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北朝鮮朝鮮労働党の機関紙は、キム・ジョンウン金正恩)総書記が軍の幹部らを集め、当面の軍事活動の方向を示したと伝えました。北朝鮮は、首都ピョンヤン上空に韓国が無人機を飛ばしてビラをまいたと主張し、報復措置も辞さない姿勢を示していて、韓国軍が警戒・監視を強化しています。

15日付けの北朝鮮朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン総書記が14日、軍の幹部らを集め、国防と安全分野について協議したと伝えました。

北朝鮮は10月、ピョンヤン中心部の上空に韓国が無人機を飛ばしてビラをまいたと主張し、報復措置も辞さない姿勢を示していて、協議では「敵による主権侵犯に関する分析と対応する軍事行動の計画などについて報告があった」としています。

キム総書記は「当面の軍事活動の方向を示した上で、党と政府の政治・軍事的な立場を表明した」としていますが、具体的な内容については明らかにされていません。

北朝鮮は13日、再び韓国の無人機が侵入した場合に備え、南北の境界線付近の砲兵部隊を「射撃待機態勢」に移行させたと発表しています。

また、韓国軍は、北朝鮮が南北をつなぐ道路を爆破する準備を進めていることを確認したとして、北朝鮮の動向に対する警戒・監視を強化しています。

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#朝韓(ドローン・ビラ散布)

韓国軍は、北朝鮮が15日、南北を隔てる非武装地帯の2か所で、韓国とつながる北朝鮮側の道路を爆破したと発表しました。韓国側は強く非難するとともに、北朝鮮の今後の動向に警戒を強めています。

韓国軍の合同参謀本部によりますと、北朝鮮は15日正午ごろ、韓国とつながる北朝鮮側の道路を爆破しました。

爆破した道路は、朝鮮半島の東側にある「トンヘ(東海)線」と、西側にあるキョンウィ(京義)線」で、韓国軍の関係者によりますと、いずれも軍事境界線から北朝鮮側にそれぞれ数十メートル入った非武装地帯の地点とみられるということです。

韓国軍は、被害はなかったとしています。

また爆破後に現場付近では、トラックなどの車両とともに、道路の撤去作業にあたる様子が確認されたということです。

北朝鮮側のねらいについて、韓国軍の関係者は「南北の断絶を可視化させ、北の内部の結束を強化するものだ」と分析しています。

一方、事前の予告なしに非武装地帯で爆破行為が行われたことを強く非難していて、韓国軍は、警告放送を行った上で、それぞれの現場付近の軍事境界線の南側の地域で、対抗のための射撃を数十発行ったということです。

北朝鮮軍は今月9日、「『第1の敵対国』である韓国と接する国境を永久に遮断して封鎖することは、戦争の抑止と国を守る自衛的な措置だ」と主張し、韓国との間の道路と鉄道を完全に遮断して、防御用の構造物により要塞化する工事を行うとしていました。

韓国軍はアメリカ軍と連携しながら、北朝鮮の今後の動向に警戒を強めています。

一方、北朝鮮は、首都ピョンヤンの上空で韓国の無人機がビラをまいたと主張し、強く反発しています。

これについて韓国軍の関係者は「今回の爆破は、北がこれまで継続的に行ってきた南北の断絶措置の延長にあるものとみている」として、無人機をめぐる北朝鮮の主張と直接のつながりはないという見方を示しました。

【韓国軍 爆破の様子を撮影したとする動画公開】

朝鮮半島西側の道路を映した動画

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が15日正午ごろに道路を爆破したときの様子を撮影したとする動画を公開しました。

このうち、朝鮮半島西側の道路を映した動画では、黒いネットの向こう側で道路が爆破されると灰色の煙が上がりました。

道路の奥側には、複数の人物がカメラを構えている姿が確認でき、爆破の瞬間を撮影していたものとみられます。

また、その後の映像には、爆破した道路の付近にショベルカーやトラックなどが入り、なんらかの作業をしている様子が映っています。

朝鮮半島東側にある道路の動画

一方、朝鮮半島の東側にある道路の動画でも、爆破とともに煙が上がり、爆破の直後には動画を撮影していた固定のカメラが揺れているのが確認できます。

軍事境界線に近い韓国側の展望台 市民から怒りの声

北朝鮮が、韓国につながる北朝鮮側の道路を爆破したことについて、軍事境界線に近い韓国北部にある展望台では、市民から怒りの声も聞かれました。

韓国北部のパジュ(坡州)にある展望台では、川の対岸にある北朝鮮南西部ファンヘ(黄海)北道を望むことができ、多くの観光客が訪れていました。

今回の北朝鮮による爆破について、70代の女性は「毎日、絶え間なく挑発するのは耐えられない。北の行為を世界に知らせ、これ以上挑発できないようするのがわたしたちの課題だ」と話していました。

