イスラエル軍はガザ地区北部で集中的な軍事作戦を続け、イスラム組織ハマスの戦闘員数百人を殺害したと発表しました。27日にも再開される停戦に向けた協議についてハマス側は完全な停戦を求める従来の立場を強調していて、協議は難航も予想されます。
イスラエル軍は25日もガザ地区北部で集中的な軍事作戦を続けていて、このうち北部ジャバリアでは今月に入ってから住民4万5000人を避難させハマスの戦闘員数百人を殺害したと発表し、攻勢を強めています。
一方、パレスチナの地元メディアはイスラエル軍が北部ベイトラヒヤの住宅を空爆し少なくとも20人が死亡したと伝えています。
こうした中、停戦と人質の解放に向けた協議が再開される見通しとなり、イスラエル政府は情報機関モサドのトップを27日にも仲介国のカタールに派遣すると発表しました。
アラブ系のメディアはハマスの代表団が、24日、同じく仲介国のエジプトを訪れ、協議の再開に向けて意見を交わしたと伝えています。
この中でハマスの代表団は「協議の再開にはイスラエル軍がガザ地区北部での虐殺を直ちにやめることが必要だ」とする立場を示したということです。
今回の協議ではこれまでより短い2週間の停戦と引き換えに少数の人質を解放するという妥協案も検討されていると報じられていますが、ハマス幹部は25日、レバノンメディアに対して「完全な停戦ではない部分的な取り引きは拒否する」と語るなど、従来の立場を重ねて強調していて、協議は難航も予想されます。
国連のレバノン暫定軍 部隊への攻撃相次ぐ
レバノン南部で平和維持活動にあたっている国連のレバノン暫定軍は25日、部隊への攻撃が相次いでいるとする声明を発表しました。
それによりますとレバノン南部のダイラ近郊で22日、住宅を撤去していたイスラエル軍の兵士が、国連の部隊から監視されていることに気づいて陣地に向けて発砲してきたということです。
その後、23日には国連の部隊の車両が何者かによる発砲を受けて動けなくなったほか、国連の2か所の陣地が何者かによる砲撃を受けて、部隊の医療施設や宿舎が被害を受けました。いずれも隊員にけがはなかったということです。
国連レバノン暫定軍は「部隊への意図的な攻撃は重大な国際人道法違反だ」としたうえで、監視と報告の任務を継続するとしています。
また、国連のレバノン特別調整官は、25日、「レバノンは壊滅的な規模の人道危機に直面している」とする声明を発表しました。
声明では今週初めレバノン最大の公立病院のすぐ近くがイスラエル軍に攻撃され、子ども4人と医療スタッフ4人を含む18人が死亡するなど、医療施設への攻撃が相次いでいることや、メディアへの攻撃も続いていることに言及したうえで、医療関係者やジャーナリストは国際人道法で保護されていると指摘し、「戦争にもルールがある」と非難しています。
国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は25日、レバノン南部ダイラ近郊にある監視塔から隊員が22日に撤退したと発表した。付近で作戦を行っていたイスラエル軍が発砲したためと説明した。
イスラエル軍は現時点でコメントしていない。
さらにUNIFILによると、イスラエル軍はUNIFILに対し、国連が設定したイスラエルとレバノンの境界線である「ブルーライン」沿いの陣地から撤退するよう繰り返し要求し、一部拠点のカメラや照明、通信機器を故意に破壊しているという。
また23日には、別のUNIFILの拠点にある医療施設が出所不明の砲弾もしくはロケット弾の攻撃を受け、建物が損害を被った。
UNIFILの隊員に負傷者は出ていないという。
国際刑事裁判所(ICC)は25日、イスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状請求を決定する裁判官を健康上の理由から交代すると発表した。これを受け、審理がさらに遅延する公算が大きい。
ICC長官は、ユリア・モトツ裁判官から健康上の理由に交代の要請があったと発表。後任はベティ・ホーラー裁判官が務めるという。
ICC検察官は5月、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、ネタニヤフ首相とガラント国防相のほか、イスラム組織ハマス幹部3人の逮捕状を請求したと発表している。
イスラエル軍は25日もパレスチナ地区ガザ全域で攻撃を続け、少なくとも72人が死亡した。イスラエルはイスラム組織ハマスの戦闘員がガザ地区北部で再び集結したため部隊を投入しているとしており、この日は北部で夜間に病院を襲撃した。
ガザ保健当局によると、ガザ地区南部ハンユニスで複数の住宅が攻撃を受け、少なくとも38人が死亡した。多くが女性と子どもだったという。
これに対し、イスラエル軍はガザ南部での空爆と地上攻撃で多数のパレスチナ人武装勢力を殺害し、軍事インフラを解体したと表明している。
ガザ地区北部では数週間前からジャバリア周辺地域が攻撃の標的となっており、保健当局によるとイスラエル軍はこの日、カマル・アドワン病院に突入した。
カマル・アドワン病院はこの地域で稼働している3つの病院の1つ。イスラエル軍は、この病院の周辺に「テロリストとテロインフラ」が存在しているとの情報に基づき作戦を展開したと主張。「ジャバリア地域での作戦活動を継続している。過去24時間で数十人のテロリストを排除し、テロインフラを解体し、多数の武器を発見した」とした。
