ECBが金利据え置き、今後の金利動向示唆せず https://t.co/4RsEbHcMSk https://t.co/4RsEbHcMSk
— ロイター (@ReutersJapan) September 11, 2025
欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会で、予想通り中銀預金金利を2.0%に据え置いた。市場では、来年のインフレ率が目標値を下回るため追加緩和が必要になるとの見方が根強いが、次の動きについては何も示唆しなかった。
ECBは6月以降、政策金利を2%で据え置いている。追加緩和の可能性も排除できないものの、ユーロ圏20カ国の経済は「良好な状態」にあるとの見方を示した。
ECBは声明で、「理事会は適切な金融政策スタンス決定に向け、データ次第で会合ごとのアプローチをとる」とした。また、「理事会は中期的にインフレ率が2%の目標水準で安定することを確実にする決意だ」と指摘。今後の金利動向は何ら示唆せず「特定の金利経路に事前にコミットしない」とした。
ラガルド総裁も記者会見で「われわれは引き続き良好な状況にある」との認識を表明。インフレ率は「望ましい水準」にあるとし、域内経済は堅調で、米国との関税合意を受けて世界貿易を巡る不確実性は和らいだと述べた。
その上で、「われわれはあらかじめ決められた道を進んでいるわけではない」とも強調、ECBの決定は引き続き今後の経済データに依存するという文言を繰り返した。この日の決定は全会一致だったという。
ECBの最新予測によると、2027年のインフレ率は1.9%、コアインフレ率は1.8%と、いずれも目標の2%を下回る見通し。これにより、追加緩和の議論は今後数カ月にわたり続くとみられる。
協議を直接知る関係筋によると、 利下げ協議はまだ終わっていないものの、ECBが明確な方針を示すにはまだ数カ月かかる見込み。追加緩和が必要か否かに関する次の正式な議論は12月になる可能性が高いという。
ラガルド総裁は「われわれの戦略では、わずかな乖離があっても、それが最小限にとどまり長期間続かなければ、必ずしも特定の動きを正当化するものではないと明確に示している」と述べた。
<リスク>
焦点は政策当局がリスクをどう見ているかにある。ラガルド総裁は記者会見で、6月に比べ「よりバランスが取れている」との見解を表明。「下振れリスクに関して、2点が明らかにレーダーから外れた。1つ目は欧州の報復リスク、2つ目は貿易を巡る不確実性だ」と述べた。
ただ、インフレ見通しについては依然として通常より不確実性が高いとした。
追加緩和に反対するタカ派の理事会メンバーは、貿易摩擦に直面しても経済は予想外に耐性があり、好調な個人消費が経済成長を支えていると主張している。
一方ハト派は、関税はまだ経済に完全には浸透しておらず、すでに低い成長率をさらに低下させ、消費を反転させる可能性があるとみている。米連邦準備理事会(FRB)による利下げがユーロ高を招き、物価への下押し圧力となる懸念もある。
ラガルド総裁は、関税やユーロ高による経済への逆風は来年には和らぐとの見方を示し、域内政府によるインフラ・防衛分野への「相当な」支出が予定されていることも指摘した。
こうした中、フランスの政局不安が国債利回りを急上昇させており、ECBにとって新たな課題となっている。ラガルド総裁は介入の可能性について問われ、「ユーロ圏の国債市場は秩序的に機能しており、流動性も確保されている」と応じた。
ECBが経済見通しについて楽観的な姿勢を示したことから、今回の緩和サイクルでの追加利下げ期待が後退した。
金融市場では現在、米連邦準備理事会(FRB)が2026年末までに6回の利下げを行うと予想されている一方、ECBが来春までに最後の利下げを行う確率はわずか40%と、理事会の決定以前よりも低くなっている。
ピムコのポートフォリオ・マネージャー、コンスタンティン・ファイト氏は「ECBの対応機能は政策の微調整に向いているとは考えておらず、基本シナリオでは政策金利に関して長期間の無策状態が続くと予想している」と述べた。
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨 https://t.co/VBZxQmAf5v https://t.co/VBZxQmAf5v
— ロイター (@ReutersJapan) September 11, 2025
欧州中央銀行(ECB)は11日、政策金利を据え置いた上で、底堅い景気を背景に今年の成長率見通しを引き上げた。ECBは声明で、「理事会は適切な金融政策スタンス決定に向け、データ次第で会合ごとのアプローチをとる」とした。
理事会後のラガルドECB総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<インフレについて> ディスインフレのプロセスは終わった。 われわれは引き続き良好な状況にあるが、事前に決められた道筋を進んでいるわけではない。良好な状況を維持するために、会合ごとに状況を検証していく。
