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自民党を震え上がらす これが小沢選挙だ

川の下流で問題が起こればその原因の多くは上流にある。それと同じで、「川下の票を効果的に取るなら、まずは川上を押さえよ」というのが小沢選挙の“鉄則”だ。川上は高齢者が多く人口は少ない。しかし、親世代の声は必ず川下の子どもや孫世代へ伝播するというのだ。

天下国家は逃げない」――。1、2期生の若手議員に小沢がよくいう言葉だ。民主党内には「国会議員は政策こそが大事」と、永田町にへばりつく議員が多い。しかし、「大衆の中に飛び込んで国民が何を考えているかを知ることの方が重要。1、2期生のうちはドブ板で鍛えてもらって、自分を磨く。天下国家を考えるのはそれからでも遅くない」というのが小沢の持論。

「7月12日は、激しい台風が日本列島を襲い、とても鳥取まで行ける天候ではなかった。交通手段がないのです。ところが、小沢代表は『どうしても行く』と小型機を探しだし、飛んだのです」(民主党事情通)
 小沢一郎が向かった先は、鳥取県の山の中。米子空港を降りてから、延々、クルマを走らせた。過疎地だけに、せいぜい聴衆は150人程度かと思われたが、集まった聴衆は2000人以上。
「聴衆を見つけた小沢代表は、すぐに『クルマを止めてくれ』と叫んで飛び出し、2000人全員と握手して回った。普通は演台近くの数人の有権者と握手し、すぐさま演説するものです。2000人一人一人と握手することはあり得ない。これで集まった聴衆は、いっぺんに小沢ファンになった。偵察に来ていた地元の自民党幹部は、その様子を見て『自民党は負ける』とつぶやいたそうです」(地元関係者)

「政策うんぬんよりもまずは自分を見てもらうことが重要。ダラダラ演説していては50カ所を回りきれません。私は、2、3分おき、400〜500メートルおきに移動してしゃべっています。内容は名前と政策ひとつでいい」(東海地方の新人候補)

 ただし、抜き打ちチェックとはいえ、小沢はこうしろ、ああしろなどと、厳しく叱るわけではなかったと、有田は言う。
「丸イスにすわって、にこやかに『どうだぁ』『どういう運動をやっているんだ』って。お茶を出そうとしたけど、お湯が沸騰する間もなく、帰って行きました。滞在はものの10分でしたね」
 選挙区の地図が張ってあるか、候補者の靴はすり減っているか……。ひと目見ただけで、候補者が熱心に運動しているかどうかなんて、小沢には、一発でわかるのだろう

「大衆」を動かす時は短時間でもいいから数多くの人と会うのが小沢選挙。だが、「組織」に対しては、手法が全く異なる。徹底した「膝詰め」で時間をかけて相手の気持ちを掴むのだ。

選挙の応援を頼むのに、小沢は理屈など並べなかったという。
「『力を合わせて、政権交代を実現しよう』。とにかく、これだけでした。それ以後、小沢さんのためならやる、という空気ができました」(前出の組合員)

 地方行脚では、小沢は現場の労組幹部に会う。居酒屋で一緒に酒を酌み交わし、じっくり話を聴く。しかも、必ず上着を脱ぐ。
「そういう時、小沢さんは、一番狭い部屋を用意させるんです。からだを寄せ合うくらいの距離で話し込む。そうすることで、初めて一体感が生まれる」(民主党関係者)

いまや小沢は党内の旧社会党系議員をほとんど味方に取り込んでいる。代表代行の輿石東衆院副議長の横路孝弘ら大幹部も小沢の仲間だ。彼らの支持母体の労組が“小沢ファン”になっているのだから、当然である。

“伝説”にもなっている小沢秘書軍団は、ざっと15人前後。多くが小沢邸に住み込み、寝食をともにした「書生」上がりだ。
「ゲリラ部隊」と称されるのは、「自己完結」だからである。交通費、宿泊費、レンタカー代、ガソリン代、飲食代……党や候補者に一切頼らない。現地での活動も党の指示を受けず、独自に動いている。それが出来るのも、当選のためには、なにをすればいいのか、自分で判断できる選挙のプロぞろいだからだ。
「秘書軍団は、北海道、東北、九州、四国と、それぞれ担当する地域を割り振られます。1人の候補者に張りついているわけではありません。任された地域の全責任を負わされる。それだけに、『仲間の秘書に負けられない』とみな死に物狂いです。昨年秋に担当地域に派遣されてから、東京に戻ってくるのは、1カ月に1回です」(民主党事情通)
 秘書軍団は、ある候補者の事務所に派遣されると、率先して動き回る。誰よりも朝早く事務所に行き、ビラ配り、戸別訪問、後援会づくり、ミニ集会の開き方、支持団体との付き合い方などで手本を見せる。自分でやってみせて教え込む。候補者やスタッフがある程度覚えたら、次の候補者の事務所へと渡り歩いていく。
 党本部や県連から派遣された「正規軍」のように、ふんぞり返っていることは決してない。幹事長代理の野田佳彦(千葉4区)は、派遣された秘書軍団のひとりが、ある日はミニ集会での司会、ある日は会場の入り口でのビラ配りと、いつも見かけるので「君はどこにでもいるな」と、24時間フル活動していることに驚いたという。

「2年前の参院選の時、小沢さんは勝敗を決する1人区に集中的に資金を投入した。あまりにも大胆なカネの使い方に、ある幹部が『次の総選挙のために、少しカネを残したほうがいいのでは』と話すと、『なにを言っているのか。選挙に負けてカネを残しても仕方がない。すべて注ぎ込む』と一歩も引かなかった。結果的に29ある1人区で23勝6敗と圧勝しています」(民主党事情通)

「小沢さんは中央の大手メディアは相手にしていません。もともと権力側寄りだから、なにを言おうとよくは書かれない。重視しているのは、地方紙です」と、民主党の中堅議員がこう言う。
「東京で記者会見しても、朝日や読売の政治面に小さく載るだけです。ほとんど読まれていない。しかし、全国行脚で地方に足を運び、現地で記者会見すると、たいした中身でなくても、地方紙は破格の扱いをしてくれる。ほとんどが1面トップです。地域によっては、地方紙のシェアは50%を超える。そこで大きく取り上げてもらえば、インパクトが大きい。効率がいいのです」
 地方行脚の記者会見では、東京からついて来た番記者の質問には素っ気なく、地方紙記者の質問には懇切丁寧に答える。地方紙記者はこれだけで大感激。記事も大きくなる。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090723#1248355493
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090820#1250738849
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090725#1248484525
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090804#1249352780