野村 修也 中央大学教授
産業構造の変化とグローバリズムの台頭で、国家を一つの組織体として戦略的・機能的に運営していく必要性が強まっている。
<中略>
万が一にも、既得権を守ろうとする内向きの論理で、旧態依然の官僚組織が温存されると、抗しがたいグローバル化の中、日本は早晩、機能不全に陥る。
<中略>
国家の統治機構が、株式会社の運営に多大な影響を及ぼした株式会社の黎明(れいめい)期とは逆に、ニュー・パブリック・マネジメントの名の下、国家が積極的に民間の知恵を取り入れる時代を迎えている。
<中略>
「各論反対」の大合唱がわき起こるのは、改正案が官僚制度の機微に触れる提案を含んでいるためだろう。
<中略>
一つは、内閣の指示の下に実務を遂行すべき官僚組織が、いわゆる族議員と結託して、事実上国会と内閣をコントロールしている点である。民間企業になぞらえれば、株主と経営者という主客が逆転しているわけで、いかにガバナンスを利かせるかが課題となる。九〇年代に入り、グローバル企業の多くが取締役会改革を断行したように、国家においても、内閣の機能強化を図ることで、真の議院内閣制を回復することが必要であろう。