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【古典個展】立命館大教授・加地伸行 「知識」より「知恵」の生活

 このような生活体験的知恵は、機械化の進むなかで、急速に消えていっている。もちろんそれに替(か)わる知恵は出てくる。例えば、パソコンを使うときの裏技(うらわざ)などというものがそれに当たるのかもしれない。

 しかし、それは知恵と言うよりも知識であろう。知恵の場合、まずことばにリズムがあり、覚えやすく、歌うような感じで心をつかむ。

 学校制度が普及する以前、人々はまず実務に入った。実務の世界は経験・知恵がものを言う。そのような生活を経てから学問・知識を求めても遅くない。

 ところが、今は知識の勉強ばかりするため、頭でっかちになる。しかもそれで一人前になったつもりとなるから、知恵はからきしない頼りない卒業生の山。