<経済見通し>
関税引き上げ、ユーロ高、世界的な競争激化で、年内は経済成長が抑制され続けると予想される。ただ、こうした逆風による成長への影響は来年には薄れていくとみられる。
<全会一致の決定>
理事会での全般的な合意を過度に拡大解釈するつもりはないが、3つの主要政策金利の全てを据え置く決定は全会一致だった。
<事前コミットせず>
われわれはデータに基づき、会合ごとに適切な金融政策スタンスを決定するアプローチを採用している。特定の金利の道筋を事前に確約しない。全ての手段を調整する用意がある。われわれは引き続き良好な位置にある。
<一段とバランスのとれた成長リスク>
経済成長に対するリスクは一段と均衡した。最近の貿易を巡る合意により不確実性は低下したが、貿易関係が再び悪化すれば輸出がさらに落ち込み、投資と消費が冷え込む恐れがある。
金融市場のセンチメントが悪化すれば、資金調達条件が厳しくなるほか、リスク回避の動きが高まり、成長鈍化につながる可能性がある。一方、予想を上回る防衛支出とインフラ支出により、生産性向上につながる改革と相まって、成長が加速する可能性がある。
景況感の改善で民間投資が刺激される可能性がある。地政学的緊張が緩和したり、未解決の貿易紛争が予想よりも早く解決したりすれば、景況感が改善し、経済活動が活発化する可能性がある。
6月に遡ってみると、われわれは非常に不確実な状況にあった。4月19日以降から7月より以前、(米国との貿易協定の枠組みに関する共同声明を発表した)8月21日以前だったことは確かだ。
下振れリスクに関して、明らかにわれわれのレーダーから外れた要因が2つある。1つ目は、6月の予測に織り込まれていた欧州の報復リスク、2つ目は(貿易)の不確実性だ。
<米経済減速の影響について>
米国については2つのストーリーがある。1つ目は若干の衰退、もしくは一段の衰退。2つ目は生産性、人工知能、マグニフィセントセブン(超大型ハイテク7銘柄)。このため、われわれは全てを総合し、その結果としてわれわれの経済がどのような波及的な影響を受けるか見極めなければならない。
<フランス市場について>
特定の国についてコメントするつもりはないが、われわれは常に市場の動向を注視しており、ユーロ圏の国債は秩序立っており、良好な流動性のもとで円滑に機能している。それがわれわれの見解だ。
私はタカ派でもハト派でもない。この職に就いた当初、すぐに強硬派のタカ派か、穏健派のハト派か聞かれたが、私はどちらでもなくフクロウ派だ。360度というわけではないが、かなり広い範囲を見渡すことができる。
<TPIに関する議論なし>
きょうの理事会では、TPI(伝達保護措置)に関する議論は一切なかった。
<データの信頼性>
信頼性を疑問視されることのないデータがあることは非常に幸運であり、今後もそれが続くことを願っている。
ヨーロッパ中央銀行 主要な政策金利 2会合連続で据え置きhttps://t.co/VWqjMXIfFL #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) September 11, 2025
ヨーロッパ中央銀行は金融政策を決める理事会で主要な政策金利を据え置くことを決めました。据え置きは2会合連続で、アメリカの関税措置が経済や物価に及ぼす影響を見極めながら、政策運営を進めるものとみられます。
ヨーロッパ中央銀行は11日、金融政策を決める理事会を開き、2会合連続となる金利の据え置きを決めました。
政策金利の中でも重視する金融機関から資金を預かる際の金利は現在の2%のままとなります。
ユーロ圏の8月の消費者物価指数は去年の同じ月と比べて2.1%の上昇となっていて、声明では目標とする物価上昇率2%の前後で推移しているとしています。
前回・7月の会合の時点では、EU=ヨーロッパ連合はアメリカの関税措置について詰めの交渉を行っていましたが、その後、アメリカはEUからの多くの輸入品に15%の関税を課すことで双方が合意しています。
ヨーロッパ中央銀行としてはアメリカの関税措置がユーロ圏の経済や物価に及ぼす影響を見極めながら、政策運営を進めるものとみられます。
ヨーロッパ中央銀行は今回の会合に合わせて経済成長率の見通しを公表し、2025年の予測を前回・6月時点の0.9%から1.2%に引き上げた一方、2026年は1.1%から1.0%に引き下げました。
ラガルド総裁は、会合のあとの記者会見で経済の現状について「製造業とサービス業の両方が引き続き成長していて、経済の基調的な勢いは前向きであることを指標は示している」と述べました。
ただ、今後の見通しについては、「最近の貿易協定は不確実性を軽減したが、貿易関係が再び悪化すれば輸出がさらに落ち込み投資と消費が低迷する可能性がある」と述べ、トランプ政権の関税政策などによって経済が下押しされるリスクもあるという考えを示しました。
#ECB(政策理事会・250911・ 2会合連続据え置き)
#EU(260913)