が進展していけば「収益計画が下振れ、来年の賃上げ率の鈍化につながる可能性が高い」とする。酒井氏は現時点で来年の賃上げ率は4.3%程度と、例年対比では高水準ながら今年を下回るとみている。

日銀の追加利上げについては、米国経済がソフトランディングで推移することを確認した上で来年1―3月期になる可能性が高いと現時点で予想している。

日銀が1日発表した短観=企業短期経済観測調査で大企業の製造業の景気判断を示す指数はプラス13ポイントで前回調査から横ばいとなりました。また、大企業の非製造業の指数はプラス34ポイントで2期ぶりに改善しました。

日銀の短観は国内の企業9000社余りに3か月ごとに景気の現状などを尋ねる調査で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で景気を判断します。

今回の調査は9月30日までのおよそ1か月間行われ、大企業の製造業の指数はプラス13ポイントで前回調査と変わらず横ばいとなりました。

半導体関連やデータセンターなどIT関連のビジネスが好調だったことで電気機械などの業種で景気判断が改善した一方、中国経済の減速など海外需要の伸び悩みで自動車や鉄鋼の景気判断が悪化したほか、台風で生産を一時見合わせた影響もあり、判断がわかれた形です。

また、大企業の非製造業の指数はプラス34ポイントと前回調査を1ポイント上回り、2期ぶりに改善しました。

外国人旅行者の増加や価格転嫁が進んだことを背景に、小売や宿泊・飲食サービスで景気判断がさらに改善し、指数は引き続き高い水準となっています。

先行きについては、大企業の製造業が自動車で生産が上向くことへの期待感から今回の調査より1ポイント改善すると見込んでいる一方、大企業の非製造業は人件費や原材料費が上昇することへの警戒感から6ポイント悪化すると見込んでいます。

官房長官「成長型の経済ステージへ移行を」

官房長官閣議のあとの記者会見で「海外景気の下振れによる下押しリスクなどに注意する必要があるものの、企業部門が総じて好調であることが改めて確認されたと考えており、働く方々の賃金や国内投資の拡大につなげていくことが重要だ」と述べました。

その上で「政府としては、価格転嫁対策の推進や中小企業の省力化投資への支援などに取り組み、持続的・構造的賃上げの実現と生産性向上を図ることで、成長型の新たな経済ステージへの移行を実現していきたい」と述べました。

日銀は政策金利の据え置きを決めた9月の金融政策決定会合の主な意見を公表しました。委員からは海外経済や金融市場などのリスクに関する指摘が相次ぎ、この先の利上げについては慎重に検討すべきだという意見が相次いでいたことがわかりました。

日銀は先月20日まで2日間の日程で開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度と、前回7月に決定した追加利上げの水準に据え置くことを決めました。

日銀が10月1日公表したこの会合の「主な意見」によりますと、委員からは「世界経済の下振れリスクとともに不確実性も高まった」などと先行きのリスクを指摘する意見が出ました。

そして今後の政策対応については「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」とか「金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当だ」など、この先の利上げはアメリカなどの海外経済や金融市場の動向を見ながら慎重に検討するべきだという意見が相次ぎました。

一方、7月の追加利上げ決定のあと株価や円相場が乱高下したことに関連して、委員から「長らく利上げを行っていなかったこともあり、ことばに対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面がある」といった指摘が出るなど、金融市場との対話を丁寧に行うべきだという意見が多く出ました。

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