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天才・タイガーから石川遼へのアドバイス

 取材を進めていくうちに、競技は違えど、それぞれの家庭環境や親の考えがあまりに似ていることに驚かされた。地域、職業、家族構成は異なっても、玄関を開けるとみな同じ臭いがしたのである。
 決して裕福とはいえないものの、茶の間やダイニングに通されると、この空間で親と子の会話の密度はさぞかし濃かったんだろうな、と想像がかきたてられた。そしてどの親も「天才に育てようなんて気持ちはまったくありませんでした子供が興味を持つ遊びに親が付き合ってきただけです」と言った。

 「僕らは、長い時間をかけてコーチ学という一つの学問を研究してきましたが、この親達の関わり方は、コーチ学と一致している部分が多い。親が天才児を育て上げるということは、コーチ学の究極的な姿と言えなくもない。才能を早くして開花させたというのは、実は、いかに効率よく、合理的に、短時間でトップアスリートに育て上げたかということですから。子育てもコーチ学も『人間を深く知る』という出発点が、一致しているんだと思いますね」

10人の親達にとって、「人間を深く知る」というのは、子供に対する深い愛情の裏返しでもあった。だからこそ、インタビューの最後には、誰もがこんな意味の言葉で締めくくったのだ。
 「私たちが楽しませてもらいました。子育てといいながら、実は私たちが子供に遊んでもらっていたのかもしれませんね」

 彼らと、自分の子を天才に育てたいという今の親達では、どうもその出発点が違うような気がするのだ。最近の親達には、天才を育てるためのノウハウだけ学びたいとの思いが透けて見える。

 一方で、そんな風潮に「待った」をかける選手や指導者も現われた。親から熱心な幼児教育を受けなくても、トップアスリートにまで上りつめた選手たちだ。

 その代表格は、サッカー日本代表の主将・中澤祐二選手である。彼がサッカーを始めたのは小学校6年とJリーガーの中では極端に遅い。しかし彼は、そのハンディをモチベーションに変えた。「サッカーというより球蹴り」という技術しか持っていなかったが、その差を縮めるための方法論を自分で編み出し、自分の頭脳で考え、判断し、思いつくことのすべてにトライして技を磨いてきたのだ。

 本当の天才というのは、親が作ってくれた環境の中で才能を磨き、若くして頭角を顕す選手ではなく、自分の意思で行動し、自分の頭脳で判断しながら、正しい決断を積み重ねた末に、トップの座に着いた人たちに与えられる称号ではないかと思い始めた。

 そういえば今春、タイガー・ウッズ選手は石川遼選手にこんなアドバイスを送っていたっけ。
 「ゴルフから離れて多くの趣味を持つことで、結果的にゴルフも前向きになれる。ゴルフがすべてではない。大学に行くなど、すべての10代が経験することをすれば成長につながる。今、彼は基本的に金魚鉢にいる状態。私は、彼が10代を楽しく過ごし、成長することを望んでいるよ」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090716#1247689119(辻井)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090715#1247610372(辻井)
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http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090714#1247560694林成之
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090713#1247491896(黒澤雄太)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090713#1247452586(芦田昭充)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090624#1245827484二宮金次郎
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