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大前 研一氏 グルジア紛争にマケインの影

 今、その紛争の余波がウクライナに飛び火しているのだ。その発端はロシアのRTR(エルテーエル:ロシア連邦国営放送局のチャンネルの一つ)のスクープである。「グルジア紛争の際に、ウクライナのユーシェンコ大統領が、グルジアに武器を提供していた」とすっぱ抜いた。いわく、グルジア紛争が始まる2週間ほど前に、ユーシェンコ大統領が、自国の軍隊が持っている武器一個師団分をグルジアに貸していたというのである。RTRは貸与した武器のリストを入手し、またそれを承認したユーシェンコ大統領のサインまである、と報じている。

 しかも「ウクライナの協力」は、生半可なものではなかった。ユーシェンコ大統領はわざわざ自国の軍隊の武装を解除して戦車やミサイルなどを提供していたのである(一般に、一国の軍隊が武装解除するのは大変な事態である)。そしてグルジアはその借りた武器を使って、南オセチアに侵攻した。

 グルジア紛争でもう一つ見逃してはいけないのが、グルジアのサーカシビリ大統領の政策アドバイザーであるランディ・シェーナメン氏の存在である。ネオコンに分類される彼は、こともあろうに米国の次期大統領選挙に出馬する共和党のマケイン氏の政策アドバイザーもやっているのだ。

 察するに、マケイン氏の政策アドバイザーは、グルジアのサーカシビリ大統領をけしかけて戦争に持っていこうと画策したのだろう。一人の人間が米国とグルジアの間を動き回り、グルジア紛争を起こした。マケイン氏を選挙に勝たせるためという目的だけで戦争を仕掛けたのだとすれば、これは由々しき問題だ。断じて許される行為ではない。

 しかもそういう背後関係は、すべてロシアに握られていたわけだ。プーチン首相は、CNNのテレビでのインタービューで「一人の候補者を勝たせたいという奴がけしかけた、馬鹿げた紛争だ」と皮肉っていた。結局は、全部がバレバレだったのだ。