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『憲法1人権』
P233

 哲学者カントは,感情や衝動を抑えて、自分の心情と行動を道徳律に一致させられる理性的能力を人格の第一条件とみなした。人格的利益説の人格理解は,そこまでストレートに道徳的なものではないが,13条前段の解説で確認したように,理性的存在であることを重視するこの説の人間像は,結局かなり道徳的な色彩をおびている。ひらたく言えば,自分の才能のうち,道徳的に正しいと思える部分を伸ばそうと努力する人間,そして他人とも共存できる人間というものを前提として,そういう人間にふさわしい行為や待遇を保護するのが幸福追求権だ。こう理解している説と見てよいだろう。