しかし、財政再建路線の転換を明言すれば「改革後退」と批判され、自民党内の亀裂も生みかねない。内閣支持率が低下し、政権が弱体化する中、「撤回宣言」は封印。3日に閣議決定した予算編成方針では「状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と明記する一方、党内の亀裂と世論の批判に対する懸念もあり、「シーリング維持」と言い張るという、わかりにくい「二正面作戦」をとらざるを得なかった。
その結果、予算編成は財務省による帳尻合わせに終始。
路線転換を宣言して国民の理解を得る説明をするというプロセスを欠いた今回の予算編成からは、首相の思いほど大胆なメッセージは伝わってこない。