ガザ地区北部で辛うじて稼働を続けている3つの病院の医療スタッフは、患者を見捨てることはできないとしてイスラエル軍の避難命令に従っていない。イスラエル軍が3週間前に新たな攻勢を開始して以来、ガザ地区北部で少なくとも800人のパレスチナ人が死亡したとしている。
#パレスチナ(ガザ地区・ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・381日目②)
イスラエル軍は26日、イランの「軍事標的に精密攻撃」を行っていると発表した。イランによる「数カ月にわたる継続的な攻撃」への反撃としている。イランのメディアは首都テヘラン周辺で爆発音がしたと報じた。
イランは今月1日、イスラエルに向けて180発以上の弾道ミサイルを発射。イスラエルは報復する姿勢を示してきた。
イスラエルは、イランや親イラン勢力による攻撃に対抗する権利と義務があると主張。「防衛・攻撃能力を総動員している」と表明した。
攻撃の規模は現時点で不明だが、イスラエル公共放送は戦闘機数十機で軍事標的を空爆しているとした。
NBCニュースとABCニュースの両米メディアはイスラエル関係者の話として、イスラエルによるイランへの攻撃目標に核施設や油田は含まれず、軍事目標のみが対象と報じた。
ABCは関係者1人の話として、イスラエルによる攻撃は一晩続く見通しとも伝えている。
イラン半国営のファルス通信は、首都テヘランの西と南西にある複数の軍事基地がイスラエルの標的になったと伝えた。
イランの国営メディアはテヘラン周辺と近隣のカラジで複数の強い爆発音が聞こえたと報じたが、攻撃の可能性を否定し、通常通りの状況と伝えた。
タスニム通信はイラン革命防衛隊の基地が攻撃されたが被害はないとした。
国営テレビはテヘランにある国際空港で到着便から客が降りる様子を放映した。
シリア国営通信によると、イスラエルはシリア中・南部の複数の軍事施設も空爆の標的にした。
イスラエル首相府によると、ネタニヤフ首相とガラント国防相はテルアビブの軍司令部で作戦を注意深く見守っているという。
米当局者はロイターに、イランへの軍事行動についてイスラエルから事前に通知を受けたが米国は関与していないと述べた。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のショーン・サベット報道官は、「イスラエルが自衛目的と10月1日のイランによる弾道ミサイル攻撃への対応として、イランの軍事標的に的を絞った攻撃を行っていると理解している」と述べた。
イスラエルが先月以来、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラへの攻撃を激化させ、首都ベイルートへの空爆や地上侵攻を実施していることから、イランや米国までも巻きこんで紛争が拡大すると懸念が強まっていた。
ブリンケン米国務長官は今週、イスラエルによる報復がさらなる紛争の拡大を引き起こしてはならないと述べていた。
イスラエルによる26日未明の空爆は、シリア中・南部の複数の軍事施設も対象となった。シリア国営通信が報じた。
シリアの防空システムが、イスラエル占領下のゴラン高原やレバノン方面から発射されたミサイルを迎撃、一部を撃墜したという。
イスラエルは26日、イランの軍事施設への精密攻撃実施を発表した。
🇮🇱イスラエルの首相、国防相、軍指導部はイラン国内の標的に対する夜間攻撃中、テルアビブにある国防省の地下司令部に集まり、作戦進行を見守っていた。
報道によると、イランへの攻撃は天候不順により数日ほど延期されていたという。
イラン国内で負傷者や被害に関する情報はなく、イスラエル軍のミサイルは防空システムで迎撃されたとのこと。
イスラエル軍は26日未明、日本時間の26日午前、「イランの軍事目標に対する正確な攻撃を行っている」と発表し、今月1日にイランが行った大規模なミサイル攻撃への対抗措置に踏み切りました。
イランの首都テヘラン周辺では、相次いで爆発音が確認され、現地のメディアは複数の軍事基地が標的になったと伝えていますが、被害の状況は分かっていません。
その後イスラエル軍の報道官は日本時間の26日正午ごろ新たな声明でイランへの攻撃を完了したと発表し、軍事目標を精密に攻撃したとしています。そのうえで「イランが再び攻撃を行うという過ちを犯した場合は、われわれは対抗する義務がある」と述べ、イランをけん制しました。
中東の軍事大国のイスラエルとイランがことし4月に続いて互いに直接的な攻撃の応酬に踏み切る事態となり、イラン側の被害の状況次第では地域の緊張がさらに高まるおそれがあります。
イスラエル軍「イランが攻撃を続けるかぎり国民を守る権利ある」
イスラエル軍のハガリ報道官は26日、ビデオ声明で「イスラエル軍はイランの軍事目標に対する正確な攻撃を実施している。イスラエルには、世界のほかの主権国家と同様に対抗する権利と義務がある」と述べました。
そのうえで「防御力と攻撃力を総動員する。国と国民を守るためには何でも行うつもりだ」と強調し、今月1日にイランがイスラエルに行った180発を超える大規模なミサイル攻撃への対抗措置に踏み切りました。
