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小沢代表秘書刑事処分、注目すべき検察の説明

 政治資金規正法違反を贈収賄と同列にとらえ、政治資金規正法に違反して政治資金の透明性を害した行為があれば、検察は、いかなる行為を選択して摘発することも可能で、それについて説明責任を負わないという考え方は、同法の理念に反するばかりでなく、検察の権力を政治より圧倒的に優位に位置づけることになりかねない。健全な民主主義の基盤としての権力分立の仕組みをも否定するいわば「検主主義」の考え方と言うべきであろう。

 今回の事件については、他の手段によって対処可能な単なる「形式犯」ではない、実質を伴った悪質な犯罪だと判断した根拠と基本的な考え方について検察に明確な説明が求められるのは当然だ。

憲法が定める三権分立の枠組み自体にも影響を与えかねない政治資金規正法の罰則適用に関して基本方針を説明することは、当然の義務と言うべきであろう。

 もし、堀田氏のような見解で政治資金規正法の罰則適用に臨むというのであれば、そのように強大な権限を検察に与えることについて国民の承認を受けなければならないはずであり、その点について、国会の場で検事総長が説明を行うことが必要であろう。

説明すべき点は、違反の成否に関わる問題、悪質性の評価に関わる問題、捜査の手続き・手法に関する問題の3つに整理できる。

 これらの点を踏まえて、本件で、総選挙を間近に控えた時期に、野党第一党の代表の秘書をいきなり逮捕するという捜査手法が相当であり、任意で取り調べて弁解を十分に聴取したうえで、必要に応じて政治資金収支報告書の訂正を行わせるという方法では政治資金の透明化という法の目的が達せられない事案であったことを説明することが必要になる。

 今回の事件について検察の説明責任が問題になっているのは、政治資金規正法という運用の方法いかんでは重大な政治的影響を及ぼす法令の罰則の適用に関して、不公正な捜査、偏頗な捜査が行われた疑念が生じており、同法についての検察の基本的な運用方針が、同法の基本理念に反するものではないかという疑いが生じているからだ。

 もし、この点について説明責任が果たされることなく、今回の捜査による影響が日本の政治状況や、世論の形成に重大な影響を与える結果が生じた場合、それは、1つの司法行政機関によって、国や社会に対して一種の「テロ」が行われたのに近い効果を生じさせたということになろう。

その説明を客観的に評価して報道することが、民主主義の砦となるべき言論機関、ジャーナリズムの使命だ。

両党は、今回の事件についての検察の説明責任の問題が、民主主義の根幹に関わる問題であることを改めて認識する必要がある。本当の意味での民主主義政党と言えるか、その真価が問われている。