また、60代の男性は「南北が対話をするのが最もよいことですが、いまはどうしようもありません。わたしたちは自分たちの国を守ればよく、北に対する不安はありません」と話していました。

一方、展望台から見える北朝鮮側では、NHKの取材班が訪れたことし6月と比べて、鉄条網が新たに整備されていました。

また、韓国側に向けて拡声機とみられる設備も置かれていて、北朝鮮を批判する放送を韓国側が流しているのに対抗して、北朝鮮が「騒音放送」を流していました。

15日も、取材班が滞在したおよそ1時間の間、サイレンのような音や、動物の鳴き声のように聞こえる音が断続的に流されていました。

一方、北朝鮮が爆破した道路につながる韓国側の道路では特に変わった様子は見られず、通常と同じように韓国軍が警備にあたっていました。

北朝鮮 “韓国は敵対的な国家”の措置相次ぐ

北朝鮮では、キム・ジョンウン金正恩)総書記が、韓国を平和統一の対象ではなく、敵対的な国家として位置づける方針を去年末に明らかにして以降、これに沿った措置が相次いでとられています。

ことし1月にキム総書記は演説で、韓国を「第1の敵対国」として憲法に明記することを指示したほか、韓国との窓口機関の廃止なども決定しました。

また、キム総書記は、父親の時代に南北統一を願って設けられたアーチ型のモニュメント「祖国統一3大憲章記念塔」の撤去も指示し、衛星写真の分析からモニュメントの解体が確認されています。

今月に入ってからは、北朝鮮軍が韓国とつながる北朝鮮側の道路と鉄道を完全に遮断し、防御用の構造物で要塞化する工事を行うと9日に発表し、韓国とのつながりを遮断する動きを活発化させていました。

さらにキム総書記は、今月、韓国が北朝鮮の主権を侵害すれば、核兵器の使用も辞さないと繰り返し述べて、韓国をけん制していました。

一方で韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は今月1日の演説で「もし、北が核兵器の使用を企てるならば、韓米同盟の圧倒的な対応に直面し、北の政権の終末の日になるだろう」と述べていて、北朝鮮に強く臨む立場を強調しています。

専門家 “韓国を敵対国とする政策転換に伴う措置”

北朝鮮による爆破について、北朝鮮政治が専門の慶應義塾大学の礒崎敦仁教授は、韓国を敵対国とする政策転換に伴う措置だと指摘しました。

礒崎教授は、北朝鮮が韓国を平和統一の対象ではなく敵対国とみなす政策に転換したことに触れて「敵国であるから干渉するなという韓国へのメッセージだ」との見方を示しました。

また、北朝鮮国内に向けた意味としては「これまで数十年にわたって北朝鮮は韓国との統一を最重要課題に掲げてきた。国民のマインドを変えていくためには、かなり強く象徴的なイベントを示していかないといけない。韓国との交流を断絶して、あの国は外国なのだから、北朝鮮とは関係ないという姿勢を国民にも徹底させるということだ」と説明しました。

そして、北朝鮮が韓国との関係を遮断しようとする状況について「北朝鮮が主導して南北を統一するというのは現実的ではないということを認めて、いまの体制を守るという姿勢に転換している」と述べた上で「韓国とは対立状況が続くことから、韓国に対して強気でいるためには、ロシアとの関係が大きく作用していると思う。ロシアと事実上の同盟関係を結んだことで背中を押されているようで、北朝鮮は非常に強気になっている」と指摘しました。

ヨジョン氏「韓国軍が主権侵害行為の主犯である証拠を確保」

北朝鮮が首都ピョンヤンの上空で韓国の無人機がビラをまいたと主張していることに関連し、キム・ジョンウン総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が15日、国営の朝鮮中央通信を通じて談話を出し「韓国軍が主権侵害行為の主犯であるという明白な証拠を確保した」と主張しました。

その上で「挑発者たちは深刻な代価を払うことになるだろう」と強調しました。

一方で談話では、確保したとする証拠の具体的な内容についは明らかにしていません。

韓国が無人機を飛ばしたとする北朝鮮の主張に対して、これまで韓国軍は「事実の有無を確認できない」とコメントしています。

#朝韓(非武装地帯北朝鮮側道路爆破)

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#朝鮮半島