イスラエル軍は26日、日本時間の26日正午ごろイランへの攻撃を完了したとの声明を発表しました。そのなかでイラン国内の複数の地域に空爆を行い、ミサイルの製造施設や地対空ミサイルシステムなどを攻撃したと明らかにし、「任務を達成した」としています。
また、声明ではイランがことし4月と今月、イスラエルに向けて数百発のミサイルを発射してきたとしたうえで、「過去数か月にわたりイランがイスラエルの国家や国民に行ってきた攻撃への対抗措置」だとしています。
そして今回使用したのはイスラエル軍が保有する幅広い戦力の一部だと強調し、「イランがイスラエルに攻撃を続けるかぎり、国民を守る権利がある」としてイランをけん制しました。
“複数の軍事基地が標的になった” イランメディア
一方、イランの国営テレビは現地時間の26日午前2時すぎ、日本時間の26日午前7時半すぎ、首都テヘランの周辺で複数の爆発音が聞こえたと伝えました。
イランの体制寄りのメディア、ファルス通信は、テヘランの西部や南西部で複数の軍事基地が標的になったと伝えていますが、被害の状況は分かっていません。
また、日本時間の26日午前10時半前にもテヘランの東部や中心部で再び複数の大きな音が聞こえたということで、現地のメディアは防空システムによる迎撃に伴う音だと伝えています。
【映像】イスラエル軍の攻撃に対する防空システムによる迎撃
イランの国営テレビは、軍の情報としてイスラエル軍の攻撃に対して防空システムによる迎撃が行われたと伝え、その際に撮影されたとする映像を放送しました。
映像には、複数の飛しょう体が上昇したあと、上空では強い光とともに大きな爆発音が響いているのが確認できます。
ホワイトハウス「軍事目標に標的を絞った攻撃」
アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道担当者は、NHKの取材に対し「イランによる弾道ミサイル攻撃に対する自衛の行為と対抗措置として、イスラエルがイランにある軍事目標に標的を絞った攻撃を行っていると把握している」とコメントしました。
またアメリカ国防総省の関係者はNHKの取材に対し、今回の攻撃について「アメリカには事前の通知があった。アメリカは関与していない」と明らかにしました。
アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、アメリカの当局者の話としてイスラエルによるイランへの攻撃は軍事施設を標的にしていて、核施設やエネルギー施設は含まれていないとみられると伝えています。
“少なくとも6時間前に通知” 米報道
アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、アメリカの当局者の話としてイスラエルによるイランへの攻撃について、アメリカはイスラエルから少なくとも6時間前に通知を受けていたと伝えました。
イラン軍が声明「いくつかの場所では限定的な被害」
イラン軍の防空本部は26日、声明を出し、イスラエル軍の攻撃は首都テヘランのほか、南西部のフーゼスタン州と西部のイラム州で軍事施設を標的に行われたと発表しました。
発表では、防空システムによる迎撃は成功したと強調する一方で、いくつかの場所では限定的な被害が出ていて、詳しい状況を調査中だとしています。
また、航空当局によりますと、イラン国内の空港を発着する便が欠航になるなどの影響が出ているということです。
米ニュースサイト、アクシオスの記者は、米国とイスラエルの当局者の話として、イランに対しては3波の攻撃が行われたと、26日未明に✕に投稿した。第2波と第3波はミサイルやドローンの基地と生産拠点が標的だったという。
イラン当局は26日、イスラエル軍がこの日実施したイラン軍事施設への攻撃について、防空システムによる迎撃に成功したが、複数の場所で「限定的な損害」が出たと発表した。
声明でテヘラン、フゼスタン、イラムの各州の軍事目標が攻撃されたと述べた。
イスラエル軍は26日、イランの「軍事標的に精密攻撃」を行っていると発表した。イランによる「数カ月にわたる継続的な攻撃」への反撃としている。イランのメディアは首都テヘラン周辺で爆発音がしたと報じた。
オースティン米国防長官は25日、イスラエルのガラント国防相と電話会談し、イスラエル軍によるイラン攻撃について説明を受けた。米国防総省が同日発表した。
声明によると、オースティン長官は、イスラエルの安全保障と自衛権に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて確認。イランおよびイランが支援するテロリスト組織からの脅威に直面する中、米国民、イスラエル、地域のパートナーの防護に努めるとするとした。米国は、地域の緊張を利用したり、紛争拡大を図ろうとする動きを阻止する方針だと述べた。
イラン政府系タスニム通信は26日、関係筋の話として、イランはイスラエルによるいかなる攻撃にも対応する用意があると伝えた。
「イスラエルが、その行動に対して、相応の反撃を受けることは間違いない」とした。
サウジアラビアは26日、イランを標的とした軍事行動は「主権侵害」で国際法違反だと非難し、全ての当事者に最大限の自制を促すとともに、国際社会に緊張緩和と地域紛争の終結に向けた行動を取るよう求めた。
#パレスチナ(ガザ地区・ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・382日目①)