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政治ではなく、組合から組み立て直すべき〜『新しい労働社会』 濱口 桂一郎著(評:荻野 進介)

日本企業の正社員は組織に所属することが雇用契約の基礎にあるから、一旦上からの命令があれば、残業や転勤もいとわず従わなければならず、経営側もそうした“会社人間”をこそ評価してきた。

 こうした正社員に対する企業の拘束性の強さが、非正規労働者との待遇格差に表れてきたのである。

 ならば、正社員(とりわけ男性)が担っている過重責任・過重労働を緩和し、この待遇格差を正当化できなくすればよい。具体的には、勤続年数が男性より短く転勤を命じられることもない、旧来の女性正社員の働き方をモデルにすべきだ、と著者は主張する。

 こうやって、正社員と非正規労働者の格差を縮小していくと、正社員の特権=年功賃金が担ってきた生活保障機能(年齢とともに増加する生計費をまかなう仕組み)が破壊されることになるから、子供の養育費や教育費を社会的に負担する公的給付システムが必要となる。ここは政治がカバーする領域だ。

 こうした改革をどう進めていくべきか。著者は、賃金や労働条件のあり方は誰かが上から現場に押し付けるのではなく、労使がきちんと話し合って決めるのが筋、という立場を取る。

 その舞台は労働組合であるべきだが、困ったことに日本の企業別組合は正社員のみに加入資格がある。これを改め、正社員と非正規労働者を包括する公正な労働者代表組織としての組合を再構築すべきだと著者は説く。

 そう、非正規労働者でも結婚して子供を育てられ、正社員でも働き過ぎにならない社会を作るために、組合のあり方から考え直す著者の主張を実現するにはやはり政治の力が不可欠だ。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090814#1250202410


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